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爆弾魔な傭兵、同時召喚された最強チート共を片っ端から消し飛ばす  作者: 結城 からく
第2章 巨竜人と無法の国

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第42話 爆弾魔は新型爆弾を試す

 俺は梯子を下りて地下空間に到着する。

 購入当初と異なり、壁を設けて区分けされていた。

 アリスと話し合って使いやすくしたのである。

 部屋ごとに用途を決めており、壁を取り払うことも可能だ。


 近くの部屋から作業音が聞こえてくる。

 アリスが頑張っているのだろう。

 集中を乱しては悪いので、声はかけないようにする。


 現在、彼女は室内戦に対応できる装備を造っている。

 ラルフの組織を壊滅させた際、途中から別行動になったのが悔しかったのだという。

 アリスの技術力ならすぐに実現するはずだ。

 俺が心配することはない。


 地下空間を闊歩する俺は、何も置いていないスペースで足を止めた。

 壁を撫でて、小さな窪みに指をかける。

 一見すると何もないが、窪みの奥にボタンがあった。

 それを押すと、壁の一部が回転して奥の空間が見えるようになる。


 隠し部屋だ。

 この建物に元からあったギミックで、個人的に気に入っている。

 俺は隠し部屋に入る。


 そこは一辺が三十ヤードくらいの空間だった。

 薄暗い中に、五人の男女が等間隔で柱に縛り付けられている。

 彼らはこの拠点に忍び込もうとした不埒者だ。

 しかも、それぞれが別のタイミングや手段で侵入を試みてきた。

 何が目的か分からない者もいるが、それが碌なことでないのは確かだろう。


 俺は彼らに親しげな調子で挨拶する。


「よう。元気そうじゃないか」


 返事はない。

 ただ敵意のある視線が集まるだけだ。

 彼らの口には布を詰め込んでいた。

 喋りたくても喋れないのである。


 俺は気にせず話を続ける。


「さて、今日は実験をしたいんだ。手伝ってくれる親切な奴はいないかい?」


 案の定と言うべきか、誰もやりたそうな顔をしない。

 目を逸らすか、さらに俺を睨むばかりだ。


 俺は腰に手を当ててため息を吐く。

 そして、殺気を込めて彼らを一瞥した。


「そうかい。残念だなぁ。悲しみのあまり、お前らを一人ずつ切り刻んでしまいそうだ」


 拘束された者達が震え上がる。

 呻き声を漏らす者もいた。

 場の空気が一気に冷え込んでいた。

 向けられた敵意も霧散している。

 俺は殺気を消して笑った。


「そんなに怖がるなよ。ただのジョークさ」


 軽くおどけてみせても、緊張感は緩まない。

 冗談だと思われていないようだ。

 別に間違いでもないので特に反論はない。


 俺は拘束された者達を見回す。

 その中で金髪の女に目を付けた。

 出入りする俺に色仕掛けで迫ってきた奴だ。

 毒薬を隠し持っていたので、俺を暗殺するつもりだったのだろう。


 俺は女に前まで歩み寄り、その碧眼に告げる。


「よし、あんたにしよう」


「――――っ!」


 女は目を潤ませて叫び、激しく首を振る。

 選ばれたことがよほど嬉しいようだ。

 そんなに喜んでもらえるとは、こちらまで舞い上がってしまう。

 俺は女の喉元にナイフを当てて、囁き声で話す。


「オーケー、オーケー。落ち着けよ。あんたの言いたいことは分かる。ここから生きて出たい。そうだろう?」


「――っ」


 硬直した女は、ほんの僅かに頷く。

 首元のナイフが気になって仕方ないようだ。


「俺はエスパーだからな。お見通しなんだ」


 そう言いながら、俺はリモート爆弾を女の腰に縛り付ける。

 外れないことを確認したところで、スイッチを見せつけながら微笑んでみせた。


「ゲームをしよう。シンプルなルールさ。所属組織とその居場所を話せ。あとはボスの名前と特徴だな。不法侵入を命令した輩に罰金を要求したい。家主として正当な権利だと思わないか?」


「――、――っ」


 女は悲痛そうに呻く。

 身をよじってリモート爆弾を外そうとしている。


「素直に話してくれれば、あんたを組織に送り返す。初恋の女へのクリスマスプレゼントよりも丁寧に扱ってやるよ」


 俺は女の髪を指で梳かす。

 さらさらとした髪は艶やかで手触りがいい。

 ひとしきり梳かしたのちに、女の首を掴んだ。


「ただし、隠し事を作るのなら俺にも考えがある。俺の噂は知っているだろ? あんたにはその一つになってもらう」


「……ッ!」


 女は顔を真っ青にして汗を垂らす。

 随分と息が荒い。

 極度の緊張にやられているようだった。


 女の首から手を離した俺は、スイッチを弄びながら説明をする。


「察していると思うが、腰につけたそれは爆弾だ。こいつを押せば爆発する。俺の親指に命が握られていると考えてほしい」


「…………」


 女は真剣な眼差しでスイッチを凝視する。

 そこに直前までの動揺はない。

 冷酷さすら窺える。

 脱出の計画でも練っているのだろうか。

 無駄な足掻きである。


「ルール説明は終了だ。どうだ、話す気になったかい?」


 俺は女の口に詰めた布を取った。

 顔を上げた女は、吐き捨てるように答える。


「外道が。お前に話すことなど何もない」


 罵倒には殺意が込められていた。

 歯を剥いて怒っている。

 俺は肩をすくめて、女の前から離れた。


「まったく、残念だ」


 歩きながらスイッチに指を当てた。

 あとほんの少し力を込めれば起爆できる。

 この部屋は頑丈なので、爆発で損壊することもない。

 拘束された他の者達からも距離がある。

 被害を受けるのは女だけだった。


 俺は女の様子を観察する。

 女は滝のような汗を流していた。

 懸命にもがきながら、詠唱らしき呟きを繰り返している。

 しかし、何も起こらない。


「な、なんで……っ」


 随分と焦っているようだ。

 魔術でも使うつもりなのだろう。

 無駄な努力であった。


 この部屋にはアリスが改造を施している。

 詠唱系の魔術全般が使えないように細工していた。

 仕組みは知らないが、体内の魔力を乱す作用があるらしい。

 魔力を持たない俺にとっては無害だ。

 同じく詠唱に依存しないリモート爆弾も、問題なく使うことができる。


 脱出が不可能だと悟った女は、半ばパニックになりながら叫ぶ。


「しょ、所属組織は"黒狼の巣"! 場所は、この都市の南部の時計塔だッ! ボスの名はフリード・ベヌア! 青髪で隻眼の人族だ! おい、要求通りの情報は話したぞ! これでいいだろう、早く助けてくれッ!」


「オーライ、いい子だ」


 俺はスイッチを押す。


 次の瞬間、リモート爆弾が炸裂した。

 轟音と共に女の血肉が弾け、地面や天井にぶちまけられる。

 黒煙と異臭が室内に漂い始めた。


 俺はスイッチを捨てて大いに笑う。


「ハッハッハ、完璧だ。いや、ちょいと威力不足か? 木端微塵にはならないようだ」


 俺は女の残骸に歩み寄る。

 元の端正な顔は見る影もない。

 個人の識別は不可能なレベルだった。

 俺はしゃがみ込んで告げる。


「約束通り、組織に送り返してやるよ。クリスマスプレゼントみたいに梱包してな。パーツが足りなかったら許してくれ」


 立ち上がった俺は、他の面々を見渡す。

 誰もが恐怖で固まっていた。

 俺が本気だと伝わったようで何よりである。

 俺は彼らに問いかける。


「お前らは素直に話してくれるかい? 少しでも拒めば、梱包しなきゃならないが」


 すると拘束した者達は、必死の形相で頷いてくれた。

 よほど同じ目に遭いたくないらしい。

 素直でいい。

 見せしめを作ったのは正解だったようである。


 もっとも、残りの連中も逃す気はない。

 いずれ始末するつもりだ。

 さすがに生きて解放してやるほど優しくはなれなかった。


 その後、俺は残った連中に聞き取り調査を実施する。

 得られた情報をまとめてリストを作成した。

 なかなかに有益な時間だった。

 都市内のパワーバランスも見えてきた。

 生活する上では必須の情報だろう。


 俺は拘束した者達を放置して隠し部屋を出る。

 彼らは新たに爆弾を作った際の実験台にする予定だ。

 いきなり実戦へ持ち込む前に、やはり使い勝手を知っておきたい。

 そういう意味では、彼らの協力には感謝しても足りないほどである。


 城塞都市での生活は、とても順調に進んでいた。

私事ですが、今回で毎日更新が11カ月の継続となりました。

いつも読んでくださりありがとうございます。

来年も引き続きよろしくお願い致します。


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