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爆弾魔な傭兵、同時召喚された最強チート共を片っ端から消し飛ばす  作者: 結城 からく
第5章 魔王再臨と送還魔術

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第166話 爆弾魔は召喚者の手先と遭遇する

「ったく、どこまでもムカつく野郎だ」


 俺は悪態を吐く。

 どうしようもなく苛立ちが燻っていた。

 無論、シュウスケの放送を聞いたせいである。

 野郎の舐めた態度が許せないのだ。


 とにかく何かで発散したかった。

 具体的には滅茶苦茶にしても構わない敵がほしい。

 思い切り爆弾で粉砕してやりたい衝動に駆られている。


 そんなことを考えていると、アリスが俺の肩を叩いた。

 彼女は車外を指差している。


「怒る気持ちも分かるけれど敵襲よ」


 アリスの指の先に注目する。

 土煙を巻き上げ、木々をへし折りながら何かが突き進んでくる。

 それは様々な種類の魔物達だった。


 いずれも大型で、ゴブリンやオークといった人間サイズではない。

 見上げんばかりの巨人やゴーレムカーを丸呑みできそうな大きさの蛇、それらを比肩するほどの虎や狼といった猛獣など、怪獣のような化け物が勢揃いしている。

 さらに上空をドラゴンらしき生物までもが飛行していた。


 俺はその光景に笑みを湛える。


「野郎が寄越したゲストってわけか。上等だ。ぶち殺してやる」


 後部座席から一本の槍を掴み取る。

 これは城塞都市で開発された魔術武器だ。

 突き刺した対象から魔力を吸い上げて破壊力を増す代物である。

 その性質から魔槍と呼ばれており、シンプルな能力だが非常に便利だった。


 さすがに大型の魔物ばかりを相手に銃火器だけでは厳しい。

 最大の武器である己の肉体を使うべきだろう。

 そういう意味では、この槍は最適解に近い。


 俺は魔槍といくつかの爆弾を手に、ゴーレムカーのドアを開けた。

 魔槍には既に魔力がチャージされている。

 何もせずとも高威力が発揮できるようになっていた。

 俺は助手席のアリスに指示を告げる。


「このまま予定通りのルートで走ってくれ」


「任せて」


 俺はゴーレムカーの上部によじ登った。

 魔物達は左方から雪崩れ込むように接近している。

 このままだと、連中の突進にゴーレムカーごと巻き込まれてしまう。


「よっと」


 俺は跳躍し、地面を転がるようにして着地した。

 猛スピードの車両から落ちたわけだが、身体は怪我一つしていない。

 俺は魔槍を打ち鳴らしながら大声を出す。


「ヘイ、こっちを見ろッ!」


 ゴーレムカーに迫りつつあった魔物達が停止した。

 俺の方を向いたかと思いきや、猛然と突進を再開する。

 奴らはそれなりの知能を持っているようだ。

 或いは現在進行形でシュウスケに操られているのか。

 標的である俺を狙うだけの判断ができるらしい。


 とにかく、注意をこちらに引き付けることには成功した。

 俺は手持ちの爆弾の一つを掴み、指でピンを弾き飛ばして投擲する。


 放物線を描く爆弾は、魔物達の眼前で炸裂した。

 封じ込められた精霊が暴走し、赤い稲妻を撒き散らして魔物達を焦がす。

 絶叫の合唱が辺りに轟く。

 負傷した魔物達は怯んでいた。

 展開される赤い稲妻を前に、突進を止めている。


 あの爆弾は持続力を重視して作ってある。

 牽制程度の威力しか持たないものの、少なくともあと十秒は稲妻を発し続ける。

 絶叫のせいで鼓膜が破れそうだが、今がチャンスだろう。


 俺は疾走し、最も近くにいた大蛇のもとへ迫る。

 赤い稲妻を掻い潜り、魔槍を引いて構えた。


 俺の接近を察知した大蛇は、焦げた顔面でこちらを凝視してくる。

 赤い瞳が眩しく明滅する。

 その途端、全身に強烈な痺れが走った。


「……っ」


 四肢の自由が利かない。

 まるでスタンガンを食らった時のようだ。

 何度も経験があるので知っている。

 あの衝撃を三倍増しにした感じだった。


 一方、大蛇は口を開けて這い進んでくる。

 暗い喉奥がよく見えた。

 俺を呑む込むつもりらしい。


(どいつもこいつも俺を舐めやがって……)


 怒りに任せて全身に力を込める。

 それだけで痺れが吹き飛んだ。

 大蛇から何らかの力を受けたようだが、所詮は嫌がらせ程度の効果でしかなかった。


 俺は前へと踏み込み、迫る大蛇の頭部に向けて魔槍を突き込む。

 魔槍の穂先が上顎の裏を捉えて発光し、大蛇の頭部を爆散させた。

 千切れ飛んだ肉片が降り注ぎ、俺は瞬く間に血塗れになる。


 頭部を失った死骸が痙攣する。

 断面から黄色い粘液が垂れ、白煙を上げながら地面を溶かしている。

 どうやら消化液らしい。


「汚ねぇな……シャワーが浴びたくなる」


 俺は小声で愚痴りつつ、魔槍を構え直した。

 他の魔物達が精霊爆弾のダメージから復帰し、こちらに反撃を試みるところだった。

 一斉に無秩序な攻撃を仕掛けてくる。


「さてさて、パーティタイムだ。楽しませてやるよ」


 何体来ようがやることは変わらない。

 魔槍と爆弾を携えて、俺は獰猛な笑みを浮かべた。

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