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爆弾魔な傭兵、同時召喚された最強チート共を片っ端から消し飛ばす  作者: 結城 からく
第4章 二人の召喚者と迷宮の都市

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第137話 爆弾魔は城の爆破に勤しむ

「野郎共! サプライズゲストの登場だッ!」


 俺は叫びながらショットガンを発砲する。

 散弾は前方にいた兵士の顔面を引き裂いた。

 倒れる死体をゴーレムカーのタイヤが轢き潰す。


「うおっ」


 横穴から火球が飛んでくるも、ゴーレムカーのアームが防御した。

 助手席のアリスが操作したのだ。

 少しでも遅れていたら、運転席に火球が炸裂していた。


「うふふっ」


 車外を疾走するアヤメがナイフを振るい、火球を放った兵士の首を切り裂いた。

 彼女は身軽な動作でゴーレムカーにしがみ付く。

 一連の流れをスピードを落とさずにやってのけるのだから、なかなかの技量である。

 さすがは殺人鬼といったところか。


 ここは城の地下にある迷宮だ。

 俺達はゴーレムカーで変わらず爆走している。

 他の迷宮と比べると、さすがに兵士数が多かった。

 新勢力が冒険者の出入りを禁じ、直接管理しているからだろう。


「この人数で迎えてくれるなんて、とんだVIP待遇だな! 嬉しくて涙が出るぜ」


「……ジャックさんが泣いているところなんて、一度も見たことないのだけれど」


 アリスがやや呆れ気味に言う。

 俺は外の兵士を次々と撃ち殺しながら肩をすくめた。


「陰でひっそりと泣いているのさ。ホームシックに駆られてな」


「かわいそうね」


 棒読みで言うアリスだったが、微かに眉を寄せる。

 何かを発見したようだ。

 彼女はすぐさま俺に報告する。


「この先から強い魔力反応を感じるわ。どうするの?」


「もちろん突っ込んでやるさ」


 俺は即答してアクセルを踏み付けた。

 ゴーレムカーは勢いを増して直進する。

 そのまま幾重ものバリケードを粉砕し、やがて切り立った崖から空中へ飛び出した。


 胃の浮くような感覚。

 俺は窓から顔を出して眼下を望む。


 そこは円柱状の長い縦穴だった。

 かなり深い。

 一マイルくらいあるかもしれない。

 新勢力が掘り抜いたのだろうか。


 その最深部に、巨大な紫色の水晶玉が見えた。

 あれを利用すれば、きっと迷宮を爆破できる。

 爆弾魔の直感が瞬時に理解した。


「ハッハーッ! 車ごとのスカイダイビングは久々だ!」


「やっほーっ!」


「喜んでいる場合じゃないわ。もう変形してもいい?」


 落下する車内でアリスが問う。

 俺はしっかりと頷いた。


「ああ、頼んだよ」


「任せて」


 刹那、ゴーレムカーが空中分解した。

 必然的に俺達は空中に投げ出される。

 分離したゴーレムカーのパーツはアリスの身体に集結し、ものの一秒足らずでパワードスーツ形態に切り替わった。


「先に下で待っているわ」


 アリスは俺とアヤメを押し出すと、ジェット噴射で縦穴を垂直落下し始めた。

 凄まじい速度で姿が小さくなっていく。


「アヤメ、派手にやるぞ!」


「うん、わかった!」


 押し出された俺とアヤメは、それぞれ別地点の壁に着地した。

 そこから壁走りをして、螺旋を描くようにして縦穴を下りていく。


 前方に兵士達がいた。

 壁に沿って木造の足場が設けられていた。

 彼らはそこに乗ってライフルを構えている。


 俺は笑みを湛えながら、腰の拳銃に手を伸ばす。


「早撃ち勝負だ。アー・ユー・レディ?」


 腰だめで拳銃を連射する。

 瞬く間に二人を射殺した。

 残る一人に跳びかかり、足場から縦穴へと投げ落とす。

 悲鳴はあっという間に小さくなって聞こえなくなった。


(アヤメは大丈夫か?)


 視線を巡らせて探すと、アヤメは足場を次々と粉砕していた。

 兵士達を巻き込みながら落下しつつ、元気に殺人を楽しんでいる。

 彼女ならどんなことになっても死にはしない。

 道連れ行為をされる兵士達は堪ったものではないだろう。


「ははは、心配するだけ損だったな」


 俺も負けないようにしなければ。

 先行するアリスが邪魔されないように途中下車したのだから。


 その後も兵士達を殺しつつ縦穴を下っていく。

 大したトラブルもなく、俺は最深部に到達した。


 そこではパワードスーツを着たアリスが水晶を改造していた。

 俺達の対処に追われていたせいか、この辺りに兵士はいない。

 潰れた残骸が散乱しているくらいだ。


 アヤメは見当たらない。

 上の方から断末魔と狂笑が聞こえるので、まだ満喫しているのだろう。

 俺はアリスに声をかける。


「やあ、調子はどうだい?」


「悪くないわ。もうすぐで完成よ」


「素晴らしい。さすがは相棒だ」


 多少の違いはあれど、やることは変わらない。

 爆弾を迷宮に接続するだけだ。

 そのための媒体が魔物の死骸だったり、今回のように巨大な水晶だったりと差はあるものの、作業に大きな変化はなかった。

 俺の【爆弾製作 EX++】があるため、失敗のリスクも存在しない。

 強引な改造でもなんとかなってしまう。

 それから二人で手分けして水晶を爆弾に改造して、タイマーも作動させた。


「急いで脱出しましょう」


「そうだな」


 応じる俺はアリスに掴まる。

 パワードスーツの足裏でジェット噴射が働き、真上への飛行を始めた。

 途中、殺戮中のアヤメを掴んで回収する。

 まだまだ活躍してもらうのだから、放置するわけにはいかない。

 兵士達の怒号を聞きながら、俺達は猛速で縦穴を上っていく。


「近道をするわ」


 宣言したアリスが片腕を掲げる。

 手先が変形して、高速回転するドリルになった。

 アリスはそれを駆使して岩盤を削り、地上へのトンネルを掘り進めていく。


(だんだんと豪快になってきたな……誰の影響を受けたんだ?)


 以前の彼女なら、もっとスマートな方法を採用していた気がするのだが。

 降り注ぐ岩の破片を浴びつつ、俺は肩をすくめた。

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ヘイ、ジャック、鏡を貸してやろうか?
[一言] 誰の影響を受けたんだ?お前じゃい!
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