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爆弾魔な傭兵、同時召喚された最強チート共を片っ端から消し飛ばす  作者: 結城 からく
第5章 魔王再臨と送還魔術

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第195話 爆弾魔は最後の煙草を味わう

 俺はサブマシンガンを乱射する。

 対するシュウスケは防御魔術で凌ぎ、隙間から拳銃を撃ってきた。


「ハハッ、やるじゃないか!」


 俺は片手で弾丸をキャッチし、指で弾き返す。

 これもシュウスケは紙一重で回避した。

 軌道を完璧に見極めていなければ不可能な動きだった。

 予知を使ったに違いない。


(これでいい。順調にスキルを乱用させている……)


 魔王が参戦してから数分が経過していた。

 少し離れた場所では、アリスと三つ首のコンビが、魔王と死闘を繰り広げている。

 あちらは大魔術と大魔術がぶつかり合う派手な戦いだ。

 三つ首とアリスも、世界核に魂を保管しているため、致命傷を負っても死ぬことがない。

 それを意識した立ち回りをしており、互角以上の戦いを演じていた。


 俺がシュウスケを引き受けたのは、野郎と魔王を一緒に戦わせたくなかったからだ。

 何をしてくるか分かったものではない。

 こういうタイプは相乗効果が侮れないのである。

 二手に分けた方が遥かにマシだろう。


 そういう意図があって、俺が因縁の相手を始末することにした。

 この期に及んで格好悪い真似はできない。

 ここで確実に仕留めなければ。


「おっ」


 前方のシュウスケが姿を消し、目の前に現れた。

 サブマシンガンを持っていた手が宙を舞う。

 手首から先が切断されていた。

 さらに、カタナが俺の首の半ばまで食い込んでいる。


「うおらぁっ!」


 俺は脊椎が断たれる前にシュウスケを蹴り飛ばした。

 破裂音を鳴らしてシュウスケが地面を転がる。

 彼は吐血しながら立ち上がった。


 俺は切断された手を拾って押し付ける。

 数秒と経たずに難なく繋がった。

 首の傷が再生されたのを確かめてから、俺はシュウスケを挑発する。


「どうした。戦い方が雑になってきてるぜ」


「…………」


 こちらの言葉には応じず、シュウスケは上空に燃え盛る氷の剣を生成する。

 それをさらに数百本に分裂させると、一斉に俺へと射出してきた。


 俺は後方へ飛び退きながらサブマシンガンを乱射する。

 氷の剣を破壊しつつ、ポケットを探る。

 そして、取り出した爆弾を地面に転がした。


 直後、爆発が氷の剣を吹き飛ばし、土煙が舞い上がらせる。

 その中を突っ切ってシュウスケが接近する。


(大胆な野郎だ……! 焦りすぎじゃないかっ?)


 感心する俺はナイフを投擲した。

 シュウスケは腕を掲げてガードし、同じ速度でナイフを反射させてくる。

 俺は返ってきたナイフをキャッチすると、シュウスケに向けて銃撃を放った。


「効き、ません」


 シュウスケは拳銃を一度だけ発砲した。

 弾丸同士がぶつかり合って軌道がずれていく。

 結果、奇跡的にシュウスケの走るルートが開拓された。

 弾丸のシャワーは、一発たりとも彼に当たることなく通過する。


(予知による最適解の再現か……!)


 シュウスケが踏み込んでカタナを突き出してきた。

 彼はその切っ先をサブマシンガンに引っかけて頭上へ飛ばす。

 間髪容れずに銃口を俺の額に押し当てた。


「これであなたは死にますか?」


「予知してみろよ。楽しい展開が観えるはずだ」


 俺はナイフを持った手をシュウスケの背中に回す。

 そのまま力一杯に引き寄せ、彼が離れられないようにした。

 時間を止めたところで数秒は稼げるだろう。

 そして、もう一方の手で爆弾を掴み取る。


「な――ッ」


 シュウスケがはっきりと驚いた顔をする。

 彼は咄嗟に拳銃の引き金を引いた。


 鳴り響く銃声。

 額に突き飛ばされるような衝撃が走る。

 何かが頭の中をシェイクするような感覚が襲ってきた。

 身体が言うことを聞かなくなる前に、俺は爆弾のボタンを親指で押し込んでいく。


 次の瞬間、視界が暗転して身体の感覚が失われた。

 目を開けると空が見える。


「…………」


 俺は痺れる上体を起こす。

 全身が血だらけで、左腕と両脚が吹き飛んで消失していた。

 大穴の開いた腹部からは、臓腑が垂れている。


「ったく、こいつはクールだな……」


 俺は臓腑を掴んで引っ張った。

 血のぬめりで何度か失敗したが、千切って捨てることに成功する。

 腹部は白煙を立てながら再生していく。

 欠損した手足も、早くも断面から肉が盛り上がりつつあった。


「さて、スカした野郎はどうなった?」


 俺は前方に注目する。

 そこには肉塊が転がっていた。

 スーツらしき布がへばり付いていることから、辛うじてシュウスケだと分かる。


 シュウスケも爆発の直撃を受けたのだ。

 さすがの彼でも、あの状態からは逃げ切れなかったらしい。


 俺が押したボタンには、二つの爆弾を起爆するための機能が備わっていた。

 一つは手に掴んでいた爆弾。

 そしてもう一つは、俺が体内に隠していた爆弾である。


 手に持っていた分はフェイクに近かった。

 せっかくの爆破を【幻想否定 B】で防がれると不味い。

 だから無効化されてもいい爆弾を見せつけて、本命は体内に隠していたのである。

 あの感じだと上手く食らってくれたようだ。


「はっはっは、最高の気分だ……人生のベストテンに加えてもいい」


 脱力して笑っていると、シュウスケの死体が動き出した。

 彼は震える両手足でむくりと起き上がる。

 骨の露出した顔が、こちらを睨んでいた。


「おいおい、マジかよ」


 シュウスケは全身から黒い炎を噴出させた。

 彼の肉体は燃え上がっていく。

 瞬く間に衣服と肌が焼け、肉も炭化して原形を失った。


 黒炎を纏う骨となったシュウスケは、一歩ずつこちらへ近付いてくる。

 その手にはカタナが握られていた。


「――――ッ!」


 シュウスケが咆哮を上げる。

 到底、理性の感じられるものではなかった。

 彼はカタナを振り上げて突進してくる。


(執念だな。そんなに俺を殺したいのか)


 俺は憐みを含んだ目で眺める。

 凄まじい勢いで突き出されたカタナは、真っ直ぐに俺の胸を貫いた。

 俺は吐血し、微笑みながらシュウスケを見上げる。


「……どうだ。満足したか?」


 答えを聞く前に、俺はカタナに手刀を下ろした。

 銀光を纏う刃を叩き折り、短い脚で跳躍する。

 そして、唯一残った腕で全力のアッパーを繰り出す。


 拳は骨だけになったシュウスケの顎に炸裂した。

 剥き出しになった頭蓋骨が爆散し、衝撃で身体も木端微塵となる。

 荒れ狂う黒炎は大部分が掻き消され、骨片があちこちに散らばっていった。


 地面に落下した俺は、その様を眺めながら待機する。

 およそ三十秒ほどで両脚が復活した。

 平常時と比べると、圧倒的に再生スピードが速い。

 腹部や片腕に関しては、まだ癒えていなかった。

 生命の危機を感じて、優先部位が選定されたのかもしれない。


「俺も成長期ってことかね」


 立ち上がった俺は、首を鳴らしながら息を吐く。


 シュウスケの残骸が、蠢きながら一カ所に集合しつつあった。

 どうやら元の形状に戻ろうとしているらしい。

 既に頭蓋骨と判別できる程度の大きさになりかけている。


「させるかよ」


 俺はそれを念入りに踏み砕いた。

 何度となく再生してくるも、そのたびに破壊してやる。

 骨はだんだんと再生速度を遅めていった。

 やがて黒い炎を燻らせるだけの存在となる。


 俺はそれを確かめてから、自身の服を漁った。

 数秒の苦戦の末、尻ポケットに焦げ付いた煙草を発見する。

 見ればなんとか吸えそうだった。

 正真正銘、こいつが最後の一本である。


 俺は骨の残骸の前に屈み込んだ。

 そして気楽な調子で告げる。


「すまないね。ライターが壊れてちょうど切らしてたんだ」


 俺は黒炎で煙草の先端を炙る。

 着火できたところで吸ってみるも、酷い味だった。

 コールタールの方がまだ美味い。

 顔を顰めた俺は、煙草を踏み消しながら立ち上がる。


 視線の先では、魔王に特大の落雷が直撃するところだった。

 地面を揺るがすほどの大爆発が発生する。

 漆黒の巨躯が肉片となってぶちまけられた。


 宙に浮かぶアリスが、こちらを見ている。

 彼女は控えめなブイサインを披露した。

 向こうの戦いも決着したようだ。

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