ゴーレムが完成しました!
「で、出来た……」
今、持っている知識だけでゴーレムの回路を作った。これがすごい大変で、単純な行動をさせるだけでも複雑になる。今までの魔導機師達もこのせいで不遇職扱いされたのかもしれない。
マイスターハンドで回路に必要な部品は作ったけど、元が廃材だからいつ壊れてもおかしくない。
そしていよいよ起動すると――
「動いた!? やったかも!」
一歩ずつぎこちなく歩く。私が作ったゴーレムが今、動いてる。
「走って!」
足を速く踏み出すけど遅い。しかも動きがよりぎこちなくなって、なんだか壊れそうだ。
腕を上げたり下げたり出来るけど、それだけ。簡単な動きも怪しい。絵本で見たゴーレムとは違う。あれはもっと大きくて強かった。でも今は初めてゴーレムが作れてすごく嬉しい。
「このゴーレムの状態は……」
名前:スクラップゴーレム
耐久:7/7
攻撃:0
装甲:7
速度:1
とりあえず動くものが出来た。ここから更に廃材の中から使えるものを探して強化していこう。そうなると、これとこれはどうかな?
素材名:何かのバネ
ランク:F
状態:普通
効果:攻撃+2 速度+3
攻撃:0 → 2 アップ!
速度:1 → 4 アップ!
「これを腕に装着してみたら……」
腕が伸びたり縮んだりして、パンチが打てるようになるかもしれない。その為に回路を少しだけいじる。
不思議と頭がスッキリしていた。魔導機師になったおかげかわからないけど、次々と閃く。
よく見れば、ここにあるものはほとんどが素材だ。皆が見落としていたものを再利用すれば、すごいゴーレムが作れそうな気がする。
この食用油だって、使い道はあった。
素材名:トムラの油
ランク:E
状態:ダメ
効果:速度+2
速度:4 → 6 アップ!
関節部分に使ったら、動きがなめらかになった。何だか楽しくなってきて、夢中で素材を探して回る。
回路をいじってパンチが出来るようにしたら、更に面白い。試しに廃材にパンチをさせたら、結構大きい音が出てビックリした。人が来たら大変だから静かにしないと。
「装甲の内部にもう少しクッションがほしいな。綿をぬいて……」
素材名:使い古された布団
ランク:F
状態:ダメ
効果:装甲+1 耐久+3
耐久:7 → 10 アップ!
装甲:7 → 8 アップ!
次に見つけた壊れた魔導具も解体したら、中からいろいろ使えそうなものが出てくる。もったいない。
使えなくなった魔石も加工すれば、別の使い道があった。もっと腕周辺を改造してパンチの威力も上げておけば、護衛になるかも。
素材名:解体された魔導具
ランク:D
状態:普通
効果:攻撃+5 装甲+2 耐久+4
素材名:使い古された炎魔石
ランク:F
状態:すごくダメ
効果:炎耐性(弱)
耐久:10 → 14 アップ!
攻撃:2 → 7 アップ!
装甲:8 → 10 アップ!
炎耐性(弱)を付与!
試しにもう一度、動かしてみた。さっきよりもスムーズに動くし、関節の動きも滑らかだ。
腕を曲げて伸ばして、足を曲げて伸ばして。このまま躍らせてもいいくらいだけど、素材が廃材だから壊れそう。
錆びた鉄板を加工したグーの手を私が掴んで力比べだ。
「うわわわわっ! つよっ!」
押し負けて倒れてしまった。一人で何をやってるんだろう。
このゴーレムはすでに私よりも力が強い。これでパンチなんてさせたら、と思うと。試してみよう。
崩れかけのブロックにパンチさせてみたら、真っ二つに割れた。うん、私より強い。
大昔に兵器として使われたゴーレムに比べたら全然だけど、少しずつ強くしよう。すごいゴーレムを作れば、誰も魔導機師を不遇職だなんて言わないはず。まずは弱い魔物を倒せるようにしたい。
名前:スクラップゴーレム
耐久:14/14
攻撃:7
装甲:10
速度:6
耐性:炎(弱)
武装:スクラップパンチ