ネームドモンスター森の粗暴者!
毒草を見分けて、薬草を集めれば少しずつお金が溜まる。ついにこの素材を買って、ゴーレムがすごくパワーアップした。
素材名:ブロンズソード
ランク:E
状態:良い
効果:耐久+20 攻撃+30 装甲+10 武装『回転斬り』追加
売値:2000ゼル
耐久:25 → 45 アップ!
攻撃:41 → 71 アップ!
装甲:31 → 41 アップ!
武装『回転斬り』追加!
生活費等を抜いた所持金:155ゼル
二匹のガルフが跳びかかってくる。パンチやスラッシュだけなら一匹ずつしか相手にできなかったけど、今は違った。
刃がついた両手を広げて、その場で回転。一匹のガルフが口から裂かれて、もう一匹は頭が真横にスッパリ。気持ち悪くてあまり見たくないけど我慢、我慢。威力も上がっているし、これならバフォロもきっと安定して倒せる。
ガルフ1 耐久 0/7
ガルフ2 耐久 0/8
魔物の耐久も何とかわかるようになった。初めてガルフを倒した時の攻撃が7だから、ガルフの耐久もその前後あたりだと思う。
魔物にも装甲というか硬さがあるし、個体によって違うから確実とは言えないけど。バフォロはたぶん、40くらいはある。大きいのだと50くらい?
魔物とゴーレムを戦わせれば、魔物に情報解析できた。
今のゴーレムならバフォロを安定して討伐できる。あの突進を受けたとしても、今の耐久と装甲なら受け切れるはず。
そう思って、森を出ようとした時だった。
「な、なに!?」
まずいと思った時には見つかっていた。
「ゴ、ゴーレム!」
何かがこっちに向かってくる。背中を見せて逃げても間に合わないから、戦わせるしかなかった。
あれは冒険者ギルドでも手配されていた魔物だ。黒い体毛に大きな体、爪、垂れる涎。ネームドモンスター、森の粗暴者だ。
ガルフよりも素早くてバフォロよりも力強い熊型の魔物だった。冒険者ギルドでこの魔物の情報を見た時に、今まで出会わなくてよかったと思ったっけ。
「出来れば戦いたくなかったけど、勝ち目がないわけじゃないっ!」
今のゴーレムなら立ち向かえる。まず回転斬りで森の粗暴者を近づけさせない。
それでも森の粗暴者が大きな腕をゴーレムに振り下ろすと、回転斬りが止められる。
粗暴者は腕が回転斬りで斬られながらも、覚悟して攻撃したんだ。
「で、でも、こっちも大丈夫! もうスクラップじゃないもん!」
ブロンズゴーレム 耐久 38/45
森の粗暴者 耐久 123/150(推定)
粗暴者がギロリと睨んでくる。私を狙わないようにゴーレムには自分をアピールするようにしていた。
両手を上げてやる気をアピールするポーズだ。魔物にこういうのが通用するかはわからないけど、ないよりはマシだと思う。今までのガルフやバフォロ戦の経験があるから、回路も組み直している。
でもあの粗暴者相手だと、攻撃が避けきれない。しかも回転斬りをしても攻撃してくる狂暴な魔物だ。
「ングォアァッ!」
「ハイスラッシュ!」
ゴーレムが先手で動いて、胸のあたりにハイスラッシュが決まった。バッサリと斬られて、あの粗暴者がフラフラする。
続いてパンチからの回転斬り! でも粗暴者も負けてなかった。
回転斬りが終わったところを見計らって、また大きな腕を振り下ろす。ゴーレムが嫌な音を立てて、こっちも危ない。
ブロンズゴーレム 耐久 27/45
森の粗暴者 耐久 81/150(推定)
「互角……!」
ゴーレムが壊されたら、私なんか一発で殺される。このまま逃げてくれたら嬉しいけど、粗暴者なんて呼ばれてるくらい狂暴だ。
むしろやる気になって、今度は四足歩行になって突進してきた。回転斬りしつつ、かわしつつ。少しでも刃を当ててくれた。
背中を見せたところでハイスラッシュ!
森の粗暴者 耐久 53/150
「グウウオォォッ……!」
「まずいっ!」
回転斬りが終わった直後が弱点だ。一気に体勢を立て直してからの突進で、ゴーレムが吹っ飛んでしまう。
ブロンズゴーレム 耐久 8/45
落ち着いて、落ち着いて。今の突進の後で息を切らせてるし、血もすごく流れている。
あっちと違うのはこっちにダメージはあっても、痛くて怯んだりしないところだ。
吹っ飛ばされても、今度はゴーレムが突進して顔にハイスラッシュ! ハイスラッシュ! ハイスラッシュ!
「ギャアァァァッ!」
森の粗暴者 耐久 21/150
「回転! 回転! かいてーん!」
頭を上げて咆哮を上げたところで、胴体を見せてくれた。一気に連続で回転斬りで斬り込んだところで、粗暴者が大きな体を後ろに倒す。
森の粗暴者 耐久 0/150
「し、死んでる、よね?」
ピクピクと痙攣しているけど流している血の量が多いし、もう動けない。
そして完全に動かなくなったところで、体中の力が抜けた。震えが止まらないし、立てない。
「こ、怖かった……」
ゴーレムを修理しないと。よくやったって褒めてあげたい。