機械人形と猫
機械人形は夢を見ました。
むかし、むかし、ある所にとても強い機械人形がいました。
機械人形は敵をいっぱいいっぱい倒して国が平和になりました。
平和になったら、機械人形はやることがなくなってしまいました。
一人でいろいろ頑張ってみますが、ごはんもつくれない。さかなもつれない。おうちもつくれません。
機械人形は思いました「僕は戦いがなくなったら役立たずなんだ……」
そんなとき、機械人形は猫に会いました。
猫はお腹が空いていたので機械人形は持っていたおさかなをあげて、頭をなでてあげました。
そのあと、手を振ってお別れをいいましたが、猫は機械人形にどこまでもついてきます。
機械人形は「僕は役立たずだから、一緒にいれないよ」といいました。
それでも猫はついてきます。
機械人形は猫と一緒に旅をすることにしました。
そんなある日、猫は病気になりました。機械人形はひとりで病気を治そうしましたが、どうしていいかわかりません。
困っていると、木の妖精と犬がそこを通りかかり、病気を治す薬を作ってくれました。
機械人形は猫が治ったことに喜びましたが、猫が苦しんでいるときに病気を治す方法も知らない自分が嫌いになりました。
それを見ていた妖精は言いました「知らなかったら、これから学べば良いし、分からなかったら、みんなに頼っていいんだよ」
それから、機械人形は、みんなからいろいろなこと学び、分からないことはみんなに聞くようなり、友達もいっぱいできました。
そんなある日、一緒に旅をしてきた猫の元気がなくなってきました。機械人形はお薬を作りますが、元気に鳴りません。
とても慌てた機械人形は緑の妖精に猫を元気にしてほしいと頼みました。
緑の妖精は「悲しいけど猫はたくさん生きたから天国に行く順番がきたみたいだ」といいました。
それでも機械人形は猫を治そうといろいろ頑張りました。でも、猫は元気になりませんでした。
機械人形は「やっぱり僕は役立たずだ……」とつぶやきました。
その時、猫は機械人形の手に乗り丸くなって「一緒にいてくれて、ありがとう」と
ニャーンと鳴いてながいながい眠りにつきました。
機械人形はとてもとても泣きました。泣いていたら友達も集まってくれて一緒に泣いてくれました。友達は「猫は機械人形と一緒で幸せだったね」と言ってくれました。
それから機械人形は『ありがとう』と言ってくれた猫のためにも自分を「役立たず」と思うのをやめました。
そして機械人形は猫の子供たちを今でも守っています。いつまでも、いつまでも、幸せそうに守っています……
〖機械と猫〗原案 作者 ヴァリラート