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哀憎使いの英雄譚  作者: しゅりりんね
歩み出し
9/28

アリナの日記1

九月二日

 授業開始。一限目から順に数学、歴史、語学、化学、お昼挟んで地理、技術、音楽。技術、音楽、家庭、体育は特待と普通科合同。

 今のところ、十分ついていけるレベル。皆服装が派手。怖い。友達はできないけど別にいい。宿題やっぱ多かったけど、なんとかする。

 お昼の時、ロッティが泣きそうな顔で出てきた。すごい不良っぽい人と席近いらしい。

 ロッティなら、ーなんかあっても発動体で首絞m……撃退できそうだけど、何も言わないでおいた。

 食堂めっちゃ広かった。食堂の壁の上の方にある窓から人が飛んできた。一年はビビってたけど上級生はスルーしてたし、此処(グレートバース)では普通の光景らしい。


 普通に入口から来いよ。


 今日のご飯はアーサーさんとアンナ担当だった。アンナの作ったスープ美味しそうだった。アンナはまた料理上手くなってて嬉しい。

 孤児院の管理人さん久しぶりに来た。掃除やってくれたから今日は早く寝れる。お小遣い貰ったけどいつも通り使い道なし。貯金額は現在約五万三千七十セレス。


九月三日

 今日は体育があった。いきなりハードル走十本近くやらされた。疲れた。

 化学担当の教授がスイートボイスすぎて授業中眠い。宿題の量は昨日と変わらず。

 十月から始まる選択学部の案内が来た。

 ロッティは散々迷った結果、魔法物理学と服飾科を専攻することにしたらしい。自分は、三年前にロッティが想呪対抗学を紹介してくれたから、それにした。お金のこともそうだけど、これのためにここに入学したとも言えるから。主に呪怪の倒し方とか学ぶらしい。

 十月楽しみ。

 今日は私とリキュールがご飯担当だった。リキュールは未だに包丁をグー(殺人者の持ち方)で持つから怖い。本人は至って真面目にやっているんだろうけど、これ以上包丁を使わせるのは諦める。

 今度グリフィンさんと当番になったらどうすればいいのかな。

 今まで少しずつ、あの黒い魔法を使う練習を続けてきたけど、なかなかコントロールが難しい。ちゃんと集中しないと、すぐにエネルギーが暴走してしまう。

 いつか、ちゃんと使えるようにならないと。



九月十日

 そろそろクラス内で大体のグループができる頃。けど、あたしのクラスではそれっぽいものがあまり見られない。ロッティが結局友達できなかったーって泣きついてきた。心細いのはわかるけど、あたしだけじゃダメなのか。

 あとどうでもいいけど、ロッティ曰く数人の生徒に対してのファンクラブができたらしい。今時ファンクラブ文化(?)なんてないもんだと思ってたからへぇすげー、とは思った。ロッティも入ったらしく、涎垂らしながらハアハア言ってた。

 楽しそうで何より。

 今日はレインさんとベンジャミンがご飯担当だった。普段冷たい目をしてるレインさんが年下、特にベンジャミンを可愛がって喋ってるの可愛い。心なしかベンジャミンの料理の腕が上がった気もする。さらに可愛い。



九月十四日

 何でかは知らないけど、今日の宿題めっちゃ多かった。徹夜決定。

 ハロウィーンには食堂で晩餐会あるらしい。多分、かのハ◯ポタみたいなやつだと思う。多分。ロッティがめっちゃ楽しみにしてるっぽいし、あたしも着いてこうと思う。

 アンナも連れてってあげよっかな、誰でも参加できるらしいし。アンナの友達も一緒にどうかな。

 今日はアーサーさんとグリフィンさんがご飯作ってた。アーサーさんに言われたら逆らえないらしく、グリフィンさん、渋々ちゃんとやってた。別に下手って感じでもないけど、何でいっつも手伝わないんだろ。味はわかんないけど。

 なんとなく、黒い魔法のエネルギーの扱いのコツがわかった気がする。

 なんか、心の中に溜め込んで、ちょっとずつ出すみたいな。けど、呪怪を攻撃するのに使うにはまだ難しい。三年前は投げられたけど、今はできない。

 接近してぶつけるものなのかな、これ。いつか想呪対抗学の教授に聞こう。



九月二十六日

 リキュールは無口であまり笑わない子だ。おはよう、いただきます、お帰り、意外の言葉を殆ど耳にしない。というか、それもそんなに聞かない。

 いつもリビングにはいるけど、ずっと本を読んでいたりして、明るいアーサーさんと話すこともものすごく少ない。リキュールが発する音と言えば、声よりも右耳の鈴のピアスぐらいしかないし、リキュールの笑顔、と言われても見たことがないからすぐにイメージできない。


 それだけなら、別に何の問題もないんだけど。


 今日の夜、宿題をしていたら足音がした。

 ちょっと心配になったから、キリのいいところでみんなの部屋を覗きに行った。

 そしたら、リキュールとベンジャミンが使ってる寝室のドアが開いてた。

 ベンジャミンはベッドの中にいたけど、リキュールの方はどこにもいなかった。

 あたしの足音で目を覚ましたレインさんと近所を探したけど、全く見つからなかった。リキュールは明朝には帰ってきて、無言でベッドに戻った。


九月二十七日

 今朝、リキュールにどこに行ってたか聞いた。

 ちょっとあたしの目を見て、目を逸らした。流石に答えてくれなかった。

 一応、このことはアーサーさんにだけ伝えておいた。心配そうな顔してたけど、すぐにいつもの笑顔に戻って「気にかけておく」って言ってくれた。

 最年長、安心と信頼のリーダー気質。


 けど、いくら男の子でも深夜徘徊は心配だな……。

 今日はアンナとあたしでご飯作った。やっぱり手際良くなってる。味もしばらく食べないうちに質が上がってる。気がする。

 リキュールは今のところちゃんと寝てるっぽいし、今日のところは気にせず寝る。



























 アンナは姉の日記を元あった位置に戻し、ほう、とため息をついた。しばらく、寝落ちしてしまったであろうアリナの顔を見つめていたが、特に何かをするまでもなくベッドに戻った。

 セレスというのはこの世界線のお金の単位です。大体今の日本円と同じくらいと考えていただければいいです(じゃないと作者の頭こんがらがるし)。

 感想いただけたら嬉しいです。

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