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 今日も女神たちは病んでいた。そして、夜更かしのせいで目がかすんでいた。

海「IAEAってさ…。」

雨「うん。」

海「IKEAに見えない…?」

湖「わかる。」

雨「原子炉が大変な時にIKEA。」

海「私も不謹慎だとは思ってる…!」

湖「視力落ちたよね。」

雨「加齢。」

海「つら。」

湖「つらいことしかない。」

 女神たちの病みは、プーチンのせいで、確実に加速していた。目を覆うようなネットニュースの画像に、心清らかな彼女らは病みに病んでいた。


 一緒に寒川神社に行ったきり、三人はリアルで会っておらず、毎晩リモートで飲んでいるだけだった。だが、病みが最盛期に達した彼女たちは、一回遊ぶことにした。

 場所は、各停しか止まらない小田急線沿線のマイナーな駅にした。理由は、三人掛けのベンチが改札の前に何個もあるからだ。女神たちは、ベンチに腰を下ろした。

海「ごめんね。人多いところ、怖くて。」

雨「ううん、いいよ。マックのコーヒーあれば、あったかいもん。」

湖「コロナ怖いもんね。」

海「いや、人間怖い。」

雨「?!」

湖「汚染するから?!」

海「なんか、結局、こいつらみんな、夏になったら、プールの方に行くのかなって。人間不信。」

 海の女神は、プールの女神を一方的に敵視している。しかも、今年度は、海辺ではクラスターが危険視されたのに、プールではクラスターが起きなかったため、自己肯定感を失っている。

雨「ま、コーヒー飲もうよ…。(鬱)」

海「苦い…。(鬱)」

湖「寒い…。(鬱)」

 駅の改札前は、全面的にひさしにおおわれている。日の光は、女神たちのベンチには、さしてくれなかった…。


 湖の女神は、斧が落ちてきた時が仕事である。不定期開催イベントのため、自宅ではNetflixばかり見ている。

湖「『転スラ』途中まで見たよ。」

雨「あー。転生したらスライムのやつ?」

海「面白い?」

湖「形態と擬態には既視感ある。」

海「うちらも似たようなもんだもんね。(笑)」

雨「女神出てくる?」

湖「出てくる。」

海「可愛い?」

湖「露出が少ない。(ズバッ!)」

雨「目の付け所。(笑)」

 コーヒーも飲み干してしまったので、三人は散歩することにした。しかし、この駅近くには、これと言った観光地も無い。女神たちは、あてもなく彷徨い出した…


 途中、湖の女神に電話がかかってきた。

海「誰から?大丈夫?」

湖「ヘルシア緑茶の女神からだった。」

雨「そんな女神いた?!」

湖「新採用。なんか、ご利益ないってクレーム多すぎて、凹むって。」

海「健康系の女神が通る道だね〜。」

雨「湖の女神、友だち多いね。」

湖「うん、推し友。」

海「え、プールの女神も?」

湖「うん、あの子、六つ子の紫が彼氏。」

雨「ヘルシア緑茶の女神は?」

湖「原作者が好きだって。」

湖「もう死んでるのに?!(笑)」

 駅の近くには、新しいお店が何店か、出来ていた。また、手頃なファストフード店も多かった。しかし、女神たちは、自粛と人間不信で、店を全て素通りした。ただ、メロンパン専門店だけは寄った。


 女神たちは、急行が止まるような少し大きめの隣の駅まで歩いてしまった。だが、やはり、日頃の運動不足がたたり、女神たちは疲れて、擬態(擬人化)が解けそうになってしまった…

雨「やばい、後光出ちゃいそう。」

湖「私も。」

海「スタバ行こ、スタバ!!」

 海の女神でさえ、人間不信よりも、後光を恐れた。せめて、人が少なそうな、駅から遠いスタバを選んだ。三人とも桜のフラペチーノにした。

海「アーッ!」

雨「ダーッ!」

湖「間に合ったァァァ〜!(泣)」

海「やばかったねー!」

雨「注文する時、うちら、ちょっと浮いてたよね、体。(笑)」

湖「後光、結構出ちゃったね。」

海「店員の記憶、一応消しとく?」

雨「そんなこと出来る?」

海「うん、東京湾に沈めればいいから。店ごと。」

湖「サイコパス。(笑)」

雨「ビッグウェーブ。(笑)」

 海の女神は、荒んでいた…

 三人は、追加で桜のケーキも食べた。帰りは電車で帰ったが、三人とも、医療用ゴーグル装着で、コロナ対策万全の状態で帰路に着いた…


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