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異質な地球と異世界で  作者: 鼓月 幸斗
第一部 桜の家
7/14

「正義」のヒーロー

少しだけでも見てくれる人がいると嬉しいですね。

「何だ!?」

 龍牙の声がアジトに響いた直後、部屋の隅に設置してあるスピーカーから放送が聞こえる。

 「清掃員に報告、現在ロビーに実験用生物が届きました、各自回収に向かってください」

 その放送を聞いた霞は、

 「侵入者よ...!司、怪我人の確保、及び治療に!」

 「了解しました!」

 素早く駆けていく二人に赤葉は困惑している。

 「な、何が起こったの?」

 暫し考えた龍牙は、すぐに結論にたどり着く。

 「赤葉、俺達も行くぞ、侵入者ってことは敵のお出ましだ!」

 「え、龍牙!?」

 そう言いながら霞の後を追いかける龍牙の顔には笑顔が張り付いていた。

 「...?」

 その表情を見た赤葉は、あぁ、またなのか。と呆れるしかない。

 霞達がロビーに到着すると、それぞれ五色のライダースーツに身を包み、五色スカーフ、同じく五色のヘルメットを被っている五人組がいた。

 「ようやく見つけたぞ、悪の組織!」

 その中央にいる赤いヘルメットを被ってた男が叫ぶ

 「悪を滅する!正義の炎!ライダーレッド!!」

 「悪を逃がさない正義の氷、ライダーブルー」

 「悪から守る!正義の息吹!ライダーグリーン!!」

 「悪を排除!癒しの正義!ライダーピンク!!」

 「悪をぶっ潰す!正義を破壊!ライダーイエロー!!」

 「「「「「五人揃って!ジャスティスライダーズ!!!」」」」」

 謎の決めポーズと共に背後が爆発する、

 「ここ室内だよな?」

 決めポーズを見ている間に追い付いた龍牙が呟いた。

 「貴方達、何なの?」

 霞がジャスティスライダーズと名乗った輩に、呆れたように聞いた。それを聞いたレッドが声を張り上げて答える。

 「メイドの土産に教えてやろう!我々は正義の味方!ジャスティスライダーズ!悪の組織をやっているというお前達を倒しにきた!」

 「...暑苦しいな、こいつら。あとメイドの土産じゃなくて冥土。後正義を壊すなよ。」

 うんざりしながら龍牙が訂正するが

 「悪人の戯言に耳を傾ける気はない!行くぞ!ブルー!」

 「聞く耳無し!?」

 思わず赤葉が突っ込むが、レッドとブルーは構わず龍牙に襲いかかる。

 「くらえ!正義の炎!ジャスティスファイア!!」

 「うわっ」

 レッドの手から飛び出される火球を避けようとするが

 「悪を封じる、正義の氷、クールアイス」

 ブルーから出される冷気が龍牙の足を固定する

 「龍牙っ!」

「冷た!?」

 咄嗟に霞達が助けに入ろうとするが他のカラーが邪魔をする。

 「遅い!もうこいつに逃げ場はない!俺達の勝ちだ!」

 そのままレッドは両手に炎を纏い龍牙に正義の力を見せつけようとするが

 「よっこいせ」

 「えっ」

 ゆったりとした声で龍牙は足の氷を無理やり引っこ抜くことで砕き、右手を振りかざした。するとブルーの影から手が伸び、そのままブルーを遠くへ吹き飛ばした。

 「ぐわあぁぁぁ!!」

 「ブルーーーーー!!!」

 「お黙り!」

 「ぐあぁぁぁ!!!」

 そのまま影はレッドごと吹き飛ばした。

 「レッド!ブルー!」

 「貴様!何をした!」

 「俺の能力その1、俺は影を操れる。影に物を入れられるし、俺が入る事もできる、シンプルだろ?」

 「くっ...強力そうな能力だ...よくも二人を...!!」

 「彼らの仇は私達がとるわ!」

 「いや殺してないから、気絶もしてないと思うよ?」

 ふと龍牙がグリーン達の後ろを見ると、霞達がより奥へ移動しているのが見えた、この戦闘を龍牙に任せるつもりのようだ。

 「あー...そもそも俺達はなにもしてないぞ?悪らしいことなんて」

 「黙れ!自ら悪の組織を名乗るなど、これから『悪いことをします』と言っている様なものだ!」

 「ごもっともです...っていうか俺はビクトリアじゃ無いんだけど...」

 龍牙が諦めたように呟くとグリーンが大声で話す。

 「影を操れると言っても、貴様は武器も無いし、丸腰だ、三人に勝てるかな?」

 余裕綽々といった様子でグリーンが笑うと、その頬を銃弾が掠める。

 「...な、何...?」

 グリーンが顔を戻すと、既に龍牙の両手には二丁の拳銃が握られていた。

 「ばかな、いつの間に...」

 「さっき言ったろ、俺は影から物を入れたり出したりできる、これでも危険に晒されやすいんだ、結構危ないこと。だから護身用(戦闘用)用」

 「何てやつだ...お前は銃刀法に捕らわれないということか...」

 「その言い方、俺が犯罪者みたいに感じるからやめて?それにお前らだって異能使ってんじゃん」

常に龍牙はからからと笑う、まるで楽しそうに。

 二人の会話を見守っていたピンクが、突然体が光だし、龍牙に向かって走り出す。

「ピンク!?」

 「グリーン、あいつが隙を見せている今がチャンスよ!あいつから銃を奪って!」

 「わ、わかった!」

 グリーンはピンクの意図を理解し、龍牙から銃を奪おうとする。

 「うわっ!当たると危ないからやめろって!」

そう言いつつも龍牙の顔には笑顔が張り付いていた。

 「だったら銃を捨てればいいだろう!」

 グリーンが怒鳴りながら蹴りを放つ。

 「やだよ、この銃高いんだぞ。」

 「っ!?」

 龍牙はグリーンの蹴りをしゃがんで躱す、そのまま体をバネのように跳ね上げ、グリーンの顎を蹴りあげる。

 「がっ...!?」

「あ、ごめん」

 「グリーン!?くっ、速度強化!」

 瞬間、ピンクの速度が跳ね上がり、赤葉の目には捉えられない程の速さになる。

 「このまま一気に勝負をつける!」

 ピンクがその速さで龍牙に回し蹴りを放ち、龍牙の持つ銃をはたき落とすが

 「銃だけじゃないぜー持ってるのー」

 龍牙は回し蹴りを軽い調子で飛んで避け、ピンクの影から一振りの刀を取り出す。

 「嘘でしょ...っ!」

 龍牙はそのままピンクを切りつけるが、すんでの所でそれを避ける。そのまま後退しながらイエローに伝える。

 「イエロー!大雷雨!」

 「りょ、了解!」

 イエローの体から紫電が流れ、ピンクに流れていく、

 「雷まで使うのか、どうも全員異能者っぽいな」

 言いながら龍牙は左手に魔力を溜め、それを塊にしてイエローを吹き飛ばす。

 「うわぁぁぁ!!」

 「イエロー!!」

 「はい、後はピンク」

 龍牙は更にドスを取り出し、柄を使って気絶させる

 「くそっ...」

「あー楽しかった!」

 静かになったロビーに、ずっと隠れていた受付が一言。

 「あの...ロビーがボロボロなのですけれど、どうするのですか?」

 「...こいつらが修理します」

 こうして、小さな騒動は終わった。

 

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