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爆弾魔な傭兵、同時召喚された最強チート共を片っ端から消し飛ばす  作者: 結城 からく
第2章 巨竜人と無法の国

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第48話 爆弾魔は別荘を手に入れる

「さて、ここで間違いないようだが……」


 俺は地図を片手に運転しつつ、周囲の光景と見比べる。

 目の前にはモノクロの立派な屋敷があった。

 三階建てで、大きな庭もある。

 豪邸と称してもいいような佇まいだ。

 どこかの貴族でも住んでいると言われても納得できる。

 そんな屋敷であった。


 ここはドルグの本拠地――黒壁都市の北西部だ。

 外壁からほど近い地域に位置する。


 ドルグと契約を交わした俺は、さっそく居住用の別荘を与えられた。

 それがこのモノクロの屋敷だ。

 地図に記載された特徴とも合致する。

 間違いなくこの建物のようだ。


 ドルグからは、しばらくはここで生活するように命じられた。

 仕事ができ次第、連絡するとのことだ。

 少なくとも数日は待機しておかなければいけないらしい。


 俺は地図を折り畳んで仕舞う。


「こいつは随分と太っ腹だな」


「すごいわ。二人で住むには大きすぎると思うけれど」


 アリスも屋敷を見て感心している。

 確かに二人では持て余すサイズだと思う。

 ホームパーティーでも開けというのだろうか。


 ドルグ曰く、落ち着いたら城塞都市に戻って暮らしてもいいらしい。

 拠点から離れたままなのは少し面倒だが、彼の直属の部下なのだから仕方あるまい。

 許容範囲と言えよう。

 これほどの屋敷なら生活にも不自由しない。

 それに城塞都市へは日帰りで移動できる。

 実際、大した問題ではなかった。


「とりあえず入ってみるか」


「ええ、そうしましょう」


 俺はゴーレムカーを降りて正門を開ける。

 敷地内へ車両を進ませて、レンガ造りのスペースに駐車した。

 そうして屋敷の入口に立った俺は、ふと首を傾げる。


「ん?」


 室内から人の気配がする。

 誰かがいるようだ。

 殺気は感じられない。

 俺はナイフの柄に手を添えつつ、扉を軽くノックする。

 数秒もせずに内側から扉が開いた。


「ようこそお越し下さいました。どうぞお入りくださいませ」


 現れたのは、メイド服を着た女だった。

 彼女はふんわりとした笑顔を見せる。

 危険がないことを確かめた俺は、ナイフから手を離す。


「歓迎してくれるのは嬉しいが、あんたらは誰だ?」


「我々は使用人です。ドルグ様の命により、ジャック様とアリス様の身の回りのお世話をさせていただきます。よろしくお願いします」


 メイド服の女の後ろには、同じ格好の者達が並んでいた。

 男はスーツを着ている。

 彼らは直立不動で左右に列を作っていた。


(なるほど、監視役か)


 俺は瞬時に理解する。

 身の回りの世話は建前だろう。

 実際は俺の行動の監視を任せられているのだと思われる。


 当たり前の判断だ。

 俺のような爆弾魔を部下にするのだから。

 多かれ少なかれ、対策くらいは張っているとは考えていた。


 それに使用人達の気配が、素人のそれではない。

 正体は密偵や暗殺者などだろう。

 巧妙に本性を隠しているが、俺の目は誤魔化せない。


 それにしても、ここまで周到に用意されているとは思わなかった。

 監視役とは言え、たくさんの使用人付きで別荘まで貰えた。

 俺が幹部の誘いを断らないと見越して準備を進めていたのだろう。


「そうか。こちらこそ、よろしく頼むよ」


 諸々の事情を察しつつも、俺は朗らかに応じる。

 礼をする使用人達を見ながら室内へ入った。


「屋敷内の案内をしてくれないか」


「承知しました。ご案内させていただきます」


 俺が頼むと、玄関扉を開けた使用人が反応した。

 彼女は俺達の前へ回り、優雅に先導を始める。


 最初に案内されたのは、玄関からほど近い部屋だった。

 暖炉で火が焚かれ、中央にはソファやテーブルが置いてある。

 窓からは庭が一望できるようになっていた。


「こちらが居間です。設置された魔道具を使うと、いつでもドルグ様と遠話ができます」


 テーブルの端に水晶がある。

 あれが通話機能を持つ魔道具らしい。

 しかも、ドルグとのホットラインだ。


「確かにすぐ連絡できるのは便利だな」


「ドルグ様からの通達も、主にこの魔道具を経由する形となっております」


「なるほどな」


 盗聴には気を付けなくては。

 不意に作動している可能性も考えられる。

 勝手に弄ると注意される恐れもあるため、後でアリスにチェックだけでも頼むか。

 晴れて幹部になったとはいえ、公開したくない情報も少なくない。

 この協力関係がいつまで続くか分からないのだから、油断は禁物である。


 居間から移動した俺達は、次に長テーブルのある一室に通された。

 テーブルの上には、点々と蝋燭が灯されている。

 三十人くらいはまとめて座れそうな場所だ。


「こちらは食堂ですね。多種多様な食材を取り揃えております。ご要望に合わせて調理させていただきます」


「酒はあるかい?」


「はい。各地の銘酒がございます。事前に言っていただければ、ここにない分も用意いたします」


「素晴らしいな」


 俺は手を打って素直に称賛する。

 既に食材や酒を揃えているとは準備がいい。

 これから買い出しに行く必要がなくなった。

 使用人の話を聞くに、調理までしてくれるらしい。

 手間も減ってありがたい限りである。


(まさに至れり尽くせりだな)


 これだけの待遇を簡単に用意するドルグの権力と財力は、計り知れないものがある。

 国のトップに君臨しているというのも納得だ。

 ここまで来ると、彼に喧嘩を売るような人間もいないだろう。

 もしいるとすれば、他の三人の代表くらいか。

 代表同士の力関係も調べておくべきかもしれない。


 その後も他の設備や部屋も案内された。

 やたらと広いバスルームに、整備用品の揃ったガレージ、高級ホテルのような個室など、贅沢な部屋が目白押しだ。

 使用人のための居住スペースもあった。


 庭には倉庫も設けられており、拠点の地下空間ほどではないがそれなりの規模だった。

 内装の感じからして新設だろう。

 俺達がこういった設備を使うのを知って建てたのかもしれない。

 ドルグは入念な情報収集をしている。

 早い段階で俺達のことを察知して、その上で様子を見ていたようだ。


 いくら脳筋といっても、国の頂点に立つ傑物である。

 その抜け目の無さは警戒しておいた方がよさそうだ。


「これにて室内のご案内は終了です」


「ありがとう。助かったよ」


 居間に戻ると、テーブルに紅茶とクッキーが置かれていた。

 別の使用人が用意したのだろう。

 気配りができている。

 俺はどっかりとソファに腰かけ、そばに立つ案内担当の使用人に声をかける。


「ちょっとだけ二人きりにしてくれないか」


「承知しました。何かありましたら、遠慮なくお申し付けくださいませ」


 使用人は一礼してから退室した。

 俺はその後ろ姿を眺めながらクッキーを齧る。


「なかなかの待遇だな。幹部特権には感謝しないといけない」


「ここなら実験や開発も進められそうね」


「次は何を作るんだ?」


「ゴーレムに新機能を加えたいわ。まだ室内戦には対応できないから。今はいくつかの案を試している段階なの」


 アリスは書類に筆を走らせながら微笑む。

 それは発送希望のリストだった。

 酒や食材に限らず欲しいものを記入しておけば、数日以内に届くらしい。

 文句なしのサービスである。

 これで金を払うどころか貰えるのだ。

 良い生活と言う他ない。


「完成したら、きっとジャックさんも驚くはずよ」


「ははは、そいつは楽しみだな。期待しているよ」


 静かに張り切るアリスを眺めつつ、俺は紅茶を飲んだ。

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