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お母さんは強い!?

名前:アイアンゴーレム1号

耐久:230/230

攻撃:300

装甲:270

速さ:115

耐性:炎(弱)

武装:アイアンパンチ

   ベアクロー

   高速回転斬り

   突進

   ポイズンスピア

アビリティ:ホバーブースト


名前:アイアンゴーレム2号(運搬用)

耐久:150/150

攻撃:90

装甲:150

速さ:90

耐性:なし

武装:アイアンパンチ


名前:アイアンゴーレム3号(移動用)

耐久:100/100

攻撃:90

装甲:100

速さ:110

耐性:なし

武装:アイアンパンチ


 余った鉄を貰ってゴーレムがすごく強くなった。3号を作れるくらい素材を貰えて嬉しい。

 ブロンズより頑丈になったおかげで重い物を持てるようになったり、私も乗せられる。関節部分に負担がかかるから、まだ直すところはあった。

 3号は運搬用と同じく、背中に私が乗る席をつけてみた。おかげですごく移動が楽になる。


「うーん……。もう少し何とかならないかなぁ?」


 背中に乗るというのが、ちょっとしっくりこないというか。バランスが悪いというか。

 でも移動に問題はないから、今はこれでいいか!

 来た時は二日もかかったけど朝早く出発して街に帰ってきた時は夜だった。一応、半分近く移動時間が減ったのかな?

 さっそくギルドに報告してからひとまず寝て、朝になってから鍛冶師のところに行く事にした。


「て、鉄だ! おぉ! よくやった!」


 このゴッドンという人も会った事がある。そうだ、私を蹴った人だ。

 もう忘れてるのかな。喜んでばかりで、私を見ても何も言わない。


「鉱山事故だぁ!? まったく、何年やってんだかよぉ!」

「そんな……。天候で岩盤が緩んじゃう事もありますし、掘り進めたらいろいろなところが崩れやすくるからしょうがないです」

「そこを何とかするのがプロってもんだろうが! あそこにゃ採掘師が何人もいるしな!」

「採掘師はよくわかりませんけど、私も不遇職です」

「あ? そういやお前、なんか見たことあるな……あぁー!」


 私を睨むように見続けた後、大声を出した。今まで怒ってたのに急に静かになる。


「お前……確か、前に……働かせてくれと言ってきた……。魔導機師か!?」

「はい」

「あ、そ、そうだったの、か……」


「あんた、どうかしたのかい?」


 工房の奥から、おばさんが出てくる。腕も体も太くて強そう。

 おじさんが慌てて振り向くと、なんか声が変わった。


「い、いや。何でもないんだ。ほら、鉄が届いたぜ」

「そりゃよかったね。その子にお礼を言わないとね」

「そう、そうだったな! ありがとな!」

「いえ、どういたしまして」


 なんでこんなに慌ててるんだろう。この人がおじさんのお嫁さんかな。

 お父さんってお母さんに弱い? お母さんしかいないから、よくわからない。


「それじゃ、お嬢ちゃん。またな」

「ちょっと待ちな、あんた。あたしに内緒でギルドに依頼したのはまだいい。けどね、支払う報酬が8000ってのはケチ臭すぎないかい?」

「いいい、いや、でもよ! さすがにうちも苦しいしよ……」

「確かに納品も遅れて結構な損失だけどね。この子じゃなかったら誰も引き受けない報酬額だ。それに鉱山事故の救助作業までやったそうじゃないか。それであんた、なんて言ったっけ?」

「悪かった! 口が過ぎた!」

「その子に謝るんだよ!」

「すまんかったぁ!」


 おじさんが手をついて謝ってきた。おばさんがおじさんを睨みつけてから、私に何か渡してくる。お金だ。


「これ、とっておきな」

「こんなにいいんですか!?」

「鉱山事故の救助がなけりゃ、うちも首くくりだったよ。それに納品が遅れてりゃ尚更さ。だーれもうちに発注しなくなる」

「で、でも悪いような……」

「なーに、うちの家計なんて旦那のおこづかいと酒代を差っ引けばまだ何とかなるさ」


「ウソだろぉ!?」


 悲鳴みたいな声をあげて、おじさんがおばさんにすがってる。お父さんって強そうと思ってたけど、今は弱そう。

 というより、おばさんが強いのかな。また睨まれて、今度は縮こまっちゃった。


「ごめんね、かわいいお嬢ちゃん。うちのは昔から口が悪くてトラブルばっかり起こしてね」

「いえ! 蹴られた事も気にしてません!」

「……蹴られた?」


 つい喋っちゃった。その途端におばさんがゆっくりとおじさんに向き直る。おじさんは頭を抱えながら、工房の端に逃げた。


「あんたがあの子を蹴ったってのかい?」

「いや、そんなわけ」

「正直におっしゃい」

「し、仕事が立て込んでて、そんな時に、ま、まま、魔導機師なんて言いやがるから、つい……軽く」

「そうかい」


 おばさんがおじさんの背中に腕を回して、工房の奥へと連れていく。

 なぜかわからないけど、私も帰らなきゃいけない気になった。


「じゃあね、お嬢ちゃん。気をつけて帰るんだよ」

「は、はーい!」


 急いで工房を出た後、魔物の雄叫びみたいな声が聴こえてきた。だけどそれは森の粗暴者が倒れる前に出した鳴き声に近いかも。

 これから死ぬ時に出す声というのかな。なんだか、かわいそうになる悲鳴だった。

 その後で冒険者の人達が噂してたけど、荒くれ者で有名だったゴッドンさんがほとんど別人になってたみたい。

 丁寧な言葉で話して、笑顔も絶やさない。すごく腰が低い人になっていて、その近くには常におばさんがいるとか。

 お母さんも、お父さんが生きていたらあんな風になっていたのかな。私は優しいお母さんが好きだから、怖くなってほしくない。


生活費等を抜いた所持金:38999ゼル → 65145ゼル

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