第16話 アキロスの願い
リアルトの鍵は閉まっていたので、レオが解錠して中に入った。
「うわっ、ガラガラ!」マットはリアルトに入って驚いた。テーブルと椅子が無いリアルトは全く別の空間に見える。
レオは扉を施錠し、皆と屋根裏へ行った。
「え、ベッドあるじゃん!」マットは屋根裏に入るとまた驚いた。
「本当だ!」アスカもベッドの存在に驚く。
「エミリオがくれたんだよ。これで更に快適になった」レオがベッドを見て満足気な表情で言った。「じゃあ座ろう」
4人は自分のラグを広げてその上に座った。
「どこから話そうか」ヒナが話を始めた。「アッちゃんとマット君は当然『アキロスの願い』知ってるよね?」ヒナが尋ねると、2人は頷いた。
「演劇は観た?」ヒナが再度尋ねた。
「1回だけ」アスカが答えた。
「僕も」とマット。
「そうなんだ。私は観たことないんだ」ヒナはそう言ってレオの方を向いた。「『アキロスの願い』っていうのは、国王の自伝なの」
「国王が題材ってアレクサンドルが言ってたもんな」レオが言った。
「でも自伝って言ってもフィクションなんだけどね。ロクサリーヌさんが言ってた通り、国王が神の子であるということを国民に刷り込ませる為の物語」
「ふーん。ヒナは何で1回も観たこと無いのに知ってんの?」
「『アキロスの願い』は本でもあるの。利益度外視で安値で販売されてるから、ガレシアで一番身近な小説として読まれるんだ。教養のある人は大体読んだことあると思う」
「じゃあアスカとマットも?」レオが2人に聞くと、2人は頷いた。
「アキロスって誰?」
「国王のことだよ」マットが答えた。
「国王の名前ってアキロスなの?」
「うん。皆普通に国王、国王って呼ぶから『アキロスの願い』以外で使われることはほとんど無いけどね」
「アキロスって言う名前自体がフィクションっていう可能性は無い?」
レオはナターシャから国王の名前をニカウバと聞いている。それをここで言いたくなったが、ナターシャの存在をバラすわけにはいかない。
「まぁ国王の正体を知った今は、それも考えられるね」マットが言った。「何で?」
「いや別に……国王にしてはカッコ良すぎる名前だなと思って」
レオはそれっぽい理由を述べた。
「確かにね」マットが軽く笑った。
「それで、どういうストーリーなの?」
「後で本貸してあげるよ」ヒナが言った。
「だって自伝なんて読んだことねーし、俺あんま物語読むの得意じゃないんだよね」
「そっか……私何だかんだ言って最後に読んだの大分前だからあまり覚えてないなぁ」
「僕あらすじは覚えてるよ」マットが言った。
「マジで? 聞かせてよ!」レオが食いついた。
「オッケー——」マットは咳払いをして姿勢を正し、語り始めた。
「物語の舞台はここガレシア王国で、主人公はアキロスって言う17歳の兵士。架空の隣国がガレシアを襲撃してきた際にアキロスの妻が殺されたんだ。アキロスが途方に暮れてると、神から力を授かることになった——アキロスは不死身の最強戦士になった。隣国はまた襲撃をしてきたんだけど、アキロスがその襲撃を抑えてガレシアを救った。勇者として国から称号を貰って、後に国王の座に就く——ざっくりそんな話」
「へ〜。じゃあマットは、国王が今でも不死身の最強戦士だと思ってたの?」
「これは17歳の時の話だから、今あの老体で最強とは流石に思わなかったよ。でも親世代からずっと歳取ってないから、不死身だとは思ってた」
「なるほどね——ちなみにアキロスの願いは、ガレシアを守ることだったの?」
「あーそうだその話してなかった。違う違う。神の子としてもう1つ能力が授けられてて、それは天国にいる妻と話が出来るってことなんだよ。でも肌に触れることは出来ない。だから国王になった後、亡き妻に似た女性と結婚したんだ。でも数年で離婚して別の女性と結婚っていうのを繰り返すんだけど、誰1人として亡き妻と同じように愛すことは出来なかった。だからアキロスの願いは、亡き妻ともう一度現実世界で会うことなんだ」
「それが願い? てか天国にいる妻と話が出来るかどうかなんて確認しよう無くね?」
「無いね」
「しかもその能力って、神の子であることを示すのに必要なのかな?」
「この能力はオマケみたいなもんでしょ」アスカが話に入った。「アキロスと亡き妻が対話するシーンが何度も出て来るんだけど、それによってアキロスがいかに妻を今でも愛してるかっていうのを伝えられるじゃん。数年毎に若い女に乗り換えるのを正当化させる為の道具ってワケ。確認出来ない能力だから、神の子っぽさを出すのにも都合が良いし。エロジジイってこういうところに知恵が回るんだから困るよ」
アスカはそう言って大きな溜め息をついた。
「そういうこと? 確かに国王の夫人若いもんな」レオが納得した。「愛されないと分かってて何で国王と結婚すんだろ」
「愛なんて形の無いものより金と地位を欲しがる女もいんのよ——というよりそれを愛だと認識してると言った方が正しいかも」
「今こうやって改めて『アキロスの願い』のストーリーを聞くと、めちゃくちゃだよね」 ヒナが言った。
「でもさ、よく出来た話だよな——もうジジイだから最強戦士である必要は無い。天国の妻と話せるかどうかは確認出来ない。しかも実際にエベディルクで不死身だから、誰も17歳の頃の国王を知らなくて事実確認出来ないってことでしょ?」
「確かにそうだね」
「てかエベディルクの話は出てくるの? 老化を止める薬は存在しないってことも国民に刷り込ませないといけないんじゃないの?」
「出てきたっけ? 覚えてないな」マットが記憶を辿るように天井を見上げた。
「出てくるよ」アスカが言った。「国王になった後は当然良い生活が出来るんだけど、色んな贅沢の中の1つがエベディルクっていうハーブティー。本当それくらいさりげなかった気がする」
「それだけ?」レオが聞いた。
「エベディルクは重要じゃないってことを伝えないといけないんだから、やたらと強調したら逆効果じゃん」
「確かにそうだな——薬草採りを兵士に任せなかったのも同じ理由だし」
レオはそう言った後、今までの話を頭の中でもう一度整理し、3人に疑問を投げかけた。
「——1個気になったんだけど、不死身の概念が違うよね? 17歳の物語なのに今国王は70歳くらいの体ってことは、老化はしてるじゃん。じゃあ不死身って具体的にどういうことなの?」
「アキロスを殺そうと試みる者は瞬く間に灰となって消えるんだよ。誰もアキロスを殺せないから不死身。老化しないとは書かれてないね。寿命が来たらどうなるかとか、病死にはなるのかっていうのも特に言及されてない」
マットが答えた。
「老化はしないと17歳のアキロスと今の国王が同一人物だってリンク出来ないから、それは必須だよな。じゃあ何故国王が今の老体で留まってるかは『アキロスの願い』で特に説明出来てないってこと?」
「そういうことだね。物語の終わりはアキロスが国王になってからせいぜい10年後くらいだから、アキロスは約30歳でしょ。老死するかどうかなんて説明しようが無いもん。国民は単純に、不死身=死なないって捉えてるだけで、あまり難しく考えてないと思うよ」
「ふ〜ん。物語では、『老化はするけど死なない』。でもエベディルクはその逆で、『老化はしないけど死ぬ』。エベディルク飲んでても刺されたりしたら死ぬよね、ヒナ?」
「うん。死ぬ条件は普通の人間と何ら変わりないよ」ヒナが頷いた。
「不死身の概念が逆だけど国民を信じさせてるのがすごいな」
「逆って言うけど、『老化はするけど死なない』って、言い換えれば『ある程度老化したら、それ以上老化しないし死なない』ってことだよね。厳密には寝たきりの植物人間になるまで老化しないといけないのかもしれないけど、その辺は誰も深く追究しないし」
「今のクソジジイは『老化しないし死なない』っていう良いとこ取りだよね」アスカが言った。「役人とか兵士がどれだけあいつのことを憎んでも、殺そうもんなら灰になるんじゃないかって怯えてるんじゃない? 暗殺とか裏切りを防止するのに取っておきのストーリーだよ」
「確かに! 国王も考えたもんだな」レオが感心するように頷いた。「俺が思ってたより頭が良い気がするぞ」
「でもその国王をレオ君は打ち負かしたんだよ」ヒナがレオを褒め称えた。
「確かに改めて考えると、HAMLが成し遂げたことって大きいよな〜」
マットもヒナに続いた。
「打ち負かしたって言ったって、まだ半分じゃん。ジョマナとタリアがまだ軟禁されてるもん」レオは喜ぶ様子も無く言った。「どうにかしたいのは山々だけどさ、ラグスビーの問題はあるしニュースボーイの仕事も忙しいしでそれどころじゃないんだよね」
「レオは今までヒナの為に全力尽くしてきたんだから、今は自分の為に生きてもいいんじゃない?」マットが言った。
「それにサーカスも始めようと思ってるし」
「サーカス!?」アスカは仰天した。
「うん。フィリップがラグスビーマッチ観て俺のラグスキルを気に入ってたみたいで、シルク・ドゥ・パレットに誘われた。今度ラグのアクロバットをフィリップに披露する予定。オーディション的な?」
「ヤバっ! スポーツとシアター両方やる人なんて聞いたこと無いよ!」
「レオがシルク・ドゥ・パレットでパフォーマンスするの観てみたいな〜!」
マットも大興奮だ。
「ちょっと皆早まり過ぎだから。まだ加入するって決まったわけじゃないし」
レオがアスカとマットの興奮を鎮めようとした。
「でもシアターの世界が魅力的に感じたんだよね。ラグスビーはさ、敵に勝たないといけないし政府に邪魔はされるしで、コントロールが効かないって言うか。一方サーカスなら誰にも邪魔されること無く自分の思い通りにショーを作り上げることが出来るじゃん? シルク・ドゥ・パレットが楽しそうにパフォーマンスしてるのを観て、何で俺はこんなに歯を食いしばってラグスビーしてんだろって思ったもん」
「まぁね〜。じゃあレオ、ラグスビー止めるの?」アスカが聞いた。
「ラグスビーは好きだから止めないよ。でもアスカのバンが無くなるまで棄権し続ける予定だから、サーカス始めるのにも丁度いいタイミングだなと思って」
「レオは忙しいねー! 見てて面白いけど」
「うん。レオ君だけ常に2倍速で動いてる感じがする」ヒナも同感した。
「それ分かるな〜!」マットがそう言って笑った。
「仕方ないだろ。俺は皆みたいに頭良くないから、がむしゃらに稼ぐしか無いんだよ」
レオはムッとした。
「てかアスカ喉乾いた」アスカが話題を変えた。
「あ〜、パブ開いてないしな……ガレシアセントラルのサタナリアにドリンクだけ飲みに行く?」
レオがそう言って昨日のガレシアクロニクルをリュックから取り出した。
「ガレシアセントラルにミミベーカリーもいる! ミミ姉さんに挨拶しに行こうかな」
「いいんじゃない?」アスカが賛同した。
「てか皆これ読んだ? 各会場のキャパシティ書いてあるじゃん。ローザンパークが一番大きいんだね。その次にラグスビーフィールド。ヴィルマリーストリートのキャパなんてローザンパークの10分の1も無いよ。ローザンパークどんだけデカいねん」
「そりゃストリートの真ん中にテーブル並べるのと公園一体に並べるのとじゃ、わけが違うからね」マットが言った。
「レオさ、せっかくだから夜のサタナリアに繰り出す前にバームで髪セットしていきなよ」アスカが提案した。
「あ! そうしよう!」レオはリュックからバームを取り出した。「あ、ヒナの香水もあんじゃん!」
「付けよ付けよ!」
「……俺香水付けたこと無いんだけど、どうやって使うの?」
「首と手首にちょこっと付けるんだよ」ヒナが香水を預かり、瓶の蓋を開けた。「こうやってそろ〜っと瓶を傾けて、ちょっとだけ手のひらに出すの。後は首と手首にちょんちょんって付ける——やってみて」
レオはヒナに言われた通りに瓶を傾けて、香水を手のひらに出した。
「こんなもん?」
「出し過ぎだね」ヒナがそう言って笑った。「う〜ん——そこのラグとかに擦り付ければ減ると思う」ヒナはレオが子供の頃から使ってるラグを指差した。
レオは言われた通りに手のひらの香水をラグに擦り付けた。
「まだ手に残ってるだろうから、手首と首に付けてみて。充分だと思う」
レオは慣れない手つきで手首と首をさすった。
「お〜、香る香る」レオは自分の体を嗅いでみて効果を確かめた。
「うん、いい感じ」ヒナが満足気に頷いた。
「僕も付けよう」マットがヒナの香水を取り出した。
「マット君もう付けてるじゃん」
「でもせっかくだし、アクセントとして。混ぜておかしくならなきゃいいけど」
マットはそう言って香水を手首にちょっとだけ付けた。
「後は髪だね! 洗面所は2階?」アスカがレオに言った。
「うん」
「よし、行こう」
レオとアスカは2階へ降りた。
「セットしてあげる」アスカがそう言ってレオからバームを取り上げた。
「ダメダメ! 自分で出来るようになんないとキンセニエラの時困るじゃん」
レオはアスカからバームを取り返した。
「分かったよ……じゃあ教えてあげるから。少しすくって、手のひらで伸ばしてみて」
レオは言われた通りにやってみた。
「うん。マリネッテさんにやってもらった時覚えてる? 髪全体に馴染ませてから、ねじるようにして毛束を作ってくの」
「何となく覚えてるけど、あの時はもっと髪短かったからな〜」レオは取り敢えずグシャグシャと髪にバームを馴染ませた。「でも適当にやるだけでも充分いいぞ」
「——まぁいいんじゃない? 特別な日だけじゃなくて毎日付けた方が上達するよ」
「キンセニエラまであと1週間しか無いしな。毎日付けてみるよ」
2人は屋根裏へ戻った。
「どう? ニューレオ!」レオはヒナとマットに髪型を披露した。
「おー! いいんじゃない?」マットが笑顔を見せた。
「キンセニエラ前に髪切るからもっと良くなるぞ」レオは意気揚々と言った。
「よし、行こっか!」
アスカの掛け声と共に、4人は自分のラグを持って階段を降りリアルトを出た。
「割と近いけど、飛ぶか」レオがそう言ってラグに乗った。他の3人も続く。
レオが空から地上を見下ろすと、カートを押して歩く女性の姿があった。
「あれミミ姉さんじゃない?」レオが独り言を言った。「ミミ姉さーん!」空から大きな声で呼んでみると、ミミがレオの方を見上げた。
レオは高度を下げてミミの側へ行った。
「レオじゃん」ミミが笑顔で挨拶した。「飛んでる姿をラグスビーマッチ以外で見るのは初めてかもね」
「何してんの?」レオがミミに尋ねた。
「パン運んでるのよ」
「今から始めるの?」
「違う違う。作っては運んでっていうのを繰り返してるの。私が会場に突っ立てる意味無いでしょ」
「そっか」レオは通行人の邪魔にならないようにラグから降りた。「ちょうど俺達会場に向かうところだったんだよ、ミミ姉さんへの挨拶も兼ねて。カート押してあげよっか?」
「そうなの? じゃあお任せしようかな」ミミがレオにカートをバトンタッチした。
マット、ヒナ、アスカも地上に降りて、一緒に歩く。
「今日はこの4人でサタナリア回ってるの?」ミミが4人に尋ねた。
「うん」アスカが答えた。
「仲良いのね。そう言えばラグスビーマッチの時も4人でいたし」
「ミミ姉さん、せっかくのサタナリアなのに1日中仕事嫌じゃないの?」レオが聞いた。
「パン屋にとっては年一番の稼ぎ時だからね、休んでる場合じゃないわよ。それにいつも店内に籠もってるばかりだから、たまにこうやって外に出るのも悪くないわ」
「ふ〜ん。やっぱ普段の1日の売上より大きいんだ?」
「3倍は稼げるわよ。その分沢山焼かないといけないけど、単価がいつもより高いから」
「スゲーな」
「どこの会場行ってきたの?」
「ヴィルマリーストリート。夜はローザンパークに行く」
「洒落た所に行くのね〜」ミミが笑った。「レオ達の歳でヴィルマリーストリートって行くものなの?」
「俺は普段行かないんだけど、アスカがあそこ入り浸ってるんだよ」
「入り浸ってるわけじゃないよ。ちょっと詳しいだけ」アスカが言った。「でもあの辺は全体的に年齢層高めかもね」
「でしょう? 私はしばらく行ってないけど、15歳がふらふらしてるイメージが無いもん」ミミが言った。「夜はローザンパークね。あそこは若い子に人気よね。私も若い頃行ったわ。夜はチャラくない?」
「まぁチャラいと言えばチャラいね」マットがそう言って笑った。「あの大勢で騒ぐから、ファミリーはまず行かない気がする」
「それ分かるわ。小さい子供なんて連れて行ったら大変なことになるわよ。そもそも迷子になるしね」
「ミミさんって俺くらいの歳の時ってどんなだったの?」レオが尋ねた。
「え〜? 秘密」ミミがニヤッと笑って答えた。
「何で? ミミ姉さんいつも客の話ばかり聞いて、自分の話してるところ俺見たこと無いもん」
「女は秘密の1つや2つあるものよ。それに誰が店員の話なんて聞きたいのよ。誰だって自分の話したいでしょ。私はお客さんの話聞いてあげて、それでガレシアの情報を掴めてるんだから、ウィンウィンでしょ」
「そうかもしんないけど……俺ガレシアで初めて会った人がミミ姉さんだし、ほぼ毎日会ってるのに、何も知らないからね」
「ふふふ」ミミはそう微笑んで歩き続けた。
5人はガレシアセントラルに着き、ミミはパンをブッフェテーブルにどんどん並べていった。
「俺今日はパン食わないようにしてたけど、ミミベーカリーのクロワッサンは食おうかな。1回プレゼントされて食ったけどめっちゃ旨かったんだよね」
レオがクロワッサンを眺めて呟いた。
「お好きにどうぞー」ミミがパンを並べ続ける。
「じゃあ1個もらう!」レオはクロワッサンを手に取り、「仕事頑張って!」とミミに手を振ってその場を離れた。
HAMLはパブのブースへ行ってドリンクを受け取った。
「座る所無いな」レオが会場を眺めて言った。
会場のキャパシティはヴィルマリーストリートの3倍ほどあり、1人席や2人席は空いてるのだが、4人席が見当たらない。ラグを敷いて座るスペースも無い。
「食べる人優先させて、私達は立って飲もうよ」ヒナが言った。
「そうだな。体力消耗させれば夜もっと食えるかもしんないし」
レオは立ったままクロワッサンを食べてドリンクを飲んだ。
周りを見渡すと、HAMLと同様立ったままドリンクを飲んだりパンを食べて談笑してる人達が沢山見受けられる。
「皆幸せそうだな〜」レオがクロワッサンを頬張りながら言った。
「そうだね。食べ放題出来る機会なんてサタナリアしか無いから」
ヒナがドリンクをちびちび飲みながら同感。
「ヴィルマリーストリートの人達より幸せそうに見える。平民の方がサタナリアをより贅沢に感じるからなんだろうな」
「うん」
「ヒナは普段ここ来てたの?」
「うん、ロゼーラさんがいるから」
「そうだよな。ヴィルマリーストリートのご飯はめっちゃ旨かったけど、こっちの方が何となく落ち着くや。やっぱ近所の会場に行くメリットってあるんだろうね」
「それ分かるかも」
「2人共何老夫婦みたいにしみじみしてんの!」アスカがレオとヒナに喝を入れた。
「老夫婦!」マットが爆笑した。
「あのな〜、俺達にとっちゃこのエリアがホームなんだよ! ホームの温もりがあるだろ! アスカもヒナん家住み始めるから来年多分同じこと言ってるぞ!」
「15年生きてきた場所1年くらい離れるだけでそんなこと思うかな〜?」
アスカは懐疑的だった。
「思うよ。俺なんてガレシア来てまだ半年だぞ?」
「レオはガレシアに染まり過ぎなんだよ」
「ガレシア大好きなんだから染まるさそりゃ」
「それはいいことだけど」
HAMLがドリンクを飲み終えた頃には、空が薄っすら暗くなり始めていた。
「暗くなる前にローザンパーク行こうか」マットが空を見上げて言った。




