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爆弾魔な傭兵、同時召喚された最強チート共を片っ端から消し飛ばす  作者: 結城 からく
第4章 二人の召喚者と迷宮の都市

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110/200

第110話 爆弾魔は新たな情報を掴む

今回から四章開始です。

よろしくお願い致します。

 ミハナの死から早一カ月。

 俺達の生活に劇的な変化があったかと言うと、実はそれほどでもない。

 基本的に雑務は部下に丸投げしているからだ。


 俺とアリスがトップという組織図も安定し、優秀な事務員も大量に雇っている。

 大きな案件に関しては俺達の承諾が必要だが、基本的に自由にやらせていた。


 その中で怪しい動きをする者は、子飼いの部下に捜査させる。

 クロだと確定すれば、適切な処理を施した。

 だいたいが魔術的な手法で洗脳や隷属化して、俺のために働く従順な歯車に仕立て上げる。

 たまに見せしめとして爆殺もした。


 こうした地道な努力が効いたのか、組織は非常にクリーンである。

 何もせずとも莫大な利益が入ってくるようになっていた。

 俺の金払いの良さも相まって、部下達も熱心に働いている。

 城塞都市を中心に、良い循環が形成されつつあった。


 かつては賢者の支配領域だったエリアも、今のところは反乱も起きていない。

 下手に触れず、放置しているのが功を奏しているらしい。

 樹木都市は世界樹の消失で不便を強いられているようだが、最近は魔術学園が主体となって魔力供給を安定させようとしているそうだ。


 まだ当分は様子見だろう。

 いずれ継続的な援助を加えて、名実ともに従ってもらわなくては。

 将来的には、俺達が関与せずとも回るようにしたい。

 信頼の置ける部下を見つけて、領地経営も含めて押し付けたかった。

 本来、俺にそういった細々とした仕事は不向きなのだ。

 やはり現地で派手に暴れる方が好みである。


 そんなある日。

 俺は城塞都市の専用ガレージにいた。

 事前に作成したリストを参考に、ゴーレムカーへと荷物を入れていく。

 まあ、そこまで厳密なものではなく、実際は忘れて困るという物もない。

 それでも無計画に準備をするのが、なんとなく嫌だったのだ。


 リストの抜けがないかを確かめていると、扉を開けてアリスが現れた。

 彼女はゴーレムカーを見て首を傾げる。


「どこかへ出かけるの?」


「ああ。ちょいと耳よりな連絡があったんだ」


 情報源は娯楽都市にいるネレアだ。

 数時間前、通話機能を持つ魔道具のホットラインで連絡を受けた。


 なんでも大騒ぎだった帝国の内乱が終息に向かっているらしい。

 後継者争いが決着したのだ。

 熾烈な戦いを制した者が出たという。


 その者こそ、ネレアが裏で援助をしていた勢力なのだそうだ。

 現在は関わりを断っているそうだが、自力で頂点まで漕ぎ着けたのである。

 なかなかの手腕と言えよう。


 今回はその調査に向かう。

 すなわち再び帝国へ舞い戻るわけだ。


「私も一緒に行っていい?」


「もちろんさ。頼りにしているよ」


「任せて」


 ざっくりと事情を聞いたアリスは涼しい顔で頷く。

 いつものことながらクールな相棒である。


 俺とアリスは、手分けしてゴーレムカーに荷物を詰め込んでいく。

 爆弾や銃火器も満載だ。

 ちょっとした戦争ができる量はある。

 もし足りなくなったら、現地調達だって可能だ。


 座席の下にショットガンを収めながら、アリスは感心したような顔をする。


「随分とたくさん積んでいくのね」


「この世界は物騒だからな。備えはあった方がいい」


「……ジャックさんの登場より物騒な出来事って、かなり珍しいと思うけれど」


 アリスが真顔で指摘する。

 あまりにもストレートな言い方に、俺は思わず噴き出した。


「ハッハ、言ってくれるじゃないか」


 ほどなくして荷物の搭載が完了した。

 俺とアリスは、ゴーレムカーに乗り込んで出発する。

 支配領域に関する仕事は、各部署の責任者に頼んでおいた。

 妙なことをする連中ではない。

 長期的に任せても大丈夫だろう。


 城塞都市を出た俺達は街道に沿って移動する。

 帝国領土へは、かつてエウレアを訪れた時と同じルートで向かうつもりだ。

 到着までに数日はかかるだろう。

 別に急ぎの用事でもないので、焦らずゆっくりと進めばいい。

 派手に動いて注目を集めてしまう方が問題である。


「ところで、なぜ帝国の動向を気にしているの? 召喚された国と言っても、今のジャックさんとは関係ない気がするけれど」


「それが大いに関係ある」


 助手席に座るアリスからの質問に、俺は得意げに反応する。


 確かに普通ならあまり興味のない案件だ。

 わざわざ首を突っ込むこともない。

 今は都市開発に専念すべき時期でもある。

 様々な実験や事業にも着手しており、こうして他国へ旅行するほど暇ではなかった。


 だが、今回は特例だ。

 スルーを決め込むわけにはいかない事情がある。


 不敵な笑みを湛える俺はアリスに告げる。


「帝国を掌握した勢力だが、その参謀がネレアに"ニホンジン"と名乗ったそうなんだ」

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