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託されたもの

ジュンはスキャナーでリュータとカノンに通信をする。


「リュータ、カノン無事か?

俺は敵のリーダーらしき人物を倒した」


「おう、こっちも片付いたぜ」


「ええ、私も」


「もう気づいていると思うが、

統制機構はこいつらを捨て駒にして別部隊を投入したようだ。

今の俺たちの力だけでは止めることはできないだろう、一旦引くぞ」


「潮時だな」


「了解、入り口で落ち合いましょう」


ジュン達は廃工場の入り口で落ち合い、

入り口からスラム街の様子を伺う。

そこは戦場だった。

荒廃したビルがさらに崩れ落ち、

至るところでジェノーによって銃殺された人々の遺体があった。


ジュン達は行政特区区域から脱出するため

車の方向へ駆けていく。


時々遭遇するジェノーをトールバレットで迎撃しつつ、

屍の街を通り過ぎていく行く中で、

ジュンは先程の子供と老婆の遺体を

焼けていくビルの中に見つけ、思わず立ち止まってしまう。


「あぁ・・・」


「おい、何やってんだ、急げ!」


リュータの一言でジュンは我に返る。


「くそっ!くそおおおおおおおお・・・!」


ジュンは悔しさと怒りのあまり、近くの瓦礫を蹴飛ばし、

二人の後を追い、駆け抜けていく。


ジュン達が車に行き着くとそこで待ち受けていたのはMkJ01だった。

その背後には二十体以上のジェノーを引き連れている。


「え、嘘、ジュンが二人!?」


「まじかよ・・・」


「ああ、コイツがアカリが作り出しちまった

意思のある軍事用ロボットMkJ01だ」


「おいおいおいおいおい、オリジナル様じゃねぇか!?

どうしたぁ!?俺様を止めに来たってかぁ!?」


「お前が統制機構の指示通りこの街をこんな風にしたのか!?」


「あぁ!?なにいってんだてめぇ?

俺はここならオペレータが巡回しねぇって知ったから、

邪魔が入らず思う存分ぶっ殺せるって・・・」


壊れた街で数少ないホログラムモニターにニュース速報が流れる。


「緊急速報です、行政特区区域が反火星主義組織に襲われました。

繰り返します、行政特区区域が反火星主義組織に襲われ

多数の市民に死傷者が出たようです。

統制機構からの映像をお送りします。

犯人は現在指名手配中のオペレータ数名が

反火星主義組織に所属しているということが判明し・・・」


その様子は反火星組織の活動として

メトロポリス中に中継されていた。

そこには主犯としてジュン達が表示されていた。


「ちっ!どうゆうことだよ、コイツはヨォ!!」


「俺達もお前も統制機構にハメられたんだよ。

お前にこの街の人々を虐殺させ、

俺達を犯人に仕立て上げるためにな・・・」


「気に食わねぇ、さいっっこうに気に食わねぇぜ!!!」


ジュンはMkJ01が先程の子供と老婆を殺した件で

腸が煮えくり返るくらいの怒りに駆られていたが、

統制機構の手のひらで踊らせられているのが

気に入らないことに関しては意見が一致した。


「なぁ、手を組まないか?

少なくとも統制機構を止めたいのは俺たちも一緒だ」


「ジュン!?」


カノンとリュータは思わずジュンを見る


「とち狂ったかぁ!?俺様がてめぇら人間に協力するとでも?

統制機構をぶっ潰したら、全人類皆殺しよ。

あ、お前ら先にぶっ殺したほうが早いかぁ!?」


「知っている。駄目元で聞いてみただけだ」


ジュンは密かに背後にある車を遠隔から

自動運転モードでエンジンをかけていた。


「リュータ!カノン!車に乗れ!!」


ジュンはMkJ01にパラライズブレットを撃つも弾かれる、

しかし、その間にリュータとカノンは車に乗り込む、

その後を追う形でジュンは車のボンネットに乗り、車は急発進する。


「逃がすかよ!?」


MkJ01が差し向けたジェノー達がジュン達を追ってくる。

ジュンはトールブレッドで1体仕留めるも、

クールタイムを待つ時間もないため、

窓からリョータ達にトランスリミッターを借りようとする。


「トランスリミッターを貸してくれ」


「あいよ」


ジュンは三丁のトランスリミッターに

トールブレットを装填し交互にぶっ放し、

車に迫りくるジェノーを次々に撃破していく。

10体ほど倒した後、追っ手はもういなかった。


「よし、巻いたな」


「この先で車ちょっと止めるわよ」


「なんでだ?」


「馬鹿ね、見つかったら大騒ぎじゃない、

こんなところ走ってる車なんて私達くらいでしょ。

そもそも検問張られてるはずだから抜けられないわよ」


「確かに・・・」


「検問さえ突破しさえすれば、後はどうとでもなるわ」


ジュン達は車を乗り捨て光学迷彩で姿を隠し、検問を突破する。

幸いにもオペレータが集まってくる前だった。

その後、イケブクロエリアに行く車を見つけ、

姿を隠したまま車の上に乗ると

アカリ達の元へとたどり着く。


「良かった!みんな無事だったのね!

さっきのニュースを見て私心配していたの」


「ああ、統制機構の罠だったんだ、

MkJ01に行政特区区域を襲撃させ、

俺達を反火星主義政府組織の犯人として仕立て上げるための。

いや、あの場に俺達がいなくても

俺達の犯行としてでっち上げる予定だったに違いない」


「これからどうするの?」


「君を連れてこの街を、メトロポリスから離れて別の都市に行こうと思う」


「私・・・残るわ」


「どうしてだ!?」


「私がMkJ01を作り出してしまったから・・・

私には止めなきゃいけない責任があるの」


アカリは震えていたが、その目には確かな覚悟があった。


「仮に俺達がここに残ったとしても、

俺達の力だけではアカリを守り切ることができるとは思えない。

もう時間がないんだ」


ジュンはアカリの手首を掴み、無理矢理にでも連れて行こうとする。

そんなジュンにアカリは平手打ちを食らわす。


「っ!?」


「ジュンはあの日の約束を本当に覚えているの!?

私が作ったロボットが暴走したら貴方の手で止めてほしいって、

それにあなたのお父さんマキノセユウゴなら諦めたりしない」


「どうして親父のことを・・・?」


「それは私が幼い頃にあった宇宙船事故で、

私とお父さんを救助してくれたのが貴方のお父さんだったのよ!

あのとき、生存が絶望的だと言われていた

私達を諦めずに探していてくれていたのよ!」


「だが、俺は親父のようには・・・」


「待ってください」


諦めかけたジュンを引き止めたのはリンだった。


「マキノセユウゴは統制機構に殺された可能性が濃厚です。」


ユウゴは本来オペレーターの仕事の範囲外である

スラム街の暴走ロボットを止める際に事故死したと思われていた。


「本当なのか?」


「お兄ちゃんの統制機構の機密文書の中に

それらしき指示書が残っていました。」


その際に書かれた指示書にはトドロキセイジの名前が書かれていた。


「あなたのお父さんはトドロキによって殺されたのです。

それのみならず火星補完計画を止めるには、

トドロキ本人を止める必要があります。」


「どうしてだ?」


「火星補完計画の最終段階によると

宇宙間弾道ミサイルの存在が書かれています。

これはすでに完成されていて、起動スイッチを

トドロキが所有している可能性が高いです。」


「しかし、統制機構は厳重な警備に守られている、

付け入る隙はあるのか?」


「統制機構本部の見取り図によると中層階にコントロールルームがあり、

ここで本部の主システムは全て管理されています。

ここを占拠すれば、トドロキまでたどり着けるでしょう」


リンはホログラムで統制機構本部の見取り図を表示する。


「それに掛けるしかないな」


「私も行くわ、ジュン達にだけ戦わせるわけにはいかないもの」


アカリが名乗りをあげる。


「待ちなさい!」


そこにいたのはユメノ博士だった。


「話は全部聞かせてもらった。これを持っていきなさい」


博士はアカリにスティック上のデバイスを渡す。


「これは?」


「ブバルディアのアップデートプログラムだ。

演算処理と通信電波操作の力を増幅させる機能が更新されている。

必ず役に立つだろう」


「ありがとう、お父さん」


博士はジュンの方を振り向く


「君に頼むのはこれで二回目だが、ブバルディアを、いやアカリを頼む」


アカリの父親はジュンに深々と頭を下げる。


「アカリは俺が必ず守ります」

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