クジラの背骨(せぼね)の懺悔(ざんげ)
久々の更新です~~~。出来れば読んでみてください!
~とある昼下がり...~
...私は近くの海辺にある行きつけのコーヒーショップでイスに座りながら本を読んでいる何てことのない普通の27歳、職業●●●の男だ。今日は晴れでとてもいい天気だ...。
何しろ、外のベランダで観葉植物に囲まれながら本をたしなみ、暖かい日差しを一向に浴びながら、アツアツのコーヒーを飲むという贅沢な邪道スタイル...、ウム、至福のひとときだ...。
“バーン”というような擬音の音がどこかから鳴った...、ような気がした。まあ、正直そういうのはどうでもいい!
たとえ、パンに■■の塩辛を掛けた上にバターをのせて、チーズを掛ける脂肪分たっぷりな邪道スタイルをここで見せつけられたとしても、何も響かないし、何も動じられない...。というか、これは唾液しか口内で出ないのではないか、という感情を抱いてしまった...。
隣の席では、いかにも夏を先どった配色をした半袖シャツを着た男女が座っており、その一番自分の近くに座る女性の皿に載ってある料理に目が行ってしまった...。
その皿には、ゆでてある丸くまとまったパスタの上に大きい双葉のバジルの葉と大きなエビが2匹、イカの胴体を切ったやつが盛り付けられ、その上には白く香ばしい匂いのするコショウ入りのクリームソースがかかっていた。その皿の横には生サーモンの切り身が小さく二切れ置いてある....
...正直に食欲をそそる匂いが鼻腔に突き刺さる...。さらには今、その料理を頼んだ女性がフォークとスプーンを綺麗に使い、■■を口に運び、咀嚼していて、とても幸せそうに料理の感想を前に座っている彼氏であろう先ほどウエイターが運んできたグラスの中に注がれた水を飲んでいる男性に言っている。
その水を飲んでいる男性の皿には、女性の料理とは違い、見た限り肉厚なステーキ―に黒く甘い匂いがするデミグラスソースのようなものが掛けられている。その横には細長いフライドポテトが8個並べており、その隣にはゆでてあるブロッコリーが2個添えられてある...。
ステーキ―に掛けられたであろう黒く光るデミグラスソースは皿の端にもかかっており、水を飲んでいた男性は右手で持っていたグラスをテーブルの上に置き、左手でフォークを持った。
そのフォークをソースが掛けられている肉厚ステーキに刺していき、グラスを置いた右手でナイフを持ち、ステーキ肉を切り取った...。
その後は切り取った肉のひとかけらを、左手で大部分の肉を刺して固定していたフォークを一旦、大部分の肉から離してから刺して、口に運び、口の中で味わうように数回噛んでいる様子が見えた...。
ああ...、なんということだろうか。この様子を見ただけでも彼らの口内にある料理の味が伝達されるどころか、ここまでに伝わるにおいがこの■■は美味だというのを告げている...。
さらに、その女性のうなじがとても柔らかなウェーブを描き、その喉元、胸、太ももと視線が行ってしまう。前の席に座る水を飲み、談笑する男性の喉元がとても柔らかそうに見える...。
...見ていて口内から貴重な水分がどんどん出てくる...。胃が徐々(じょじょ)に大きくなるのを感じる。
気づいたら俺は周りを見渡していた。普段は人が一人や二人しかいない店内に、今は十数人の各々違う年齢層の客がおいしそうなメニューを選び、席の近くに立っているウエイターに注文していた。もちろん、そのテーブルにある料理は全て鮮やかで魅力のあるものばかりでありながらも、その人達の笑顔、談笑する楽しそうな声、美味しそうに■■を咀嚼する音色...。
...ああ、なんという罪深く、■■達なんだ!!これでは、あちらから俺を魅了しているようなものだ!しかし、しかし、しかし、しかし!!俺はまだ見ていない!そう俺自身は求める最大の■■を!!
...俺にとって■■は人生の●●だ!!こうなったら、今日の喫茶店の日替わりメニューはトマトソースがドレッシングとしてかかったオムレツと朝サラダだ!!
...だが、もう我慢の限界だ...。全てが愛おしく、■べたいように感じた...。
気が付けば、俺はすぐさま立ち上がり、隣の席に座っている二人組のカップルのところにスタスタッと歩いて行った。
隣にいたカップルは俺に気が付くと、まず最初に先ほどステーキ肉を食べ終えた男性が俺に憤怒の形相でたちふさがり、意味不明な言葉を俺にまくしたてるように言うのが見え、その前にいた女性からは二の腕を組まれながら、不審げな様子で見られたが、かえって、俺の気持ちを非常に高揚させる結果になってしまった...。
今の俺の心情は“ハイ、残念です♪てめえらの■■なにおいがきつくて、■欲が湧いちまったから■させていただきます♪”と簡単に言い表すことのできる至ってシンプルな感想だった。
さあ!食べ物の確保の時間だ!!そうして俺は目の前の■■にカバンの中にしまっていた包丁を男性の首元に突き立てた!!
当然、いきなり突き付けられた男性は最初は唖然としていたが、状況を飲み込むと、急に面白いほどの悲鳴を上げて、腰を抜かした。
その男性の首元からは血の玉が出来ていて、薄皮を少し刺してしまったのが分かる。隣の女性に至っては、今見たら、数メートル離れたところでガタガタ震えていた...。
“...ああ、私を欲情させるような表情をしないでくれ..。おもわず、調理が出来ないじゃないか...。”
そして、俺は男性の首にさらに刃を当てて、そのまま、横になぎはらった...。そこからは甘美な液体が多くあふれていき、その液体がどんどん包丁に吸い込まれていく...。
...そのまま、多く喫茶店にいた■■の悲鳴という名の合唱を聞いた...。
“実に良い最高のスパイス...。なんて甘美な香りなんだろう...。”俺はそう思い、他の観客たちにも包丁をふるった...。
...気づいたら、目の前にはほとんどあった■■がなくなってしまった...。ん~~~。残念。きれいだった床のフロントはなぜか古びており、近くにあった観葉植物もなぜか色褪せて、茶色く枯れてしまっている...。
...床にはちぎれたレシートとおぼしきものと女性用のカバンから紐がちぎれ、持ち手からいろんな小物がこぼれていた...。また、その横には、女性用の半袖シャツと半ズボンなるもの、厚手のヒールや、その前方向の席には先ほどから座っていたはずの男性の姿がなく、代わりに男性の座っていたイスに男性が着ていたはずの白い半袖シャツや薄いジーンズズボンやテーブルの上には男性が身に着けていた時計があった...。
ふと、周りを見渡してみると、あちらこちらも床に喫茶店に先ほどまでいた客達の姿はなく、代わりに客達が身に着けていた服や時計やカバン、アクセサリーといった装飾品、靴といったものが床に散乱していた...。
...しかし、俺はそんなもの気にせずに歩き、包丁についていた黒の液体をひとしきり舐めて、十分にスパイスの香りと甘美な芳醇な味を楽しんだ...。
いつも通りにレジ打ちのある出口に向かい、外に出た。途中、なにやら、お金やら札束やら、倒れた観葉植物、様々(さまざま)な年齢の服の数々(かずかず)を踏んできたが、それも正直どうでもいい...。今は久々(ひさびさ)に感じる満足感、爽快感を味わいたい...。
そして、いつの間にか俺は喫茶店の近くにある海岸へと足を向けていた...。
今、踏みしめている砂浜には、多くの色鮮やかなガラスの破片もあった。正直歩きつらいし、危険なことこのうえないので、俺は右腕を空に挙げて、手をパーの形にして、●の●●を唱えた...。
...よし、これであらかたの破片の除去が終わった...。しかし、お腹がまた空いてしまった...。なにか■■はないだろうか...。
2、3歩くらい歩いた先に目の前に白く大きな縞模様の何かが横たわっていた...。よくよく見るとそれはクジラの死骸だったので、直観で美味たるものだ、と俺は判断した...。
...しばらく、それらの肉片をカバンの中にあった銀製とおぼしき、ナイフやフォーク、スプーンで咀嚼した後、白く固いと感じるナニカが歯にあたるのを感じた...。
気づいたら、俺はそれに付いていた肉片をかき集めて、その正体をあきらかにしようとした。
そして、それはいきなり現れた...。
...それは骨であり、両手でも覆えないくらい幅広く大きいものであることが触ってみて分かった...。クジラの背骨であることが分かったのは、ほとんどクジラの全身を喰ったあとだった...。
...そして、俺はこのあと懺悔した...。自分が食ってきた■■に対してではなく、いままで食べてきた中で、これが最高の●●であることにだ...。
そうしてから、俺は私と改めて、旅に出た...。最高の食材を提供する美食家として.....。
小説の世界観の設定も同時並行して書かないとまずいかも...。