表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爆弾魔な傭兵、同時召喚された最強チート共を片っ端から消し飛ばす  作者: 結城 からく
第5章 魔王再臨と送還魔術

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

194/200

第194話 爆弾魔は魔王と対峙する

 俺はシュウスケを見やり、その隣の魔王を一瞥した。

 魔王は腕組みをしてこちらを見下ろしている。

 凄まじい迫力だった。


 その光景を前に思わず笑ってしまう。


「はは、メインディッシュのお出ましか。毒と重力で始末できたと思ったんだがね」


「ご指摘の通り、旧魔族領にいる魔王は破壊されてしまったようです。加えて転移阻害の施されたこの地に呼び込むのは困難です」


 シュウスケは魔王を見上げる。

 彼の口端から血が垂れていた。


「ですから、記憶から複製しました。高名な魔術師の開発した禁術で、召喚者のスキルを除くと一番の奥の手です」


 シュウスケはスーツの袖で血を拭う。

 その際、後ろによろめくも、彼はなんとか倒れないように堪えた。

 眼差しは若干ながら虚ろになっている。


「複製の登録は一人につき一つに限定されて、しかも魔力の消費は尋常でない。加えて複製体も一時間ほどしか持ちません。欠陥だらけの術ですが、あなたを殺害するには他に手もありませんでした」


「そう思ってもらえて光栄だよ。死ぬ気で頑張った甲斐があった」


 俺は微笑む。

 余裕ぶっているが、こちらもギリギリの戦いなのだ。

 いくつもの策を張って入念に準備し、ようやく互角に持ち込めたのだから。

 シュウスケがやってくる可能性を見越しておいてよかった。

 このまま再会することなく世界を滅ぼせるのがベストだったが、それが叶うと思えるほど能天気ではない。

 常に最悪の事態を想定して動いている。


「この世界に召喚されてから様々な戦いを経験してきましたが、あなたほどしぶとい人間はいませんでした。正直、驚いています」


 シュウスケは俺のことを称賛した。

 嫌味や皮肉ではない。

 純粋にそう思っているようだ。


 確かに彼のコピー能力は強力すぎる。

 所持スキルが増えるほど、総合的な戦闘能力は無慈悲なものになる。

 とにかくできることが多く、まともな手段では誰にも敵わないだろう。

 俺のように対抗できていることが奇跡に近いのである。


 その時、シュウスケが咳をした。

 今度は長い。

 嘔吐するのではないかと思うほどの勢いだった。


 ついには口から多量の血を吐き出す。

 シュウスケは魔王の脚を支えに立っていた。

 じとりとした視線が、俺に向け直される。


「……私の【能力模倣 A+】は強力ですが、それなりの代償があります。模倣したスキルを使うほど肉体に負担がかかります。さらに強力すぎるスキルの場合だと、寿命までが削られているのです」


「へぇ、そいつは初耳だな。時を止めたり、反射するたびに命をすり減らしているのか」


「ええ、そうですね。極力使いたくはありませんが、あなたを相手に出し惜しみしすぎると殺されてしまうので」


 シュウスケはハンカチで口元を拭こうとして、止まる。

 既にハンカチは血塗れだった。

 それで拭けば、却って汚れてしまうだろう。

 彼は小さく嘆息すると、ハンカチを胸ポケットに仕舞う。


(もしかすると……)


 一連の動作を見て、俺はある仮説を閃く。

 ポーカーフェイスのせいで分かりにくいが、シュウスケは凄まじいダメージを負っているのではないだろうか。

 ここまで彼は様々なスキルを使ってきた。

 その中には召喚者のスキルもあった。

 シュウスケは頻度を抑えながらも、何度か使用している。


 そもそも、俺達がこの世界に来てから一年以上が経過していた。

 その間、シュウスケは能力を使ってきたのだろう。

 寿命の減少が具体的にどの程度かは不明だが、現時点で彼の命はあと僅かなのではないか。


 世界に戦争を仕掛けようとしていたのも、寿命の減少を知ったことが関係しているかもしれない。

 別に不思議ではなかった。

 残り少ない命なら、派手に使おうとする気持ちは理解できる。

 彼自身、死を恐怖するタイプには見えない。

 せっかくだから最期に楽しみたかったと言われれば、俺は素直に納得するだろう。

 戦場でもそういう人間を幾人も見てきた。


 シュウスケは魔王から手を離すと、髪を掻き上げながら嘆く。


「ここまで戦って分かりました。あなたは用意周到で狡猾だ。最初の段階で拉致せずに殺しておけばよかった」


「知らなかったか? ヒーローは逆転勝利するものなんだぜ」


 俺は調子を変えずに軽口を叩く。

 表情を凍らせたシュウスケは、一瞬だけ歯を食い縛るような動作をする。

 彼はすぐに真顔に戻って魔王を見た。


 それに反応した魔王は、二本の角の間に黒い光を生み出した。

 何らかのパワーが集束し始めている。

 その正体は不明だが、食らってはいけないのは確かだった。


 シュウスケはカタナの切っ先を俺に向ける。


「あなたの冗談にも飽きました。ここで一気に勝負をつけようと思います。さすがにあなた一人では、魔王を相手に力押しなど――」


 話の途中、シュウスケが目を見開く。

 彼は地面に身体を投げ出して転がった。

 銃声が鳴り響き、シュウスケのいた場所に弾丸が突き刺さる。


 さらに二発目が放たれ、魔王の集める黒い光に被弾した。

 それによって爆発が起きて、魔王の顔面が半壊する。

 徐々に再生しているが、相当なダメージには違いない。

 痛がる素振りをみせないのは、複製された存在だからだろうか。


 俺は弾丸の発射地点に目を向ける。


「彼一人じゃないわ」


 最果ての城の屋根に、狙撃銃を担いだアリスがいた。

 その隣には三つ首が鎮座している。


「ナイスアシストだッ!」


 俺はサムズアップで感謝を告げた。

 アリスは同じ仕草で応える。


 立ち上がったシュウスケは、スーツを汚れを払いながらアリスを睨む。

 澄まし顔が崩れかけていた。

 明確な怒りが覗きつつある。


 彼はカタナと銃を持ちながら深呼吸をした。

 そして、苦い顔をしながら宣言する。


「どこまでも邪魔をしますか……いいでしょう。全力で相手をします」


「良い返事だ。楽しく殺し合おうぜ」


 俺は深い笑みを湛えながら答えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ