表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爆弾魔な傭兵、同時召喚された最強チート共を片っ端から消し飛ばす  作者: 結城 からく
第5章 魔王再臨と送還魔術

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

197/200

第197話 爆弾魔は召喚者の本音を聞く

「戦争ゲームができなくて残念か?」


 俺は酒を飲みながら質問をする。

 シュウスケは小さく頷いた。


「まあ、はい……一世一代の挑戦、ですから、ね……残念です」


 その気持ちは分かる。

 入念に準備していた計画が、ラストで台無しになってしまったのだ。

 喪失感は半端ないだろう。

 原因である俺が言うのもなんだが、ショックは大きいはずである。

 俺なら癇癪を起こすに違いない。


「そもそも、どうしてそんな大それたことをしたかったんだ」


「……元の世界が退屈、で……刺激を求めて、いたのです。自分の命を、賭ける、のは……楽しいと、思いません、か?」


「同感だな。人生にスリルは必要だ。ちょうどいいスパイスになる」


 俺は肩をすくめる。

 退屈な日々は地獄に等しい。

 何らかの変化がなければ、生きている意味なんてないと思う。


 もし俺が会社員になれば、三日と持たないだろう。

 まず間違いなく職場を爆破してしまう。

 上司だって半殺しにする。


 少なくとも俺には、鬱憤を発散する機会が必要だった。

 そういう観点で考えると、傭兵はまさに天職である。

 十分に儲かるし、仕事が楽しい。

 良いこと尽くめだった。

 元の世界に戻ったら、是非とも再開したいと考えている。


「私の人生は……とても、つまらなかった……模範的な善人を演じ、て……窮屈に感じるのを、我慢して……」


 シュウスケは淡々と嘆く。

 彼は望む環境に恵まれなかったらしい。

 個人の選択で人生は変えられるが、どうしようもない部分があるのも事実だ。


 シュウスケはスリルを渇望していた。

 冷めた人物かと思っていたが、実際は俺と似たタイプなのだろう。

 彼の場合、その衝動に蓋をして見ないふりをしていたのだ。

 きっとそれは耐え難い苦痛だったろう。


「この世界は、素晴らしい……刺激に溢れて、いる……魔族達を従えて、街を発展させるのは……楽しかった、です……」


「確かになァ。この世界は最高だ。俺も楽しませてもらったよ」


 俺はしみじみと呟く。

 およそ一年にも及ぶ異世界での日々は、元の世界では味わえない体験に満ちていた。

 当初はとんでもない事態に巻き込まれたと思ったものだが、今は召喚されたことを幸福に感じている。

 シュウスケも同じような気持ちらしい。


 そこで場に沈黙が訪れた。

 俺は黙々と酒瓶を傾け、たまに息を吐いて口笛を吹く。

 残りが少なくなってきた。

 元の世界で買わなければならない。

 好きな銘柄をまとめ買いしよう。

 そう考えると、余計に恋しくなってきた。


 元の世界でやりたいことを振り返っていると、シュウスケがこちらを向いた。

 彼は途切れ途切れになりながら、俺に対して告げる。


「申し訳、ありま、せん……あなたを、侮辱したことを……謝ります」


「気にするな。あんたは命で償うんだ。追い打ちするほど冷酷じゃない」


 俺はあっさりとした口調で応じる。

 借りはもう返したようなものだ。

 シュウスケがこれから死ぬことは確定している。

 今更、口汚く罵るような真似はしない。


 するとシュウスケは、俺をじっと見てきた。

 彼は笑い声のようなものを洩らす。


「……十分、冷酷ですよ」


「クールと言ってくれ」


 俺がそう返すと、シュウスケはさらに笑った。

 ため息に近い弱々しい声だが、気分の軽さが窺えた。

 彼なりに心境の変化があったようだ。


 その後、ほどなくしてシュウスケは呟いた。


「少し、疲れまし、た……眠っても、いいですか」


「おいおい、そのまま死ぬなよ? フィナーレに参加できなくなっちまう」


「安心、してくだ……さい。休むだけ、なので……」


 そう言ってシュウスケは頭を垂らして動かなくなる。

 ただし黒炎は燻ったままだ。

 本当に休んでいるだけで、死ぬ気配はない。

 このままくたばるのなら叩き起こすつもりだったが、その必要はなさそうである。


 俺は酒瓶の中身を飲み干す。

 続けてそばに置いた未開封のものを手に取った。

 コルクを抜いて開けようとした時、階段から足音が鳴る。


 上階から現れたのはアリスだ。

 彼女は俺に告げる。


「ジャックさん。準備ができたわ」


「サンキュー、助かるよ」


 俺は酒を手に立ち上がる。

 戦闘で失った四肢は既に再生済みだった。

 それに合わせて服も新しいものに着替えている。

 城内にあった浴槽で身体も洗ったので、心身共にすっきりしていた。


「…………」


 アリスはそばのシュウスケを一瞥する。

 彼女は特に表情を変えずに観察していた。


「眠ってしまったのね」


「お疲れみたいだぜ。今はそっとしておいてやろう」


 俺は息を吐く。

 湧き上がるのは爆破衝動。

 そろそろ抑え切れなくなってきた。

 だから俺は、意気揚々とアリスに宣言する。


「――さあ、世界を滅ぼそうか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ