戦いの後に
戦いの後の話です!
「まさか俺達が負けるとは……」
「特にバリウスは皆に馬鹿にされ、思う存分笑われていたな」
「うう……どうしてこんな事に……」
敗北したバリウス達は正座させられていて、これ程までにない屈辱を受けていた。勇者であるにも関わらず、パンダや裏切り者、狐の獣人に負けていた為、赤っ恥の屈辱になるのも無理はない。
「元はと言えばアンタ達がファンクを追放したのが悪いんだからね!少しは反省しなさいよ!」
シェリアは三人の頭を杖でバンバン叩きながら、説教をかましていて、アミ達はジト目で彼等を睨みつける。
まさに拷問に近い説教其の物だ。
(やり過ぎとしか言えないが……まあ、彼奴等にとってはいい薬だな……)
この様子にファンクは心からそう思う中、シェリアは更に説教を続ける。
「ともかく!今後私達の邪魔をしたり、迷惑を掛けたら、承知しないからね!」
「「「はい……」」」
「それなら良し。これで終わりよ」
シェリアは手を叩いたと同時に説教を終え、バリウス達はすぐに立ち上がる。
長時間も正座させられたら、足が痛くなるのも無理はないのだ。
「いつつ……まさかこんな目に遭うとはな……帰るぞ……」
「ああ……」
バリウス達はその場からトボトボと去ってしまい、シェリアはファンクの方を向く。
「これでもう大丈夫よ。彼等はファンクを馬鹿にしないわ」
「悪いなシェリア。そこまでやってくれるとは驚いたよ」
「気にしないの。それに彼奴等はすぐに調子に乗るから、ビシッと言っておかないと!」
ファンクの礼にシェリアはウインクしながら笑顔で返し、アミ達が彼の元に駆け寄る。
「皆無事で良かったよ。彼奴等が勝ったら絞めておこうかと思ったからね」
「ホントホント。自分だけ偉そうにしているし、少しは人の気持ちも分かって欲しいくらいよ」
「そうですね。これで反省してくれれば良いのですが……」
椿の考えに皆はうーんと考えてしまう。バリウスはこれに懲りずに次の手を打ちに行く為、油断はならない。下手をしたらとんでもない事になりそうなので、先手を打とうとしているのだ。
「まあまあ。取り敢えずは勝ったし、それよりも依頼をどうにかしないと」
「あっ、巨大魚ね。スルーズ滝に早速行かないと!」
ファンクの忠告にアミはすぐに手を叩き、皆を連れてスルーズ滝へと急いで駆け出し始めた。
※
スルーズ滝に着いたファンク達は眼の前の光景に見惚れていた。
空気も良くて川の水も飲める程綺麗。更には野生の鳥や生き物の憩いの場として来ているだけでなく、滝壺には魚も多くいるのだ。
「ここがスルーズ滝……綺麗なところね……」
「滝壺に巨大魚もいるみたいだし、早く捕まえて依頼人に届けないとね」
「ええ。釣り竿も用意していますし、皆で早速釣りましょう!」
椿はアイテムボックスから人数分の釣り竿を取り出し、ファンク達に渡す。
そのまま彼等は滝壺の方に向かい、中を覗いてみると……なんと目的の巨大魚がいたのだ。
「凄い大きい魚ね……こんなにデカいとどうやって運ぶのかしら?」
「確か大きい魚でもアイテムボックスの中に入れる事が可能です。その辺については問題ないと」
「なら、大丈夫ね!さっ、釣りましょう!」
アミの合図で全員が釣りをし始め、次々と竿を振って釣り針を滝壺の中に入れた。
「上手く釣れるかしら?」
「まだ始まったばかりだからね。慌てずゆっくりとやりましょう!」
「そうね。釣りは基本的に落ち着かないと」
アミ達が話をしている中、椿の竿がピクッと反応し始めた。
「あっ、来ました!」
椿はすぐに釣り竿を引っ張り始め、見事魚を釣り上げる。
それはマグロみたいな形をしているが、サイズは中ぐらいだ。
「あれはトロマグロ!普通はこのサイズだけど、味はとても美味いわ!」
「じゃあ、何匹か釣っておきましょう!夕食用に必要ですからね」
「どうするつもりなの?」
「刺し身にしたら美味しいですので、捌くのは私に任せてください!」
椿の説明にアミはジュルリとよだれを垂らしてしまう。
「アミ、よだれ」
「はっ!」
フローラに指摘されたアミは、すぐに口元のよだれを拭き取り、シェリアは苦笑いをする。
「それにしても、まさかファンクが勇気の盾を装着できるなんて驚いたわ。もしかするとファンクが勇者に相応しいんじゃない?」
「分からない。バリウスも勇者である事を自覚しているし、それに俺は勇気の盾を付けているだけじゃ、勇者とは言えないからな」
シェリアの推測にファンクが否定する中、アミが疑問に思った事を口にする。
「じゃあ、バリウスはなんで勇者なの?私はそれが気になるし、あんな性格で勇者なんてカッコ悪いと思うけど」
「そうですよ。あんな勇者は認められません!」
「私も同じです!」
アミの意見に他の皆も一斉に同意する。どうやらバリウスが勇者だという事に未だに納得していない部分があるのも無理はない。
「バリウスが勇者に選ばれたのは才能開花による物よ」
「「「才能開花?」」」
シェリアがアミ達に対して説明するが、彼女達は首を傾げていた。
「バリウスから話を聞いたけど、元はと言えば剣士として活躍していたの。とある出来事で勇者としての才能を開花し、今では国から勇者として認められているわ」
「国から認められているんだ……じゃあ、ファンクも国から認められたら勇者になるんじゃない?」
「それはどうかな?まだ分からないし……おっ、かかった!」
ファンクの釣り竿が掛かって引っ張ってみると、何故かそれはとても重く、一人で引っ張るのは苦労するだろう。
しかし、ファンクは落ち着いて強く引っ張った直後、滝壺から巨大魚が飛び出したのだ。しかもその大きさは……3メートル。
「うおっ!巨大魚!」
「あれは極上の魚と言われているヨコヅナサーモンマグロ!まさかファンクが釣り上げるなんて……」
アミはファンクが釣り上げた巨大魚の姿に感動し、すぐに椿がその魚をアイテムボックスに入れた。
「これで依頼は完了ですね。後は依頼者に渡しましょう!」
「そうだな。けど、折角だから何匹か釣っておくか?」
「ええ!もう少し魚を釣って料理の幅を広げたいし、刺し身だけじゃなく、焼き魚や煮付け、ムニエルも食べたいからね」
ファンクの提案にアミは同意し、更に色んな料理を食べてみたいと意見を述べる。
猫は魚が大好物だから、これは仕方がないと言えるだろう。
「魚だけじゃなく、肉も手に入れないとね」
「あっ、農業や家畜をするのもありかも!」
「良いですね!今後の発展に良いと思います!」
エリン達は今後の発展について楽しそうに意見を述べ、ファンクは苦笑いをする。
(まあ、勇者になるよりは、彼女達の傍にいる。俺はそれだけで幸せかもね)
ファンクは苦笑いしながらも釣りを続け始め、心からそう思ったのだった。
※
「くそっ!くそっ!」
その日の夜、バリウスは悔しさをぶちまけながらゴブリンを次々と倒しまくり、最後の一匹を倒して息を荒げていた。
「なんで……ファンクが……勇気の盾を装着できて……僕が装着できないんだ……こんなの何かの間違いに決まっている……」
バリウスは先程の現実に信じられない表情をしつつ、片手で顔を抑えていた。
自身が勇者であるにも関わらず、ファンクに敗北した事は痛感せざるを得ないだろう。
「今度こそ……必ず殺してやる……ファンク・エンドラーズ!」
バリウスはファンクの本名を叫びながら復讐を心から誓った。二人の激しい因縁は更なる激しさを増し、これが世界を巡る戦いに発展してしまう事を、当時の彼はまだ知らなかった。
ファンクとバリウス。二人の戦いは今後どうなるのかに注目です!




