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魔導世界の狂乱讃歌

作者: 冬月 雪華

•prologue

 異世界転生。

 そんなものなんて存在しないと俺は思っていた。だってあり得ないだろう?人は死んだら何も残らない。誰だって等しくそのまま命尽きていって残るものはただの虚無。

 本当に馬鹿らしいと俺は思っていた。どうせそんなものに縋って生きる道を己が望むように進みたいだけの、愚かな選択だと、ずっとずっと思っていた。

『明日から1週間、夏季イベントを開催します!時間を最大限費やして、頑張っていきましょー!』

 ……あぁ、そうか。そういえば明日から毎年恒例の季節限定の最大級規模のイベントが始まるんだっただろうか。

 ずっと部屋の中でこもってゲームできるようにインスタント麺とかの買い出しにでも行こう、と思い俺は着替えを手に取る——が、部屋着のままでもいいか、と思い俺は男子にしては小綺麗にまとめられた自身の部屋から外へと出ていった。

 さっきまでパソコンの画面を見続けていたからか少し目がチカチカするが自業自得だと割り切り俺は横断歩道で信号が青になるのを待っていた。

「帰りに、邪魔にならない程度の駄菓子でも買っていくか……」

 そう思いながら俺は足をすすめた。車が進む音もないようだしもう青になっただろ。

 俺は目の前にあるコンビニに目線を向けると、まだ赤信号だった。

 少し進んだ程度だったからすぐに戻った……のだが、俺は久々に偏頭痛に襲われた。

 気圧の変化や季節の急激な変化など、そういうものに敏感な俺は良く幼少期は偏頭痛に襲われたが、家に篭るようになるとここまでの頭痛が起きることは滅多になかったから悶絶していると、信号が今度は青く光った。

「いった……。冷感剤とかも買っていこ」

 あったらいいな、と感じながら横断歩道を渡っている時だった。

 信号なんて知ったことあるか、というかのように猛スピードで走ってくるバスがあった。行き先は『回送』と表示されていたため今は車庫に向かっているバスなのだろう。

 勿論そんな猛スピードで突っ込まれたときに俺は反応出来得ても動くことはできなかった。

 無慈悲に俺の体を引き摺り回すかのように走り去っていくバス。それが急激にフェードアウトする俺の眼で捉えたものだった——。

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