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爆弾魔な傭兵、同時召喚された最強チート共を片っ端から消し飛ばす  作者: 結城 からく
第4章 二人の召喚者と迷宮の都市

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第120話 爆弾魔は新勢力と敵対する

「皇帝陛下だって? そんな奴から呼び出されるほど、俺は偉い身分じゃないはずだが」


 俺はわざとらしく苦笑し、その一方で思考を巡らせる。


 皇帝陛下に派遣されたということは、こいつらは新勢力の連中だ。

 俺達の居場所を嗅ぎ付けたか。

 随分と早いが、まあそれはいい。

 どういった状況であれ、やることは決まっている。


 何の用件かは知らないが、ぞんざいな口調が気に入らなかった。

 俺に対する嫌悪や敵対心も丸出しだ。

 これだけで大人しく従うという選択肢は消えていた。


 俺は悠然とした足取りで前に進み出る。


「こんな迷宮まで追いかけてくるなんてご苦労なことだな。人使いの荒い上司を持つことに同情する、よ――」


 言い終えるタイミングで拳銃を抜き、腰だめで速射する。

 その一瞬で二人の額を撃ち抜いた。


「なっ――」


 仲間の死に驚く連中だが、すぐさま戦闘態勢に移行した。

 彼らは外套の陰からライフルを取り出す。

 銃口を切り詰めたタイプで、携帯性に優れたものだ。

 明らかに暗殺用に改造している。

 彼らは構えたライフルを一斉に撃ち込んできた。


「ふむ」


 俺は意識を集中させて、弾丸の軌道を読む。

 素早く射線から外れつつ、ナイフを一閃させた。

 二発の弾丸に刃を当てて逸らす。

 命中しそうなものだけを弾いたのだ。

 躱した分はそばを突き抜けていく。


 アリスも魔術でガードしていた。

 元より彼女については心配はしていない。

 いくつもの備えを持つため、俺が何かをしなくとも自衛してくれる。


「ハッハ、いい腕じゃないかカウボーイども!」


 俺は地面を蹴って連中に突進する。

 迷宮の魔物では物足りなくなっていたところだ。

 フラストレーションの解消に付き合ってもらおうか。


 こちらの接近に合わせて、一人のナイフ持ちが迎撃に来る。

 多少は素早いものの、舐めているのかと言いたくなるスピードだった。

 俺は突き込まれたナイフを避け、無防備な手首を掴んで握り潰す。


「ぐぁ……っ」


「男前な顔にしてやるよ」


 悲鳴を上げるナイフ持ちをよそに、俺は空いた手を振りかぶる。

 そこから踏み込んで掌底を繰り出した。

 勢いを込めた一撃は、ナイフ持ちの顔面に炸裂し、そのまま頭部を爆散させる。

 まるで何かの冗談のような破壊力だ。

 レベル補正による膂力の向上を考慮しなかった結果であった。


「これで残り四人」


 呟きつつ、俺は死体を他の連中に向けて投げ付ける。

 彼らが怯んだところでさらに距離を詰めた。

 これによって、残りの連中を肉弾戦の射程距離に収める。

 すなわち俺の勝利であった。


「よっと」


 振り下ろされたナイフを回避し、お返しとして腹部へストレートを打ち込む。

 拳はあっけなく一人の胴体を貫通した。

 血みどろの物体が噴き出して迷宮の壁や地面を濡らす。


「残り三人」


 背部へ回し蹴りを放つ。

 爪先が不意打ちを狙う相手の顎に直撃した。

 意識を刈り取るだけのつもりが、口部全体が肉片となって四散する。


「残り二人」


 俺に襲いかかろうとした男が、横からの光の矢に打ち抜かれた。

 幾本も命中して蜂の巣になって壁に縫い止められる。

 アリスが魔術を使ったのだ。


「残り一人」


 唯一の生き残りは、静かに銃を構えていた。

 震えがない。

 この状況でも恐怖を感じていないらしい。

 なかなか肝が据わっている。


「ヘイ、物騒なものは下ろせよ。仲良くしようぜ」


 話しながら近寄ろうとしたその瞬間、銃が発砲された。

 俺はノールックで拳銃を撃ち、飛来する弾丸に当てて弾き飛ばす。

 軌道がずれた弾丸は、天井に突き刺さった。

 俺の撃った分は、生き残りの足元に着弾する。


「……ッ」


「すまないな、早撃ちは得意なんだ」


 驚愕する生き残りに謝りつつ、俺はナイフを投擲した。

 生き残りが辛うじて避けるのを横目に、低い姿勢で接近する。

 そこから遠心力を乗せてハイキックをお見舞いした。


「ごぶぁっ……!」


 生き残りは通路を真っ直ぐにぶっ飛び、やがて地面を転がった末に静止した。

 目測だが二十ヤードは軽く飛んだだろう。

 生き残りは痙攣しているが、気を失っているだけだ。

 手加減したので生きている。

 本気ならもっとグロいことになっていた。

 実際、戦いの途中で何度か力加減を誤っている。


「ははは、ヘビー級のチャンピオンも真っ青ってやつかね」


 俺が生き残りの前まで赴くと、足首を掴んで引きずった。

 こいつは情報源になるので生かす方針にしたのだ。

 そのままアリスと共に地上への帰路に着く。

 ひとまず宿に戻るつもりだった。


(面白いことになってきやがったな……)


 これで新勢力との関係は決裂した。

 トップとはまだ会ってもいないわけだが、こればかりは仕方ない。

 元々、仲良くするつもりもなかったので問題ないだろう。

 敵対する時期が少し早まっただけである。


 もっとのんびりと迷宮都市の観光をしたかったが、残念ながらそれは叶いそうにない。

 ここからどう動くか、アリスと決めながら地上へ帰還しようと思う。

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