また森の粗暴者!
リッドさんのおかげで解体もうまくできるようになった。マルクトさんのおかげでゴーレムの速さを上げる方法がわかった。
私もゴーレムもパワーアップしたから、試しに森を探索してみる。
ガルフが来てもすぐに倒せるし、前に来た時よりも快適に素材を集められた。
素材名:ガルフの毛皮
ランク:F
状態:普通
効果:耐久+11 装甲+7
素材名:ガルフの爪
ランク:F
状態:普通
効果:攻撃+8
素材名:ガルフの牙
ランク:F
状態:普通
効果:攻撃+10
攻撃:145 → 163 アップ!
耐久:95 → 106 アップ!
装甲:90 → 97 アップ!
同じ素材でゴーレムを強化できないけど、状態がよくなればまた使える。普通の状態になった素材で強化できた。
運搬用のゴーレムのおかげで、野草をたくさん持てる。この森の探索が終わったら、次は草原に行こう。
今の私ならバフォロだってうまく解体できるはず。
「あ……!」
ガルフよりもずっと強い魔物が唸り声を上げてやってくる。黒い体毛に大きな体、爪を持つ熊の魔物。森の粗暴者だ。
前に倒した個体よりも大きいかも。一匹だけじゃなかったんだ。いや、でも大丈夫!
「高速回転斬りっ! からのベアクロー!」
森の粗暴者 耐久 0/170(推定)
高速回転斬りで懐に飛び込みつつ斬って、回転の勢いがあるうちにベアクロー!
あれだけ強かった森の粗暴者が、唸る事もなく倒れた。
「す、すごい……」
より大きな魔物の体に近づいて、少しだけ観察した。やっぱり前の個体より大きくて強い。
それなのに今のゴーレムなら楽に討伐できる。楽になってるのは討伐だけじゃなくて解体も!
素材名:黒き毛皮
ランク:D
状態:普通
効果:耐久+40 装甲+36 速さ+19
素材名:荒熊の爪
ランク:D
状態:普通
効果:攻撃+64
耐久:106 → 146 アップ!
攻撃:163 → 227 アップ!
装甲:97 → 161 アップ!
Dランクの素材をうまく解体できたら、こんなに強くなるんだ!
余った素材もゴーレムに積んで、冒険者ギルドに持っていこう。確か毛皮と爪も高く売れるはず。
こうやって集めた素材が、必要な人のところに行くんだ。私でも、魔導機師でもきちんと役に立ってる。
リッドさん、マルクトさん、他の皆のおかげだ。
* * *
「あの森の粗暴者を、ねぇ……」
受け付けのおじさんがなんだか疲れてるような気がした。
野草をどっさりと見せると、またすごく大きなため息をはく。
「10歳の子どもがこんなにもネームドモンスターを倒すなんてね。三十年、ギルドで仕事していても早々お目にかかれないよ。しかも魔導機師ときた」
「は、はぁ……」
「素材はきちんと買い取らせてもらうよ。特に森の粗暴者の毛皮は需要があるからね」
「わっ! こ、こんなにお金が!」
「当然だろう。君がいつも採ってくる野草にしても似てる毒草が多くて、冒険者も苦労するんだ。これだけ的確に、しかも大量に採取してくる奴なんていないんだよ」
疲れていると思ったらすごい早口で喋ってる。
そういえばもう夜だ。ギルドの中にもほとんど人がいないし、寝てる時間だった。この人も疲れて当たり前だよ。
「ゴーレムか。まったく、生きているうちに本物が見られるなんてね。てっきり伝説上の存在だと思ったよ」
「でも、絵本で読んだのは巨人のゴーレムとか空を飛んでいるゴーレムでした。これはまだまだなんです」
「もし君がこの先、魔導機師として大成するならそういったものも作れるかもしれんよ。だけど、そんなものを作ってどうするといったところだが……」
「今はまだそんなに考えられません」
「おっと、気を悪くさせたね。そのつもりはなかったよ」
そう言った受け付けのおじさんがお金をくれた。このずっしりとした重さが、私の成長と頑張りだ。
もっとお金を溜めて、いつかは住むところがほしい。幸せになれる場所、過ごせる時間がほしい。
今は冒険者ギルドの集団部屋で寝泊まりしてるから、いびきがすごいうるさくてなかなか寝られない。
野宿よりはいいけど、布団がちょっと臭いからつらい。
いつか素敵な家を買って、お母さんに私は元気ですって大声で空に向かって叫ぶんだ。
生活費等を抜いた所持金:9499ゼル