冒険者になりました!
素材名:黒き毛皮
ランク:D
状態:すごくダメ
効果:耐久+15 装甲+14 速さ+5
素材名:荒熊の爪
ランク:D
状態:すごくダメ
効果:攻撃+32 武装『ハイスラッシュ』強化
耐久:45 → 60 アップ!
攻撃:71 → 103 アップ!
装甲:41 → 55 アップ!
速さ:22 → 27 アップ!
武装『ハイスラッシュ』から『ベアクロー』にバージョンアップ!
森で急いで修理する。魔物が来たら大変だ。解体のほうはすごく硬くて、刃が通らなくてすごく苦労した。新しく解体用の道具を買っておいてよかったと思う。
残った素材を冒険者ギルドで売るとして、今回はあまりお金にならなそう。森の粗暴者のせいで、探索時間が減っちゃったから。
* * *
「き、君。これ、森の粗暴者の?」
「はい。ゴーレムが頑張ってくれました」
冒険者ギルド受け付けのおじさんがまたメガネを指で直す。野草と森の粗暴者の素材を売ろうとしたら、驚かれる。
森の粗暴者のせいで薬草なんかの素材が採取しにくい事。何人もの冒険者が殺されている事。それを聞いて私もびっくり。
そんな恐ろしい魔物を私のゴーレムが倒したんだ。
「なんだって?」
「あの暴れ熊をそのガラ……ゴーレムが? いや、なんか見違えたな」
「これブロンズ製か?」
皆が集まってきて私とゴーレムを囲む。
「どれどれ……うわっ! う、腕を上げたぞ!」
「あ、すみません!」
ゴーレムが両腕を上げてアピールすると、またびっくりさせちゃった。魔物用の動作が出ちゃったみたい。後で回路を直さないと。
「こ、こんなに滑らかに動くのか?」
「どうやって動いてる?」
「これはですね……」
回路の説明をしたら、皆がもういいと焦る。まだほんの初めの部分なのに。
「魔導機師って不遇職じゃなかったのか?」
「そうだよな。君はこの街の生まれなのか?」
「えっと、そうです」
「両親は?」
「いないです」
エドワールおじさんの事は話さなかった。もっと質問されるかと思ったけど誰も聞いてこない。
思ったより優しい人達なのかな。少なくともガズーが馬鹿するような人達じゃないと思う。冒険者なんて最底辺だとか、すごい悪口を言ってて気分が悪かった。
「君は冒険者登録してないよな」
「はい。お金が溜まるまでの辛抱です」
「俺が払ってやるよ」
「えっ! そんな、いいです!」
「本当はもっと早く助けてやるべきだった。大人として反省する」
「俺も少なからず金を出すぞ。オヤジ、問題はないよな?」
皆が次々と私の為に登録料を払ってくれる。受け付けのおじさんがお金を受け取った後、用紙を出す。
文字が書けるか心配されたけど、スラスラと書いた。
「書けました!」
「読み書きも出来るんだな……。とにかく、これでギルドを本格的に利用できる」
ギルド内には寝床があるし洗濯も出来る。これで野宿しなくていい。
だけどあまり活動してないと、ライセンスを取り上げられるから注意しないと。
「昔は冒険者ランクなんてのがあったらしいんだけどな。今は廃止されてる」
「どうしてですか?」
「上下関係ってのは時にいざこざを生むからな。それで大きな騒動があったとか何とか……」
「上下ですか……」
なんかソードマスターと魔導機師みたいだ。ガズーは優遇職で、私は不遇職だから追い出された。
変な顔をしていたせいで、受け付けのおじさんが心配そうにのぞき込んでくる。
「大丈夫か?」
「あ、はい。丁寧にありがとうございます」
「いい子だ。他に何か知りたい事はあるか?」
「知りたい事……」
私は少し考えた。あれもこれも聞いても迷惑だし、頭の中で必要な情報をまとめてみる。そして一番知りたい事を質問した。
「冒険者の人達は解体をどうしてるんですか?」
「魔物の解体か? こればかりは経験しかないな。まぁ解体に関してはレンジャーが適任だ」
「レンジャーなら、解体をうまくできるんですか?」
「君がやっていたマイスターハンドと同じだよ。レンジャーがいれば、解体に困らない。もちろん知識は必要だがね」
「解体を覚えたいのか? それなら微力だが力になるぜ」
冒険者さんの一人が自分を親指で指す。
「お、お願いします!」
「ただし俺はレンジャーじゃないけどな。それでも、基本的な知識や技術はあるつもりだ」
「いえ! とてもありがたいです!」
「よし。それじゃ明日から始めるか。今日はもう遅い」
ようやく解体について学べるかと思うと、期待で眠れなくなりそう。
優しい冒険者さんのクラスはソードファイターで名前はリッド。年齢は23歳。
一人旅してる冒険者さんで、腕には自信があると言ってくれた。私も負けないようにゴーレムをもっと強くしよう。