表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爆弾魔な傭兵、同時召喚された最強チート共を片っ端から消し飛ばす  作者: 結城 からく
第4章 二人の召喚者と迷宮の都市

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

118/200

第118話 爆弾魔は迷宮に踏み込む

 俺とアリスは、さりげなく建築中の城から離れた。

 あまり長居すると、俺が爆破衝動に駆られるからである。

 ふとした瞬間にポケットの中の爆弾を使いたくなる。

 実行に移してしまわないうちに退散するというわけだ。


 爆破はいつかの楽しみにしておく。

 機会があれば盛大に吹き飛ばしてやろう。

 きっと爽快な気分になれるはずだ。


 その後、俺達は調査を兼ねて他の迷宮に潜ってみることにした。

 城の直下にある迷宮は立ち入り禁止だが、一般の立ち入りが許可されているものもあるらしい。

 せっかくなので、迷宮がどのようなものか知っておきたかった。


 新勢力のエネルギー源となる施設である。

 今のうちに構造を知っておけば、どこかで役立ちそうだ。

 あの城を攻略する際にも重宝するだろう。

 事前調査は欠かせない。


 迷宮へ潜るには冒険者の登録証――冒険者カードが必要となる。

 このカードに関しては、俺もアリスも実は所持している。

 冒険者登録をエウレアで済ませているからだ。


 冒険者という身分は、ギルドのある地域では共通で使える。

 そのため、何かと便利なものなのだ。

 本来、登録にはいくつかの試験に合格しなければいけないが、俺達はその過程をパスしている。

 エウレア代表の権力を活用することで、冒険者カードを即日発行させたのである。

 嘘だらけの情報で埋め尽くされた偽造カードだった。

 こういったことを堂々としても咎められないというのが楽でいい。

 苦労して成り上がった甲斐があったと思う。


 ちなみに冒険者カードを持たず、雇われで生計を立てる者達のことを傭兵と呼ぶそうだ。

 一概にどちらが優秀とは言えないが、試験を突破した冒険者の方が様々な分野の知識を身に付けている。

 傭兵の中でも戦闘に特化した者は珍しくないそうなので、結局は個人の実力によるらしい。


 俺達は都市内を散策し、各地にあるという迷宮を探す。

 やがてそれらしき場所を発見した。


 立方体の建物で、頑丈そうな石造りだ。

 壁の表面に術式が刻み込まれている。

 何らかの効果が施されていた。


(この形状やパターンには見覚えがあるな……)


 俺は顎を撫でつつ記憶を遡る。

 たまに魔術書で勉強している成果を見せる時だ。


「あー、こいつは確か……」


「結界と魔物避けの術式ね。厳重に張ってあるわ。迷宮内で発生した魔物を外へ出さないための設備よ」


 アリスに答えを言われてしまった。

 それも百二十点の回答である。

 補足の余地すら残されていなかった。


「どうかしたの?」


「いや、何もないさ」


 不思議そうにするアリスに、俺は苦笑気味に応じる。

 彼女は親切心から教えてくれたのだ。

 それを叱るわけにもいかない。


 入り口で冒険者カードを提示して建物内へ入ると、中にはたくさんの冒険者がいた。

 さらにいくつもの店舗が設けられている。

 通りにあったような食べ物というよりは、ランタンや投げナイフ、ロープ付きのフックといった道具類がメインだ。

 迷宮探索に使うものを販売しているようだ。


「へぇ、地図も売っているのか」


「それぞれの階層の地図ね。必要な分だけ購入できるようだわ」


 アリス曰く、迷宮は多層構造となっているらしい。

 迷宮の奥へ進むとはつまり、地下深くへ潜っていくことになる。

 下層になるほど魔物や罠が凶悪になり、手に入る財宝の質が上がるそうだ。

 腕利きの冒険者ほど稼ぎが多くなるというわけである。

 まさにハイリスク・ハイリターンな仕事だ。


 ついでに言うと、そういった迷宮の性質はテレビゲームを彷彿とさせる。

 とても自然現象とは思えなかった。

 何か人為的な施設ではないかと疑ってしまう。


「迷宮は冒険者を捕食しているのか?」


「そういう説もあるみたい。迷宮は巨大な生き物で、財宝を餌に人間を誘い込んでいるそうよ。迷宮内で死んだ冒険者が養分ということね」


 すかさずアリスが説明を挟む。

 冗談で言ったというのに、真面目な説として既存だったようだ。


「ははは、俺達も養分にならないように気を付けないとな」


「……ジャックさんを食べたら、お腹を壊しそうね」


「褒め言葉として受け取っておくよ」


 雑談を交えながら、俺達は売店の横を通過する。

 大抵の道具はアリスの魔術で代用できる。

 わざわざ列に並んでまで買う必要はあるまい。


 室内の一角には下り坂があり、そこを冒険者が続々と行き来している。

 どうやらあそこが迷宮の入り口らしい。

 俺達は人の流れに合わせて移動して坂を進んでいく。


 そうして着いた地下一階となるフロアは、無数の通路に枝分かれしていた。

 冒険者達は、慣れた様子でそれぞれのルートを選んで前進する。

 だいたいが五人か六人の徒党を組んでおり、俺達のようにコンビで挑む者は皆無だった。


「迷宮探索か。ワクワクしてきたよ」


「目的を忘れたら駄目よ」


「もちろんさ」


 小遣い稼ぎに来たわけではない。

 迷宮がどのようなものかをしっかりとチェックしよう。

 爆破方法などが分かればベストだ。

 新勢力と敵対する場合、有効なカードとなる。


 期待に胸を躍らせながら、俺達は迷宮を下り始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ