異世界から来た女性
今回から新章突入です!
ファンクがパンダになってから一ヶ月の時が過ぎていた。勇者パーティーを追放されてからはどうするか考えていたが、アミとの出会いで運命を変える事ができた。
更にフローラ、マリス、椿、アリア、エリンも仲間に加わり、シェリアも勇者パーティーを脱退して仲間になってくれた。そのお陰でファンクは次第に強くなり、今ではCランクのパーティーチームとなったのだ。
※
そんなある日、いつものギルドではファンク達が帰ってきた。今回はゴーレム退治だったが、これも問題なく終わる事ができた。
「お帰りなさい!今日も余裕でクリアしましたね」
ジェシーが帰ってきたファンク達に笑顔を見せていて、彼等はすぐに彼女の元に駆け付ける。
「ええ。今回も余裕でクリアしたからね」
「皆の連携もとても良かったし、もしかすると私達っていけるかも知れません!」
「私達7人と一匹ならどんな困難でも乗り越えられるかも!」
アミ達が笑顔でワイワイと話す中、ファンクはジェシーに視線を移す。
「まあ、取り敢えずはクリアしたし、Bラングの昇級クエストまで残り何個クエストを受ける必要があるんだ?」
「残りはあと1つです」
「そうだな。じゃあ、納品クエストでどんな物があるか確認するか」
ファンクはクエストボードに移動し、納品クエストの一覧を確認する。
「えーっと……リンゴ、ダイヤ、ミスリル、鉄鉱石……リンゴなら大丈夫だな」
ファンクはすぐにクエスト用紙を一枚取り、ジェシーに見せる。
「はい!リンゴ十個納品ですね。既にありましたらクエスト終了です!」
「リンゴならあります!」
椿はアイテムボックスからリンゴを十個取り出し、ジェシーに渡す。
「はい!確かに受け取りました!これでクエスト完了と同時に、昇級クエストに入ります!」
「よし!昇級クエストに入ったわ!後はクリアすればこっちの物!」
アミが気合を入れたその時、ギルドに一人の女性が入ってきた。
「ん?」
ファンク達がその女性の方を見ると、赤い半袖シャツに白いエプロン、青系のジーンズを履いている大人の女性がいたのだ。
その姿にギルド内ではざわつきが聞こえ始める。
「見た事ない服装だな……」
「こんな服装、私達のところにも無いわよ」
「でも、なんかお母さんっぽい感じがするわね。甘えたくなりそう……」
「「「へ!?」」」
フローラの呟きにその場にいる全員が驚きを隠せずにいた直後、女性はジェシーの元に近付く。
「すみません。依頼を受注したいのですが」
「はい。あなたのお名前は?」
「杉浦瞳です。アルドラ火山の麓にあるゴブレット村で保育士をしています。しかし、火山の様子がおかしくて保育どころでは無いみたいです」
「火山……ああ。アルドラ火山の事ね。確かあそこは普通の火山だけど、噴火はあまり無いのが特徴と言われているわ」
シェリアの説明にファンク達も納得する。
「ええ。その火山で何か不穏な動きがあると感じました。噂によれば魔族が火山の中にいてイタズラをしようとしていますし、噴火によって村を滅ぼそうとしています。私としても凄く不安でこのギルドにお願いしました」
瞳の説明にジェシーは頷き、すぐにクエストの登録をする。
「分かりました。では、ファンクさん。このクエストを昇級クエストとします。アルドラ火山の調査ですが、魔族などが潜んでいる可能性もあり得ますので要注意です。念入りに調査して村の危機を救ってください」
「分かりました。明日、出発します!」
ファンクはクエストを受注し、アミ達に視線を移す。
「昇級クエストが決まったが、異論はないか?」
「大丈夫。それに話を聞いた以上、放っておけないからね」
「それにしても、杉浦瞳という女性……なんか服が私達の世界と違うわね……」
ファンクの説明にアミは同意する中、アリアはジロジロと瞳を見ながら疑問に感じる。
「な、何?」
「シャツにジーンズ、そしてエプロン。匂いも何だかふんわりしているし、違う匂いもする……」
アリアの説明にアミ達もジロジロ見始める中、瞳は観念してすぐに皆の方を向く。
「まあ、しょうがないわね……実は私……あなた達とは違う世界から来たの」
「違う世界……異世界だな」
瞳の説明にファンクはすぐに察し、彼女にコツコツと近付く。
「何故あなたはこの世界に来たのですか?」
「私は元の世界で保育士として活動していたの。そんなある日、園児達のいる教室に入ろうとしたその時、いきなり眩しい光が飛び込んで目が覚めたら……」
「この世界に来たという事だな」
ファンクの質問に瞳が回答し、マリスはすぐに納得の表情をする。
「まあ、何らかの理由でこの世界に転生したり、転移したりするのは珍しくないからな。けど、園児達は突然いなくなってハプニングになっているだろ」
「うん……皆、今頃寂しがっているだろうし……心配になってきた……」
瞳の目から涙が流れてしまい、フローラは優しく彼女の頭を撫でる。
「彼女を元の世界に戻す事も考えてやらないとね」
「ええ。どうするかは彼女自身が決める事。私達は精一杯サポートしないと!」
フローラとアミの提案に全員が頷き、瞳は驚きを隠せずにいた。
「皆……私を助けてくれるの?」
「困っている人は放っておけない。それに、あなたの帰りを待っている人がいるのなら、俺達は送り届ける。けど、どうするかは自分次第だ」
「うん……ありがとう……」
ファンクの笑顔に瞳は笑顔を見せた途端、彼女はパンダに抱き着いてスリスリした。
「アンタもか!」
「この抱き心地気持ち良い〜」
「独り占めはずるいー!」
「勘弁してくれー!」
アミ達も一斉に飛び出し、またしてもファンクは災難に遭ってしまったのだった。
ファンクは異世界の人でもスリスリされる……可哀想……
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