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ゴーレムを作ります!

 古くなったり壊れて使えなくなった魔導具、錆びた刃物、木材、食器や調理用具。

 確かによくない状態だけど、なんでこれを捨てるんだろうと思った。どれもまだまだ使える。

 この街はお金持ちの人が多いから、ちょっとしたことで捨てる人が多いのかも。


「私は……お母さんが大好き」


 大好きなお母さんが、私に謝った。エドワールおじさん達にいじめられた事よりも、ずっと思い出に残ってる。

 残っているのは悪い記憶だけじゃない。お母さんがたくさん買ってくれた本の内容、今まで見てきたもの。

 その中にはお屋敷の出来事もある。いろんな魔導具があったし、使い方も見てる。仕組みや部品は予想だけどきちんと想像できる。

 頭の中で情報と情報を合わせると、新しい答えが出てきた。すると、何かが見えてくる。


素材名:くさった木材

ランク:F

状態:ダメ

効果:耐久+1 装甲+1


素材名:錆びた鉄板

ランク:F

状態:ダメ

効果:耐久+1 装甲+3


魔導具名:壊れた焜炉

ランク:E

状態:ダメ

効果:耐久+5 装甲+3 速度+1 火耐性(弱)


「あれ、こ、これって?」


 魔導機師に目覚めたおかげかな。魔導機として使えそうな素材も何となくわかる。

 最初からこうやって見えたら捨てられなかったかな。いや、ダメだ。

 前にアグネおばさんが買ってきた高級コートを偽物だと言ったら何度も叩かれて、食事も抜きにされたから。

 話も聞いてくれなかったし、後でエドワールおじさんにも叩かれた。あれ以来、何か思っても絶対に言わないようにしたんだっけ。


「頼れるのは自分だけ……誰も助けてなんかくれない」


 持ってる自分の知識だけで魔導機、ゴーレムを作るしかない。

 気がついたら私はガラクタを漁っていた。絵本で見た事があるゴーレムを思い出して、腐った木材と鉄板で形を作ってみる。


「マイスターハンド! 切断、分解、熔解、接合、溶接……」


 マイスターハンド。道具がなくても思い通りに素材をくっつけたり加工できるという生産職の基本スキルだ。調理師のクラスは調理用具がなくても、どこでも調理が出来る。もちろん人を傷つけたりとか、他の事には使えない。

 それに素材加工は出来ても、作り方や素材選びなんかは自分で経験しなくちゃいけないんだ。魔導機師も同じなはず。料理と違ってこっちはほとんど誰も作り方を知らない。

 両手だけで木を細かく切ったり、鉄板を自在に曲げたり溶接できる。外側はともかく、大切なのは中身だ。動く仕組み、そして自動で動くようにしなくちゃいけない。


「関節部分はあの魔導具を参考にして……」


 お使いに行った時に見た自動で動く魔導具を思い出す。二本の腕が延々と伸びたり曲がったりして、物を移動させてたっけ。

 見とれて遅くなったせいで、ガズーにゲンコツされたし買ったお菓子も投げつけられた。


「細かい仕組みはわからないけど、それはあの原理を使って……」


 見たもので行き詰まったら、お母さんが読んでくれた本だ。いろんなものの簡単な仕組みが書かれた本が楽しかった覚えがある。

 全部、頭の中に入ってるんだ。お母さん、私は生きる。生きて胸を張って、幸せですって言うんだ!

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