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矢と盾が必要です!

 今日はリッドさんに二人の冒険者を紹介してもらった。

 一人は弓手(アーチャー)のリリンさん。弓の扱いがうまくて、この街の冒険者一の腕だとか。

 もう一人は重戦士(ウォーリア)のウェントさん。体が大きくて、重そうな鎧と盾を持ってる。アイアンゴーレムみたい。

 場所はいつもの草原だ。


「お忙しいところ、ありがとうございます」

「いいのよ」

「そのゴーレムと俺ってそっくりだよなぁ! ハハハッ!」


 リリンさんはあまり表情が動かないから、機嫌が悪いのかなと思っちゃう。

 ウェントさんは声が大きくてすぐ笑う。どっちもリッドさんが紹介した人だし、悪い人じゃないと思う。


「で、今日はこの二人に教えてもらいたいことがあるんだって?」

「蜜なる激母みたいに飛んでる魔物には、いくら攻撃力が高くても当たりにくいのでゴーレムに矢を撃たせたいんです」

「だそうだ。リリン、いいか?」

「私はいいけど、そのゴーレムに出来るかどうかは知らないわよ」


 冷たく突き放すような言い方だけど、私が頼んだ事だ。

 大人の女性は綺麗で、体がスラッとしてかっこいい。ウェントさんもガッシリとした見た目が強そう。


「それで俺は何の役に立てばいいんだ? お、わかった! 言わなくてもわかる! この盾だな?」

「そうです。私が乗ってる3号は攻撃性能を捨てて、守りを固くしたいんです」

「なるほど、なるほど! そういう事なら任しておけ! 手始めにバフォロ相手で試すってわけだな?」

「他にもいろいろな魔物でお願いできますか?」

「いいとも!」


 ノッシノッシと歩いていったウェントさんの前に、さっそくバフォロが現れた。

 前足で地面をかいてからの突進! あ、でもあれって?


グレートバフォロ 耐久 100/100(推定)


 バフォロじゃない! 角の形や身体の色が違う!


「どっせぇぇぇぇいッ!」


 バフォロよりも強い突進を受けたウェントさんが踏ん張って、盾で受けた。

 衝撃で地面につけた足が後ろに下がるけど、体勢はそのままだ。

 突進を受け止めきったウェントさんは、ニッと白い歯を見せて笑う。


「リリン! やっちまえ!」


 無言でリリンさんが弓を構えて矢を打つと、グレートバフォロの頭に突き刺さる。大きな体が音を立てて倒れた。


「……こんなものでいい?」

「は、はい」


 さっそく2号の回路をいじり始めた。打つときの構えをゴーレムの回路に行動パターンとして組み込む。

 それから3号には片手に盾を持たせてるから、あとはウェントさんの踏ん張りを参考にする。

 1号は接近戦、運搬用の2号は遠距離、3号は守りと役割を決めていた。


「それ、何がどうなってるの?」

「皆さん、難しいといいます」

「何が何だか、ね」

「おう! 見ただけで眩暈がするな! ハハハッ!」


 終わった後はすぐに試したい。でもそんなに都合よく魔物がいるわけないから困った。


「突進役なら俺がやろうか? 壊しちまっても知らねぇがな! ハハハハッ!」

「ウェントさん、お願いします」

「よぉし、よく言った! そんじゃ……どっせぇぇい!」


 ウェントさんの突進はグレートバフォロにも負けてなかった。それどころか重さがあるはずの3号が盾を構えているのに、バランスを崩して吹っ飛ばされる。


3号 耐久: 61/100


「……やりすぎたかぁ?」

「いえ! 強烈でありがたいです!」

「妙な事で礼を言われちまったな! ハハッ!」


 アイアンゴーレムをあんなに吹っ飛ばすなんて、このウェントさんはすごく強い。

 リッドさんを見ると、得意気に笑ってた。


「どうだ? この二人はこの街でもトップクラスの冒険者だ。森の粗暴者や蜜なる激母くらいなら一人で討伐できるぜ」

「すっごい!」

「もし冒険者の等級なんてのがあったら、三級以上は固いな」

「さんきゅー以上!?」

「俺は一級な」

「いっきゅー!」


「……続けないの?」


 リリンさんが呆れている。せっかく協力してもらってるのに悪い事をしちゃった。

 それから草原にいる魔物相手にリリンさんに矢を撃ってもらって、その度に回路を修正する。

 遅い魔物、素早い魔物、飛んでる魔物。それぞれに当てなきゃいけないから大変だ。

 盾での防御は関節部分を強化しつつ、衝撃も和らげるように直す。力も大切だけど、どれだけ衝撃を緩和できるかが大切だとウェントさんが教えてくれた。


「どおりゃっ!」


3号 耐久 42/100


「ぬおりゃあっ!」


3号 耐久 11/100


「わっ! ちょ、ちょっと待って! 修理(リペア)しないと!」


 やっぱりやりすぎたか、とウェントさんが豪快に笑う。矢のほうは少し安定してきたけど、リリンさんには敵わない。

 リリンさんはほとんど当てているのに、2号ゴーレムは半分くらいしか当たらなかった。気がついたら夕方になっている。


「難しいです……」

「私だって百発百中とはいかないわ。でもそのゴーレムなら私よりうまくなる」

「そうなんです?」

「私も人間だから状況によっては気が焦って手元が狂う事がある。だけどゴーレムならそんな事ないでしょ?」

「そ、そうですね!」

「それは俺も同じだぜ。特に最近は腰にきてなぁ」


 まだ完璧とは言えないけど、今日だけでゴーレムがまた強くなったはず。今日の素材はお礼として三人に譲る。

 お礼を言って別れた後はしばらく改良したゴーレムを眺めた。


名前:アイアンゴーレム2号(運搬用)

耐久:150/150

攻撃:90

装甲:150

速さ:90

耐性:なし

武装:ボウガン


名前:アイアンゴーレム3号(移動用)

耐久:100/100

攻撃:90

装甲:100

速さ:110

耐性:なし

武装:シールドアタック

アビリティ:シールド防御

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