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一宮家のお茶会

 日曜日。

川島家一同は華の家、つまり一宮家のお茶会に招待を受けた。一宮家は華族で地主の一家で各業界の著名人とも繋がりがある。お茶会には政治家や歌舞伎俳優、宮家の貴婦人等がいらっしゃってる。

 千鶴子も芳子や浪速、廉子達と同席した。

「良かった。僕の着物があって。」

千鶴子は芳子が女学生時代に着ていた物を貸した。水色の生地に粉雪の降り注いだ振り袖だ。

「芳子様、皆様。」

華が挨拶に着てくれる千鶴子とは対象的に赤地に白い薔薇の入った華やかな振り袖に大きな赤いリボンを身につけている。

「こちらですわ。」

芳子達は茶室へと案内される。

「芳子様、こちらのお席へどうぞ。」

芳子が案内されたのはお正客の席だ。御手前をするのは華だ。着物姿の侍女達が招待客の前にお菓子を持ってくる。お花や鳥の形をした上生菓子だ。

「可愛いわ!!私このお花頂けるかしら?」

声をあげる千鶴子に招待客の視線が向けられる。

「どうぞお好きなものをお取り下さい。」

「ではこちらを。ありがとうございます。」

侍女に促され千鶴子はピンク色の花のお菓子を取り口に入れようとしたち時

「千鶴子さん」

隣に座る廉子が小声で名前を呼びながら千鶴子の袖を引っ張る。

「お菓子、こちらに置いて下さい。」

廉子が自分の懐紙を1枚千鶴子の傍らに置く。

「お菓子って鑑賞用なのね。綺麗なのに食べるの勿体ないものね。」

「そういう事ではなくて。」

周囲は二人のやり取りを見て笑っている。華も袱紗を裁きながらほくそ笑んでる。その時

お半東をしてる女性が招待客の方に向き直る。

「どうぞお菓子をお召し上がり下さい。」

お半東の挨拶と共に周りが上生菓子を置いた懐紙を手に取る。千鶴子も見よう見真似で懐紙を膝に置きお花のお菓子を楊子で半分に切ると口へ運んで行く。 

「こんな美味しいお菓子生まれて初めてだわ。」

千鶴子は日本にいた頃孤児院で育ったためお菓子など食べた事はなかった。上海では杏仁豆腐などの中華料理のデザートは食べた事はあったか日本のお菓子は初めてだ。

 華が茶碗から茶筅を出すと半東が芳子の前に運んで行く。茶筅を時計回りに回し芳子に絵柄が見えるようにして茶筅を置く。

他の招待客にも女中がお茶を運んでくる。千鶴子の前に茶碗を置こうとした時


「申し訳ございません。」


女中が誤ってお茶を溢してしまう。運悪く千鶴子の振り袖にかかってしまった。

「せっかくお兄様が貸して下さったのに。」

千鶴子は浮かない顔をしている。

「あの。」

華が話しかける。

「わたくしの着物で良ければお貸し致します。お召しかえなさってはいかがですか?」

千鶴子さんは孤児で上海にいたのが長いのでお茶の作法はあまり身についてない設定にしました。

 ちなみに作者は高校時代茶道部でした。つぶ餡が苦手で出されるお菓子がつぶ餡だと食べれなくていつも持ち帰ってました(笑)

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