新たなパーティーの結成
ファンク達はグローラル盗賊団のアジトの中を急いで駆け出しながら、盗賊団のリーダーがいる部屋の前に辿り着いた。
「この先にリーダーがいるのか!」
「ええ。準備はいいですか?」
椿の合図に全員が頷き、皆が一斉に部屋の中に入る。
そこには冷酷な笑みを浮かべているリーダーがいた。
「お前等か。俺のアジトで好き勝手している奴等は」
(こいつが盗賊団のリーダーか……)
ファンクは盗賊団のリーダーの姿を見て、冷や汗を流す。
「俺の邪魔をするのなら……死んでくれや!」
リーダーは手にした刀を振りかざして襲い掛かり、フローラは盾を構えて弾き返す。
「何!?」
「なんだ。その程度効果ないじゃん」
フローラが笑った直後、アミとエリンが攻撃を仕掛けてきた。
「デス・バレット!」
「ロックキャノン!」
アミがウルフガンから放たれた闇の弾丸とエリンの岩の魔術が襲い掛かり、リーダーにダメージを与えていく。
「こ、こいつ等……」
リーダーがダメージを受けながらも態勢を整えた直後、フローラと椿が彼に接近してきた。
「バスターブレイク!」
「雷光斬!」
フローラの剣術と椿の侍の剣技が炸裂し、リーダーは更にダメージを受けてしまう。
「おのれ……」
更にダメージを受けてしまったリーダーは態勢を立て直し、魔術を発動する。
「これが俺の魔術!ダークプリズンだ!」
すると地面から闇の鎖が飛び出し、ファンク達に襲い掛かる。
「そうはさせない!アラウンドバリア!」
しかし、フローラがバリアを展開して闇の鎖を弾き飛ばしたその時、鎖の一つがリーダーの股間に激突した。
「おごらっ!」
「うっ!」
リーダーは股間に鎖を当てられて悶絶し、ファンクも思わず股間を抑えてしまう。
「フローラ……バリアはいいけど、股間はまずいだろ」
「そうかな?じゃあ、アリアもやっちゃえ!」
「よっし!サーチアロー!」
アリアも弓矢を放つが、直線ではなくいきなり後ろに曲がった。
「なんで後ろに曲がるんだ?」
「良く見てなさい!」
ファンクが疑問に感じていたその時、弓矢はそのままリーダーのお尻に突き刺したのだ。
「いでぇぇぇぇぇぇぇ!!」
哀れリーダーは痛みでジャンプしてしまい、天井に激突。更にダメージを受けてしまった。
「今のは一体!?」
この光景にファンクが驚きを隠せず、アリアの方を向く。
「サーチアローは集中して自分の狙いたい所を当てる事が可能!どんな場所でも必ず的中する事ができるの!」
「そう言う事か!よし!最後は俺で終わらせる!」
ファンクは剣を収めた後、拳に力を込めてリーダーに立ち向かう。
「俺は剣だけじゃなく、格闘も得意だ!剛拳!」
「ぐほらっ!」
ファンクの強烈な拳はリーダーを殴り飛ばし、彼はそのままノックダウンで倒れてしまった。
「終わったか!」
ファンクはリーダーが倒れた事を確認し、アミ達に視線を移す。
「すぐに兵士達に連絡を!」
「それなら事前に行ったわ!そろそろ来るみたいよ!」
「そうか。よし!出るとするか!」
ファンクの合図に全員が頷き、彼等はアジトから脱出した。
※
その後、兵士達が駆け付けて盗賊団達と冒険者の二人は彼等によって連行された。
「やれやれ……これで盗賊団も終わりか……」
「そうね……二人の冒険者も捕まったし、これで一件落着ね!」
ファンクとアミは連行される盗賊団を見て笑顔になる。
「ええ。あなた達がいなければ、私達はどうなっていたのか分かりませんでした」
「本当にありがとう!」
「大した事無いさ。それに、困っている人は放っておけないからな」
椿とアリアの礼にファンクは笑顔で返した直後、エリンが手を叩きながら思いつく。
「そうだ!私にいい考えがあります!」
「いい考え?」
エリンが思い付いた提案にフローラは首を傾げる。
「私達でパーティーを結成してみませんか?今回の件で盗賊達を倒しましたし、皆で力を合わせたからこそ今の私達がいます。そこでこの様な提案をしたのです!」
エリンの説明に皆が納得して同意する。
「私も賛成!」
「味方は多い方が良いからね」
「もしかすると私達は最強のパーティーになれるかも知れませんし」
「このメンバーで組む事もありかもね」
アミ達は前向きにパーティーを組む事に賛成し、ファンクも頷く。
「エリンの意見は俺も賛成だ。今後は6人で頑張らないとな!」
「ええ!じゃあ、ギルドに戻りましょう!」
ファンク達はそのままギルドへと戻り始め、この光景を誰かが見ていた。それは勇者であるバリウスのパーティーにいるシェリアだ。
(ファンク……あんなに強くなってこんなにも仲間がいるなんて……心配だから見に来たけど、大丈夫みたいね)
笑顔となっているファンクの姿にシェリアは感心の表情をする。
(私も決意しないと……ここで変わらなければ!)
シェリアは決心をしたと同時に、急いで其の場から駆け出した。
※
「その様な事があったのですね。無事で良かったです!」
ギルドに戻ったファンク達はジェシーに報告し、その内容に彼女は微笑んでいた。
「それによって報奨金ですが……なんと指名手配の方が7名いたとの事で……八十万ガルドが貴方方に手渡されます!」
「「「八十万!?」」」
ジェシーからの説明にファンク達は驚きを隠せずにいた。
「はい!盗賊団の中には札付きもいましたので、十万ガルドの懸賞金が掛けられていたのです」
「そうだったのか!けど、このぐらいあればお金には困らなくて済むな」
「そうね!今後の事も考えないといけないし、私達の家も建てないとね!物件を探さないと!」
アミが今後の事を考える中、ジェシーがある事を思い付く。
「物件ですが、盗賊達を倒したお礼として家も与えられます!」
「えっ!?本当なの!?」
ジェシーの説明にアミは再び驚いてしまい、椿達も信じられない表情をする。
「はい!ヘルプレーダの高原に設置されていますので、良かったら見てください!」
「分かったわ。それにしても、高原での生活か……言われてみればありかもね」
フローラの推測に椿達も同意する。
「まあ、話を聞いた以上はここを拠点として穏やかな生活をするのもありかもな。野菜とか育てるのもありだし」
「そうね。スローライフ生活を送るのもありかも!」
ファンクの提案に皆が頷き、新たな生活に期待を寄せ始める。
「後は鍛冶屋に行かないと!ファンクの盾をパワーアップするんでしょ?」
「そうだな。すぐに行くか!」
ファンク達はギルドの外に向かおうとしたその時、一人の男が姿を現す。
「よう、お前さん。良いご身分だな」
「ん?誰だ?」
男は通路を塞ぐようにファンク達の前に割り込み、アミ達をジロジロ見る。
「盗賊団を倒した挙げ句、こんないい女に囲まれて羨ましさを感じるぜ。一人俺にくれよ」
「そんなのはお断りだ。彼女達は嫌がっているからな」
「そうよ!アンタなんかとは付き合いたくないんだからね!」
「私だって嫌よ!」
アミ達は男に対して嫌悪感を示していて、ファンクはも男の誘いを断る。
「おいおい。パンダなんかよりも俺の方が良いだろ。な?」
「あのな……人の話を……聞け!」
「へぶら!」
ファンクは我慢できずに男をアッパーで殴り飛ばし、見事一撃で倒してしまった。
男はそのまま仰向けに伸びていて失神している。
「なんだ。弱いじゃないか」
この光景にギルド内から拍手が起こり、ジェシーがファンクの元に駆け寄る。
「お見事です!この男は日頃から粗暴な振る舞いを繰り返していて、ギルドでも持て余していました。こいつはギルド管理協会に引き渡しますので」
「それでこの男はどうなるのですか?」
「まあ、奴隷として売られますね」
ジェシーの説明にアミ達は倒れている男を見てクククと笑っていた。
「まあ、自業自得だな」
ファンクもアミ達に釣られて笑い、男はそのままギルド管理協会へ引き渡されたのだった。
追放系の小説を書くと、なんだか楽しさが湧いちゃいますね。