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真の僕

「フューリオ、少し来なさい」


母の突然の呼び出しに心がキュッとなる。また怒られるんじゃないだろうかとか思いつつ母の前の椅子に座る。


「あなたは今日をもってハイエ族として成人を迎えます」


僕は意味がわからず聞き返す。


「え?ん?」


「あなたはハイエ族の末裔なのです」


「ハイエ族って、昔の世界大戦でこの国を率いて戦った種族だよね.......?色々酷いことをしたって学校で習ったよ?」


「そのハイエ族の末裔?」


母はすこし悔しそうな顔をしてこう続けた。


「あなたはハイエ族の末裔。これは事実なのよ。」


「何言ってるんだよ母さんw」


「少しここで待っていなさい」


そう言うと立ち上がり、物置へと向かっていった。帰ってきた母の手には分厚い黒い本があった。


所々擦れたのか破れている。黒い表紙に薄らと白いホコリがかぶっている。


「何度も言うわ。あなたはハイエ族の末裔、しかも昔の世界大戦の指導者、シュヴァリヴィルの直接の息子よ。この本を読めば全てわかるわ」


本を開くと題名があった。


        「ハイエ族全史」


僕は母からそれを受け取った。


「あなたはこれを読まなければいけません。あなたがこれを読んだ後、また話をします」


「は?ん?え???」


「読めばわかるわ。」


そう言うと母は寝床へと向かった。


「おやすみなさい。」


残された僕は何が起きたのか理解できるはずもなかった。残されたのは疑問と手に残った黒い本だけ。


部屋に戻った僕は本を読み進めた。するとわかった事がいくつかあった。


僕がハイエ族という種族に属していること。

生まれつきの細身ながらに強靭な肉体はハイエ族固有の能力であること。

トリエエスタ国に住むハイエ族は戦勝国の教育により、能力に気づいていないこと。


少し読んだだけでもこれだけがわかった。


にわかには信じられなかったが、確かに自分の肉体が人と比べて強靭であることは本に書いてある通りだったし、母からも特殊能力だとは言われていた。


「前の世界大戦のトリエエスタ国の指導者か......」


急に自分の身にふりかかった重圧で、僕は考えることをやめた。


考えることをやめた脳は自然と眠り始めた。


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