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【第6ステージ】VS『かみ』

おはようございます! 国枝君、ついにラストです!


それでは本編をどうぞ!

俺と『がいこつせんし』は苦しむ人々を避け、地上へと帰還した。この地獄を、俺は生きて皆に伝えなければならない。多くのヒトに伝えたかった。


「お帰り兄ちゃん! 頼まれた技はすでに習得済みさ! 何と云っても僕はあの名家『小日向』の男児だからね! って、う、後ろ!!」


片手を挙げて琢磨に応える。地下に居た、多くのヒトの苦しみと、最後に残された彼を手短に説明した。


「も、モンスターを仲間にしたのかよ兄ちゃん!」


「ああ。『がいこつせんし』の、そうだ、キミ名前は?」


「ぼくは『わたる』。おじちゃんたちは?」


「俺が『国枝正志』。そしてこのお姉ちゃんの格好をしてるのが『小日向琢磨』お兄ちゃんだよ。よろしくね『ワタル』君!」


「うん。とってもおもしろい『おじちゃんたち』だね」


最初戸惑っていた琢磨も、剣を使いモンスターを攻撃する『ワタル』君の姿に、とりあえず安心したようだった。俺達は扉を開き、空へと続く塔を昇っていく。


「あの2つの技は覚えたけど、どうやって『ラスボス』を倒すんだい?」


俺は琢磨に説明した。


『SA・○A』の初期バグが残っていたなら、あるバグ技が使えるという事を。そのバグ技は、味方の『こうげき』と敵の『ぼうぎょ』その両方が高いと成功する事象だと。


そして、切り札となる武器『チェーンソー』には『代替えの技』が存在する事を。


道中で俺は『ほのお』を習得。モンスターを倒し、次々とステータスを上げていく。


その過程で『ワタル』君自身の事も知った。


『ワタル』君は、元は人間?の男の子で、いつの間にかあの地下に居たと云う。そして、俺が来るのをこのゲームの中でずっと待っていた、と彼は外れそうな顎を動かし語った。


塔には、モンスターと数多くのヒトが居た。出会ったヒトは地下に居た人達と比べ、金銭的に恵まれた裕福なヒトばかりだった。


そして、扉を開いた頂上のフロアでそのヒトは待っていた。




「よく此処まで着たな、おまいら」


「やっぱり、やっぱりあんたが『かみ』だったのか! ……なんで、なんでこんな事をやらかしたんだよ、爺さん!」


お爺さんは琢磨の言葉を鼻で笑う。顎髭をかきながらお爺さんは俺達の全てを嗤った。


「何で? 何でじゃと?」


お爺さんが鼻くそを転がし地上へ放る。


「ゲームなんて害悪じゃろ?」


鼻をかんだちり紙を遙か下の地上へと舞わせた。


「ゲームをやってる奴はみんな、思考思想のイカレた犯罪者予備軍じゃ! みんな死ねばいい」


お爺さんは、手に持ったゲームロムを踏み潰し、憎々しげにそれへ唾を吐いた。


「……お爺さん」


「儂はな、家族を失ったんじゃ。イカレ野郎の車に孫をハネられたんじゃ!」


幾つも、幾つものゲームを、ゲームお爺さんは取り出し踏みつけた。


「ゲームをしながらよそ見運転? ゲームなんぞの為に、何で孫の人生が奪われなくちゃならんのじゃ!」


踏みつけ、蹴りつけ、幾つもの基盤を叩き割る。


「儂は、絶対にゲームを許さん! ゲーマーなんぞ皆殺しにしてやる!」


俺はお爺さんに伝えたかった!


「違う! 絶対に間違ってるよお爺さん!」


「五月蠅いわい!」


後方で『ワタル』君が呟く。それは『カ』の鳴くような小ささで骨の隙間から漏れ出た。


「ぼくは、」


手に持った剣を抱きしめ、『ワタル』君は窪んだ眼窩がんかの先にお爺さんを捉える。


「ぼくは、げーむ、きらいじゃないよ?」


「なんじゃお前? モンスター風情が語るでないわ!」


俺は、絶対このヒトを、このゲームお爺さんを救ってみせる!


「行くぞ『琢磨』! 『ワタル』君! この世界を、お爺さんを救うんだ!」


「『ワタル』じゃと?!」


「行くぜ! 僕の『スーパーパワー』!!!」




【たくまは『すーぱーぱわー』をつかった。

……たくまのちからがあがった!】




「もう1つ! 琢磨! あれを使うんだ!」


「爺さん! いや、この世界の『かみ』! これを受けろ!!」




【たくまは『ぼでぃあーまー』をつかった。

……『かみ』のぼうぎょがあがった!】




「バカか、おまいら! 儂の防御を上げてどうする」


懐から、余った『SA・○A』のロムを取り出す。そしてお爺さんに訴えた。


「思い出してくれ! お孫さんに買ってあげたんだろ? 幾つものゲームを!」


「な、何を?」


俺の言葉に応えたのは、お爺さんだけじゃない。解ってくれたのは『ワタル』君だった。


「……うん。『てと○す』といっしょの『げーむ○ーい』、ぼく、とってもうれしかった。めがわるいぼくにかってくれた、ぼくのじまんの、ぼくのたからものだった」


「琢磨! もっとだ! もっとお爺さんの防御を上げてくれ! お爺さんをガチムチにするんだ!」


「五月蠅いぞ其処の『がいこつ』! ワタルの、孫の真似をするな! ワタルは、ワタルはゲームに殺されたんじゃ!! 儂は仇を討つんじゃ! 皆殺しにするんじゃ!!」




【たくまは『ぼでぃあーまー』をつかった。

……『かみ』のぼうぎょがあがった!】




「がいこつせんしの『ワタル』くん、『アレ』を俺らにも貸してくれ! キミのお爺さんをこの世界から救うんだ! 俺達のチカラでお爺さんを狂気から解放するんだ!」


「おじいちゃん、ぼくはこうかいしてないんだ。ぼくは、とってもげーむがすき! だいすきなんだ」




【まさしとたくまは『がいこつせんし』から『のこぎり』をうけとった】




「五月蠅い! お願いじゃ! お願いじゃ! 儂は、儂は!!」


「俺達は、お爺さんをこの世界から解放する!!」




【まさしは『のこぎり』で『かみ』をこうげき】


【たくまは『のこぎり』で『かみ』をこうげき】




「きっと! 儂はきっと!!」


「ぼくは、ぼくは、……げーむをかってくれたおじいちゃんがだいすきだった。それはきっといつまでも」




【がいこつせんしはじぶんの『ほね』をにぎりしめた】




「儂は、……儂は、」




お爺さんをのこぎりでひく。其処、俺達の前に居たのは、ばらばらに割かれる、ただのゲーム好きなお爺さんだけ、涙零す白黒のお爺さんだけが居た。




【かみは、……ばらばらになった】




お爺さんが縮れ、この世界から消えていく。


……この世界と、恐ろしい悪夢は終わった。


はず、だった。




足音がゆっくりと近づいてくる。それはお爺さんの『ドット』を取り込み、笑いながら拍手をする。


「結構、実に結構。粗方、私のストーリー道理だ。よく忠実に動いてくれたね。名家国枝の正志くん」


「おまえだな。ここまでの話を創りあげ、お爺さんを、ワタル君を、世界中のゲーマーを愚弄したのは!!」


そいつは喉を鳴らし嬉しそうに肩を震わす。


「ああ、そうだよ。全て私が仕組んだ。この世界から『かみ』を消し、『創造のチカラ』を我がモノとする為に、ね」


「き、キサマが!!!」


鳥形の仮面を付けたそいつは、鼻を掲げ俺達全ての人間を笑った。


「それじゃあ、本当のラストバトルへとフェイズを移行しようじゃないか」


背景を闇に染め、この世界のBGMが混沌としたリズムを刻む。ゲームお爺さんのドットを取り込んだそいつは黒いマントをはためかせ俺達に立ち塞がった。


こいつは、こいつだけは、絶対に許さない!!!!!




「『かみ』を操りし我『歯車フォーチュン』と、バカなゴミクズゲーマー『国枝正志』の、最期を賭けたゲームを、ね」



ラスト! のはずでしたが、もう少し続きます!


国枝君は裏ボス『歯車フォーチュン』を倒せるのでしょうか?


それでは、次回『それ行け! 国枝くん』でお会いしましょう!^^


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