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お狐様  作者: 月居 結
9/12

こんにちは

その日の夜、両親の遺影の前に座っていると祖母が昔話をしてくれた。

『お狐様は、昔は普通の狐でした。利口な狐で、狩りの手伝いなんかもしていたからとても可愛がられていたのでした。ですが、人と同じだけ生きれはせず、寿命を迎えて死んでしまいました。町の人たちはとても悲しんで、その狐を手厚く埋葬しました。一番狐と可愛がっていた桜美家の長女は、狐の死を悼んで死んでしまいました。それを憐れに思った神様は、狐をお狐様としてこの町を守る神様にしました。神様になった狐は、今でも桜美家を見守っているのです。』

祖母から私に話したこの話は、本来母親から聞くものらしい。でも、母が亡くなってしまったから祖母が話すことになったようだ。

幼かった私には、話の内容を完全に理解出来はしなかった。でも、お狐様が両親の名前を知っていた理由と、ずっと一人だということがなんとなく分かった。


次の日、私はまた神社に来ていた。何か特別な理由があった訳ではないけど、昨日お狐様に『またきます』って言ったから会いに行かないといけないという謎の使命感を感じたんだ。

「おきつねさま、こんにちは。…きのうはあのあと、そうぎにいきました。おかあさんとおとうさんのほねをひろいました。ふたりはとてもちいさくて、しらないひとみたいでした。…それから、きのうのよるにむかしのおはなしをききました。おきつねさまのおかあさんとおとうさんのおはなしです。……………きのうは、すぐにかえってしまってごめんなさい。」

最後に『またきます。』と言ってお辞儀をした。

二回礼をして前を向くと、昨日と同じ場所にお狐様はいた。

「また来たのか、神音。…そうか、聞いたのか、あの話を。」

「はい。でも、むずかしくてぜんぶはわからなかったです。」

「そうだろうな。小学生にもなってない子供に話すような内容ではないしな。」

お狐様は愉快そうに笑ってお社の屋根の下に座った。

もふもふした九つの尾で、隣を叩くからそこに座った。今日は帰らなければいけない用も特にない。

たくさん話せることがとても嬉しい。


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