表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爆弾魔な傭兵、同時召喚された最強チート共を片っ端から消し飛ばす  作者: 結城 からく
第5章 魔王再臨と送還魔術

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

173/200

第173話 爆弾魔は旧魔族領を脱出する

 魔力を補給した俺は、魔物を殺しながら進む。

 それなりの数と遭遇したが、苦戦することはない。

 どいつも肉弾戦で叩き潰すだけで静かになる。


 所々に気になる設備もあったが、スルーして走る。

 爆破したい欲求を堪える。

 下手な真似をして余計なトラブルを招くわけにもいかない。

 アリスからも何度か注意されてしまった。

 付き合いも長くなってきたので、顔を見ずとも察されてしまうようだ。

 俺が我慢していることがバレている。


 そんな葛藤がありつつも、俺は屋内から抜け出して地上に出た。

 見上げれば夜空が広がっている。

 青白い月も浮かんでいた。


(ここは……)


 眼前には街が広がっていた。

 廃墟となった都市の中にテントが張られており、露店らしきものも設けられている。

 そこでは多種多様な容姿の魔物達が暮らしていた。

 さすが旧魔族領。

 モンスターばかりが暮らしているようだ。


 魔物達は俺を見てパニックに陥っていた。

 大半が叫ぶ中、一部の魔物が襲いかかってくる。

 死角から魔術も飛んできた。


「ハッハ、大歓迎だなっ!」


 生憎と悠長に戦っている暇はない。

 今のところはシュウスケにも出会っていないが、いつどこから現れるか分かったものではなかった。

 俺は布袋からポーション爆弾を取り出し、それを手放すと同時に逃走する。


 背後でガラスの割れる音がして、それを掻き消すような爆発が起きた。

 悲鳴や断末魔の合唱が沸き上がる。

 なるべく裏道を意識しながら、俺は廃墟都市を駆け抜ける。


『このまま直進よ。敵は残らず蹴散らして』


「ははは、最高の指示だな! 得意分野さ」


 追跡する魔物達をぶちのめしているうちに、やがて都市を脱出した。

 さらに荒野を全力疾走して、追っ手を殺しながら撒く。

 時折、ポーション爆弾でド派手に消し飛ばす。


 それを繰り返して辿り着いたのは、断崖絶壁だった。

 俺は崖際に立って覗き込む。


 遥か下に海面があった。

 高度千フィートは下らないだろう。

 波が絶え間なく弾けている。


 遠くまで見据えるも、陸地は確認できなかった。

 やはり地理的に孤立している。

 船なんかがあれば、楽に陸へ向かえるのだが。

 残念ながら付近にそれらしきものはない。


『近郊の海には魔力が豊富に含まれているわ。そこに紛れ込めば、魔術ではまず探知できないはずよ』


「つまり飛び込めってことか?」


『そういうことね』


 アリスはあっさりと肯定する。

 俺は伸びをしながらため息を吐いた。

 この高さから何の装備もなしにダイブするなんて、正気の沙汰ではない。

 しかし、躊躇する時間もなかった。

 腕まくりをした俺は、軽く屈伸をして準備を済ませていく。


「お忘れ物です」


 すぐ後ろから声がした。

 俺はうんざり思いながら振り向く。


 案の定、そこにはシュウスケがいた。

 こちらに差し出された手は、リボルバーを持っている。

 拘束された際に無くなっていたものだ。


 俺はそれを受け取ろうと手を伸ばす。


「サンキュー、助かるよ。ちょうど困っていたんだ」


 シュウスケは寸前で手を引き戻す。

 武器は返してもらえなかった。

 シュウスケは感心した様子で俺を一瞥する。


「よく脱出できましたね。魔術適正のないあなたは、エーテル製の鎖を壊せないと思っていましたが」


「心優しい妖精に助けてもらったのさ。ハートフルな話だろう?」


 俺は崖際を沿うようにして歩く。

 気楽な態度を取りつつ、シュウスケの動きを注視し続けた。

 奴が仕掛けてくる気配はまだない。


 もっとも、油断できない。

 鉄仮面のせいで内心を読めない男だ。

 どんな挙動をも見逃さないようにする。


「勝手に抜け出さないでください。早く戻りましょう」


「大人しく従うと思うか?」


「あなたは私に勝てません。前回の戦いで理解されたと思っていたのですが」


 シュウスケは断言した。

 一見すると隙だらけだが、攻撃できそうにない。

 俺は喉を鳴らして笑う。


「慢心しているな? 痛い目を見るぜ」


「そうですか――」


 シュウスケは相槌を打ち、身体を僅かに前傾させる。

 彼は踏み込もうとしていた。


(――来るな)


 直感的に理解した俺は、崖の向こうへと飛び退こうとする。

 するとシュウスケは、あろうことか眼前に瞬間移動してきやがった。

 気が付くと腕が掴まれている。


「諦めてください」


「それは誰に言ってるんだ?」


 ニタニタとほくそ笑みながら、俺は大袈裟にとぼけた。

 こちらの反応を不審に思ったのか、シュウスケは眉を動かす。

 そこで視線が下にずれた。


「――なっ」


 シュウスケの目がほんの僅かに見開かれる。

 俺の片腕は、シュウスケの胴体に押し付けられていた。

 さらに手はポーション爆弾を掴んでいる。

 五本の指がめり込んで亀裂を走らせる。


 次の瞬間、大爆発が起きた。

 その衝撃で俺は空中へと吹き飛ばされる。

 ズタズタにひきさけた片手は、辛うじてリボルバーを握っていた。

 どさくさで奪い返したのだ。


 崖外へ飛ばされた俺は直下へ落下していく。

 無傷のシュウスケは崖際に立っていた。

 黒煙を払いながらこちらを見下ろしている。


(へへ、ざまあみろ)


 中指を立ててみせながら、俺は夜の海に飛び込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ