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爆弾魔な傭兵、同時召喚された最強チート共を片っ端から消し飛ばす  作者: 結城 からく
第5章 魔王再臨と送還魔術

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第159話 爆弾魔は旅行の準備を始める

 俺は真っ先に私室へと戻り、デスクの引き出しを開けた。

 そこには数挺の拳銃がサイズ別に保管されている。

 いずれもアリス作のオーダーメイドなので性能は言うまでもない。

 それらを全身に装備し、どんな体勢でも抜けるようにする。


 続いてクローゼットに向かった。

 ジャケットの隙間に手を突っ込み、奥に隠したショットガンを掴み取る。

 その隣に吊るしたサブマシンガンも取り出した。


 サブマシンガンは、この半年で開発された新たな銃火器である。

 拳銃弾を連続で発射できる機構を備えている。

 装弾数は四十発で、発射速度は一分間に七百発。

 携帯性が高く、使い勝手がいいのでお気に入りだった。


 次に床板の一部を剥がすと、今まで俺が作ってきた爆弾が入っていた。

 これらも役に立つので、まとめてバックパックに詰め込んでいく。

 そこそこの重量になってしまったが、俺の膂力なら問題ない。

 ちょっとした荷物レベルに留まっている。


「オーケー、バッチリだ」


 完全武装を終えた俺は、口笛を吹きながら部屋の外へ出た。

 向かうのはアリスの私室だ。

 とりあえず彼女と相談しなければいけない。


 映像に出ていた召喚者――シュウスケはとんでもないことをしてくれた。

 あいつのおかげで、俺は世界中から狙われる羽目になった。


 各国は必ず俺を殺しに来る。

 魔王による世界破壊を阻止したいからではない。

 賞品である魔王を手に入れるためだ。

 魔王ほど強力な兵器もあるまい。


 シュウスケが説明通りにプレゼントするかは微妙だが、もし本当なら儲けものだろう。

 さらに各国にとって俺は邪魔者だ。

 暴力によって好き勝手に立ち回る爆弾魔は、以前から鬱陶しかったはずである。

 これを機に堂々と始末を目論むものと思われる。


 仮に俺を始末したところで、他国には世界破壊を食い止めるためだと言い訳ができる。

 何も気に病むことはない。

 むしろ世界を救ったのだとアピールできてしまう。

 実情はどうあれ、表面的には救世主である。

 シュウスケはその辺りのことを考えて、このゲームを提案したのだろう。


 俺をゲームのターゲットにするなど絶対に許さない。

 本当に馬鹿げた真似をしやがった。

 この苛立ちは、百倍返しにしなければ収まらない。


 もう既に分かっているが、シュウスケは俺を殺したいのだろう。

 ただ、俺の力を警戒している。

 他の召喚者の死も把握している可能性が高い。

 自ら出向くような真似は避けたいから、ゲームという形にして釣竿を垂らしたに違いない。

 あとは各国が食い付き、俺を始末するのを待つだけという寸法である。


 シュウスケは策士だ。

 だから腹が立つ。

 野郎の目論む通りに世界が動いていた。


 俺がぶち壊してやらねば。

 あのスカした顔を泣き面に変えてやる。

 馬鹿な真似をしたと後悔させながら爆殺するのだ。


 そんなことを考えながら歩いていると、前方から数人の男達が歩いてきた。

 エルフやドワーフ、普通の人間もいる。

 ローブを着ているので魔術師だろうか。

 見ない顔だ。

 最近は部下も増えすぎて、末端までは把握できていない。


(……ふむ)


 俺はなんとなく彼らを観察する。


 男達は頻繁にアイコンタクトを交わしていた。

 ローブの各所が妙に膨らんでいる。

 武器でも隠し持っているのだろう。


 加えて歩き方が芝居じみていた。

 自然に歩こうという意識のせいで、却って不自然になっている。

 お手本のように歩き方が綺麗なのだ。

 素人を装うのなら、もっと肩の力を抜かなければいけない。


 そもそも、この廊下の先には俺の部屋しかない。

 顔も知らない人間が立ち寄る用事はないはずだった。

 こいつらは三流の部類だろう。

 俺は男達がクロであることを確信する。


(まったく、いつの間に紛れ込んでいたんだ?)


 心の中で嘆息する。

 スパイや暗殺者の類は弾くようにしていたのだが、やはり万全ではなかったらしい。

 やはり組織の規模が膨らんでいくと、シャットアウトするのは困難なのだ。


 それにしても動きが早い。

 先ほどの映像からまだ数分も経っていないというのに、もう俺と接触を図ろうとするなんて。

 彼らのオーナーは、よほど魔王が欲しいらしい。


 俺は足を止めて彼らに挨拶をする。


「やあ。調子はどうだい?」


「……悪くは、ないですかね」


 その中の一人が曖昧に答えた。

 彼らが歩き出そうとしたので手で制する。

 さっさと距離を詰めたいのが丸分かりだった。

 回避困難な間合いに入り、毒付きのナイフでもぶち込みたいのだろう。

 それなら俺が銃火器を持っていようと関係ない。

 挨拶に応じた男が、怪訝そうな顔をする。


「あの、何ですか。僕達は急いでいるのですが……」


「まあまあ、焦るなよ。頑張る君達に渡したいものがあるんだ」


 俺は笑いながらサブマシンガンを腰だめに構えた。

 男達はぎょっとした顔になり、武器を抜き放って構えようとする。

 しかし、致命的なまでに動きが遅い。

 俺は彼らに向けてフルオートで弾丸をばら撒いた。

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