赤葉の父親は
「赤葉ー終わったぞー」
「わかったー」
二階からの龍牙の声に返事をする
「赤葉さん、あの人達は...お兄さんですか?」
凜は自分の疑問を口にする
「あれが私の父親。」
「へー父親...ええぇぇぇ!?」
「まぁ、初めて聞くとそうなりますよね!」
美枝はある程度凜の反応を予想していた。
「でも、赤葉さん、父って、でも、三人」
「勿論血は繋がって無いわよ」
凜は赤葉の言葉を整理する。
「ええと、赤葉さんのお父さんは、お父さんじゃなくて、でもお父さんになっていて...」
「落ち着いて、そんなに複雑じゃないわよ」
赤葉は苦笑いして
「私は物心ついてすぐに両親を見失った、でもその後すぐに拾われた、それだけ。」
「へぇー」
いや、結構複雑そうな事情だが、それをへぇーの一言で済ましていいのだろうか。
ともかくようやく整理がついた。
「赤葉ー?そういえば恵輔が改造してくれた「うぐっ」電子レンジでクッキー作ったんだった、食べるかー?」
「取ってくるね」
「私も行きますよ!」
「あ、じゃあ私も!」
三人が降りるとテーブルに龍牙と仁が席に着いていた。
「ほら、クッキー」
「ありがとう、恵輔は?」
「電子レンジの修理兼、元に戻す作業」
「あぁ...」
「い、いただきます。」
「いただきます!」
凜は恐る恐る、といった感じでクッキーを手に取った
「可愛い...」
「そう?僕が型を取ったんだよ、うさぎ型」
凜が手に取ったクッキーは可愛いうさぎのマスコットキャラを模していた、ほのかにするバターの香りが鼻をくすぐる。
「...美味しい!」
口に含むとバターの香りが広がり、さくさくとした食感が楽しませてくれる。たった一つなのに、凜の口には幸せが膨らんでいた。
「美味しいですね!」
「ほんとに、教えてくれないのがなぁ」
「クッキーに秘密とか無いと思うんだが...」
その後しばらくお茶会を楽しんだ赤葉達
「もうこんな時間ですし~そろそろ帰りましょうか~」
「あっ、本当です!今日はありがとうございました!」
「また来ますよ!」
「また今度ね」
二人が帰った後疲れはてた恵輔が来た。
「終わったか、恵輔...何でそんなにぼろぼろなんだ?」
「あぁ、暇だったからついでに俺の車とお前の電子タバコを改造してた」
「はぁ!?」
龍牙の胸ポケットには、いつもあるはずの電子タバコが無くなっていた
「お前っ!また勝手に!」
「大丈夫だ、これは俺が作ったタバコだ」
「何が大丈夫なの?」
「いいから返せって俺の愛用「sick」を!」
「扱いは俺が一番心得ている、それにタバコは本来体に悪い...」
「電子タバコだから大丈夫だろ!」
また龍牙と恵輔の抗争が始まった。
「もう...」
赤葉はため息をついた後、空になったクッキーの皿を洗いに行く。その時仁が
「また喧嘩...あまり喧嘩は良くないんだけどな」
「いつものことでしょ、喧嘩というよりじゃれあいとかのほうが近いけど」
喧嘩を続ける二人を他所に、1日は終わりを告げる。