表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/31

素材を売ってお金を稼ぎます!

 山菜や薬草をたくさん採ってから、街に戻ってきた。汚らしい恰好みたいで、皆からヒソヒソと囁かれる。気にしない、気にしない。私は強く生きるんだから。

 今は冒険者ギルドにいって、山菜や薬草を売る。ガズーは馬鹿にしてたけど、冒険者ギルドは皆にとって必要な場所だ。冒険者なら野生でしか採れないものを納品できるから、助けられてる人は多い。

 他の業者は実績が必要だったり、登録料がかなり高いから冒険者ギルドだけが頼りだった。ここなら登録しなくても、品質がよければ引き取ってくれるみたい。ただし、依頼なんかは無理だけど。なんて、お母さんが話してくれた事を思い出した。


「これ全部、売ります!」

「……君がこれを採ってきたのか?」


 ギルドの受け付けのおじさんが、眼鏡を指で直しながら見る。手にとって確認する作業が速くなった。なんだか焦ってるのかな。


「こ、これ、アライダケか。似たようなキノコが多くて、毒性が強いものが多いが……。全部、本物だ。こっちのカラミ草やヒリング草も本物……。君が本当に採ってきたのか? 保護者はいないのか?」

「保護者は、い、いません」

「さっきから気になっていたが、その人形は何だ?」

「これはゴーレムです」


 思いきって魔導機師だと話してみた。今はガルフを倒せるくらい強いゴーレムだ。きっと蹴られないはず、きっと大丈夫!


「う、動いてる……。いやしかし、これがゴーレムか?」

「ガルフを倒せました! こうやって!」

「うおお! パンチだと!」


 パンチにスラッシュと、一通りやって見せた。他の冒険者達も集まってくる。


「なんだこれは? これがゴーレムだって? このパンチ、少し受けてみてもいいか?」

「け、怪我しますので」

「おいおい、舐められたもんだな。でも、わかった。手甲の上で受けてやるよ」


 ゴーレムパンチを冒険者の手甲に当てた。思ったよりも強かったみたいで、腕が弾かれる。手甲をさすった冒険者がゴーレムと私を交互に見比べた。


「こ、この威力……確かにガルフくらいなら倒せる! おいオヤジ! 魔導機師がゴーレムを完成させたってビッグニュースじゃないのか!?」

「そういえば、そうだな?」

「呆けてんじゃねえよ! こんなものを連れて歩いたら、誰でも振り向くぞ!」


 皆が私を見ていたのは、このゴーレムを連れていたからかな。まだ私と同じくらい小さいゴーレムだけど、それでも珍しいはず。ギルド内が騒がしくなってきた。


「ガルフを倒せるゴーレムだって? ゴーレムって子どもの玩具じゃないのか? オヤジ、どうなのよ?」

「ワシだって知らんよ……。だが魔導機師そのものがレアだからな。不遇職とは言われているが、例が少なすぎただけかもしれん。魔導機……ゴーレムといえば、古の時代に活躍したと伝えられているもののイメージが強いからな」


 ギルドのおじさんのお話に皆が納得していた。少し動く程度のものなら玩具師にも作れるから、魔導機師はいろいろなクラスの劣化版だの下位互換だの言われている。


「古のゴーレムはとてつもなく巨大で、炎や冷気を操ったり空を飛ぶ奴もいたらしい。そんなゴーレムが作れたら、魔導機師も見直されるかもな」

「まだまだ強くなります! 私、頑張ります!」

「うむ、ワシも冷静になってきたが戦うゴーレムなどお目にかかった事がない。一体どうやってこれを作った?」

「あの、は、廃材置き場のもので」

「……あのガラクタで?」


 さすがに怪しまれた。どうすれば嘘じゃないと証明できるんだろう。室内を見渡すと、一人の冒険者さんが持ってた武器が気になった。亀裂だらけでひどい状態だ。


素材名:壊れた槍

ランク:C

状態:すごくダメ

効果:耐久+3 攻撃+12 装甲+4


「その槍、もう……」

「ん? これがどうしたって?」

「い、いえ!」


 前にアグネおばさんにぶたれた事を思い出した。でもあれを使えば証明できる。ここまで来たんだ。ぶたれたっていい。


「その槍を使えば、ここでゴーレムを強くできます!」

「これで? そろそろ買い替えようと思ってたし、ちょうどいいが……本当に出来るのか?」

「はい!」


 槍を床に置いて、マイスターハンドを使う。先端部分と柄部分を分離させて、それぞれゴーレムに組み込んだ。

 皆が驚きの声をあげたりして、なんだかどよめいている。


耐久:18 → 21 アップ!

攻撃:11 → 23 アップ!

装甲:14 → 18 アップ!

武装『スラッシュ』が『ハイスラッシュ』にバージョンアップ!


「スラッシュの精度が上がりました!」


「ま、マジ、かよ」


 少し刺々しくなったゴーレムが皆を驚かせた。

 Cランクの壊れた槍でこれだけ強くできたのは嬉しい。もし普通の状態なら、もっと強くできたんだろうけど。


「おじさん! この素材を売りたいんです!」

「あ、あぁ。もちろん買い取るよ」


 初めて手に入れたお金だ。なんだか重く感じられる。

 お母さん。私、生きていけるよ。お金を稼いでいい服も買っておいしいものを食べる。ゴーレムも強くする。


名前:スクラップゴーレム

耐久:21/21

攻撃:23

装甲:18

速度:7

耐性:炎(弱)

武装:スクラップパンチ

   ハイスラッシュ


生活費等を抜いた所持金:1049ゼル

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ