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爆弾魔な傭兵、同時召喚された最強チート共を片っ端から消し飛ばす  作者: 結城 からく
第5章 魔王再臨と送還魔術

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第177話 爆弾魔は世界滅亡のために旅立つ

 一カ月後。

 準備が整った俺達は、仮拠点を出発することにした。

 その間、どこの勢力にも発見されていない。

 平和そのものの環境で、存分に武装を増強することができた。


「よし、行くかね」


 俺は室内を見回して頷く。

 そこには床を埋め尽くさんばかりの密度で魔道具が設置されていた。

 見た目は巨大な蜂の巣に近い。

 それがびっしりと何十個も並んでいた。

 少し気持ち悪い光景である。


 この蜂の巣モドキの魔道具は、仮拠点に置いておく分だ。

 他の必要な物品は既にゴーレムカーに積んである。


「作動させるのを忘れないでね」


 背後から声がかかった。

 梯子を上るアリスが発したのだ。


「オーケー、任せときな」


 俺は片手を上げて応じながらスイッチを入れる。

 その途端、床の魔道具が一斉に起動し、紫色の淡い光を帯びた。

 耳を澄ますと、地鳴りのような稼働音を鳴らしている。

 全ての魔道具が同様に動いていた。

 不具合の出ている装置は一つもない。


 これで準備完了だ。

 あとは連動するボタンを押せば、楽しいサプライズが発生する。

 ただし、まだその時ではない。

 いずれ使うべきタイミングが訪れるので、それを心待ちにしようと思う。


 俺はアリスを追って地上へと出ると、停車したゴーレムカーを見る。

 そのボディは木材で覆われていた。

 かなり不格好で、元のビジュアルが分からないようになっている。


 これは木材によって馬車に偽装しているのだ。

 ゴーレムカーそのものの形状も一時的に変えており、遠目には誤魔化せる程度の見た目になっている。

 もちろん性能面には何の支障もない。

 必要とあれば、一瞬でパワードスーツの形態にも変わることができる。


 ゴーレムの前方に繋いでいるのは三つ首だ。

 ただしいつもの姿ではない。

 三つの頭を持つ巨大な狼だったが、現在は三頭の狼に変貌していた。

 頭部の一つひとつが分裂し、それぞれが独立したのである。


 初めて見た時は驚いたが、三つ首は元からこの能力を持っていたらしい。

 アリスによると、合体と分裂を駆使して狩りをするタイプの魔物なのだという。

 獰猛な外見とは裏腹に器用なことができるようだ。


 一頭ごとのサイズは馬程度となっていた。

 狼にしては大型だが、極端に目立つレベルではなくなっている。

 三つ首達には、この状態で偽装したゴーレムカーを曳いてもらう。


「いよいよ出発だな」


「そうね」


 俺達はゴーレムカーの運転席と助手席にそれぞれ乗り込む。

 この一カ月、シュウスケの感知を警戒して滅多に外出できず、それが若干ストレスになっていた。

 かと言って何かで発散することもできない。

 爆弾作りは楽しいが、それでは解消できない類のストレスである。


 だから、こうして遠征できるのが素直に嬉しかった。

 おかげで現在は晴れ晴れとした気分だ。

 世界滅亡のための外出とはとても思えない。

 実に軽やかな心持ちである。


 隣に座るアリスも、心なしか上機嫌だ。

 長年に渡る悲願がようやく叶うのだから、その感動は計り知れない。

 想いの強さという点では、俺とは比べ物にならないはずであった。


 俺は窓から顔を出して指笛を鳴らす。

 それを合図に三つ首達は動き始めた。

 合わせてゴーレムカーも進み出す。


 運転席に座る俺だが、生憎としばらくは何もすることが無い。

 エンジンをかけると偽装がバレるので控えなくてはいけなかった。

 同様の理由でハードロックも流せない。


 仕方ないので地図を取り出して広げた。

 そこには赤線で道のりが記されている。

 目的地までの経路だ。


 これから俺達は、現在地から大きく北上していく。

 陸地の村や都市を迂回しながら進んでいくことになる。

 とにかく人目に付かないことが先決だった。

 目撃者が減るほど、道中のトラブルは軽減する。

 シュウスケにも居場所が発覚しにくくなるだろう。


 本音を言えば派手に暴れたいが、それは我慢する。

 さすがにその辺りは弁えていた。

 計画を台無しにするわけにはいかない。


 俺は地図をアリスに見せる。


「ルートに変更はないか」


「今のところは予定通りでいいはずよ」


 アリスは目を細めながら答える。

 彼女は魔術で周囲を感知し、異変が無いかをチェックしていた。

 魔術的な部分は俺にはカバーできないため、必然的に彼女頼みとなる。

 少なからず負担をかけているので、それ以外の部分では俺が頑張るつもりだった。


(さて、無事に到着できるだろうか)


 俺は地図に目を落とし、赤線を辿った先に注目する。

 それはどこの国にも属さない地域で途切れていた。

 広大なエリアの中心部に、ぽつりとランドマークがある。

 赤線はそこを丸で囲んで強調していた。


 その場所こそ、俺達の目的地だ。

 名は最果ての城。

 世界核の眠る終着地点であった。

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