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ほぼ満月

ピンポーン


「ゆーくんいますかあ」

「あ、みやちゃん」


ゆーくんの声だ。


ガチャ


「…どうしたの?入る?」


私は奥にゆーくんママがいるのを見て、


「お外行こ」


と言った。


「いいよ」


ゆーくんはそのまま靴をはいて出てきた。


「久しぶりだね」


と言ったゆーくんの手が、

前みたいに私の手に触れたけど、

私は自分の両手を体の前でつないだ。


ゆーくんはそれを見て、

自分の両手を体の後ろでつないだ。


「なんかね、ママが、なんでゆーくんお月さま見てるの?って聞いてこいって」


ゆーくんは、

ふんっと言いながら嫌そうな顔をした。


「ママかな?ボクの。お月さまが見たいからだよ」

「なんでママ達お月さま見るのを気にするの?」


私達は自然といつもの場所に向かって、

角を曲がる。


「夜お外に出るから?」


私が聞くと、

ゆーくんは首を振った。


「えー、でもだめって言われないよ。なんで?なんで?って」


ゆーくんと目があって、

それを自然にそらす。


「なんでなの?」

「だーかーらー、見たいからだよ、見たほうがいいじゃん」

「綺麗だからってこと?」

「んー、うん。元気になる」


また角を曲がると、

私達以外誰も通らないんじゃないかと思う路地。

路地の右側はビルの背中で、

左側は川の堤防。

この川沿いにずーっと行くと、

「あるき橋」という歩行者専用の橋が私達の上を通る。

あるき橋の下は堤防の塀が低くなっていて、

簡単に登れるし、

少し這って進むと、

前と後ろと下はコンクリートで、

横は川原の草で囲まれた、

私達だけの場所がある。


私とゆーくんはいつもここで、

二人でいるのが好きだった。

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