【第3ステージ】走れ、正志!
皆さまこんばんは!
\(//∇//)\
それ行け!国枝くんを更新しました!
今回のゲームは、このゲームです!
正志は、琢磨を救えるのでしょうか?
\(//∇//)\
それでは本編をどうぞ!
(この物語はフィクションです。作中の人物、地名、ゲーム等、全ては現実と関係ありません)
「何故だ? 何故、琢磨は死んだんです!」
「それはなぁ」
中央公園のごみ箱の中から、半身を出し鼻をほじくり『ゴミお爺さん』が言う。
「寿命だからのぅ」
ほじくり、指で転がしながら彼は言った。
「彼らは寿命を終えたのじゃ。定められた死なのじゃよ」
俺を見据えてお爺さんは嗤った。
「死ぬ時、おまいらゲーマーは何をして死にたい? ゲームじゃろ? だから、お前らは『ゲムコン』でゲームオーバーして死ぬのじゃ」
「納得できません!!」
夕陽差す中、俺はゲムコンに先日再購入した『星のカービ○2』を挿入。中央公園の外れで『げっとぱわー』を選択する。
「俺が琢磨を救う! 彼はまだ生きたかったはずだ! 生きて、恋とかしたかったはずだ!」
『げっとぱわー』を選択した俺は、体が弾けるような錯覚を覚えた。身体が妙に丸い気がする。肌がどうもピンクい気もするがどうでもイイ。だが如何せん、身体が思うように動かない。
「走れ! カービ○! 何故走らんのだ! この身体よ!」
腹の奥底から絞り出した吐息で立ちはだかる敵どもを懲らしめつつ、俺は中ボスの居る扉を目指した! その扉の先に住まうであろう協力者のチカラが必要だった。
町外れに在った中ボスの部屋、そのいささか小さな扉を開く。中には国家権力たる『ソイツ』が居た。
「貴様が『中ボス』か! すみません! 倒させていただきます!」
そこは刑務所兼留置所。女性警官が銃を構えて俺に向かいなおった。
手を出してはいけない! 手を上げホールドアップを示しつつ、熱き吐息で彼女を攻めた。
俺の口づけ(ベーゼ)で、……彼女は腰から崩れ落ちる。
倒れた女性警察官の頭上から大きな麻袋が降ってきた。
袋の中から出てきたのは、
「貴方だったのか! 高島さん!」
所内でお勤めしていた高島陸、35歳(独身)だった。彼は幼い頃とてもお世話になった、俺、国枝正志の兄貴分だ。
「高島陸。字は『カイクー』。正志が助っ人に参る!」
「心強いよ! 出所更生してチカラを貸してください! 高島さん!」
「この『カイクー』。うぬがチカラに成るであろう! 任せろ!」
リーゼントヘアの893、高島さんが仲間に加わった。
「すみません。こういうルールなんです」
高島さんのリーゼントの上、では無く背に飛び乗る。
「高島さん。これから世界中のお医者さんのチカラを『コピー』しに行きます! 着いてきてください。というか足になってください。すみません」
「我が名は『カイクー』ぞ。了解した!」
高島さんの背に乗り、世界を駆けた。
中国、チリ、ベトナム。イタリア、ドイツ、イングランド。
各地の『ドクター』に熱いベーゼを放ち、それぞれの『医療能力』をコピーする。
『げっとぱわー』の効果は24時間とゲームお爺さんから聞いている。急げ! 走るんだ正志! 否! 走るんだ高島さん!
高島さんは恐ろしく足が早い。しかも泳げる。当然空を飛ぶ。
「くっ! 被弾したか!」
高島さんが俺を庇って銃弾による攻撃を受けた。先日のマリ◯で踏んだチンピラの報復だろう。高島さんのライフは6。俺の足である高島さんが死んだらこのゲームは『詰み』だ。死なせてはならない!
異空の地『ガイア』の医療技術をコピーした。あとはこの世界に決着を付けるのみ。
いざ、強者『デ○デ大王』に挨拶参りだ!
大きな扉の先へ旅立つ。
――だが、その地に居たのは『デ○デ』では無かった。巨大な蟻型ロボットがそこには居た。
「我が名は『DONDONDONアント大王』! ハンマーを持っている。つまり、私は『デ○デ』だ。異論は無かろう」
「うん。ハンマーを持っているなら異論は無いよ。勝負だ『ドンドン大王』!」
『ドンドン大王』が振るうハンマーを見切り、高島さんが跳ねる。俺の熱いベーゼが灼熱となり大王を攻める。
だが、蟻型の巨体は伊達では無かった。その体当たりに1つずつ高島さんのライフが削られていく。
「高島さん! もう少しだけ耐えてくれ! このベーゼを、あ、あと3発彼に伝えれば!」
鋼の体当たりを受け高島さんが後方へのけ反る。残りライフは1。死なせてはならない!
「グッバイ高島さん! 貴方のおかげだ! 愛と信頼のゆう○ょ銀行! ならぬ、信頼と安全の! 喰らえ! 我が『愛のベーゼ』!!」
高島さんを解き、溜めに溜めたベーゼを放つ。熱いベーゼを受け『ドンドン大王』が激しい光と共に爆散する。
何者かがそのコックピットから脱出していくのを俺は見逃さなかった。再び高島さんを捕まえ、俺もこのエリアから離脱する。
高島さんに乗り帰宅した俺は国が管理する『遺体安置所』を目指した。
高島さんを眼鏡とマスクで偽装し乗り込んだそこ、殺風景な白い四隅の中央に布を掛けられた琢磨が居た。
残りタイムは3時間弱。満を持して『ドクター』能力を行使する。白台の上の琢磨、その脳、肺、心臓を知りえる技術を駆使して治療した。命を取り戻す為、『カービ○』のチカラを使い尽くした!
――だが、琢磨が再び息を吹き返す事は無かった。
「お爺さん! 何故だ! 何故琢磨は生き返らない!!」
「呼ばれて飛び出て、儂じゃ♪」
お爺さんは安置所内のごみ箱から医療廃棄物を撒き散らしながら這い出し、安寧と微笑んでいる。腰に手を当て、その長い髭を撫でていた。
「なんで生き返らないんですか! お爺さん!」
「クレジットが無くなったらそこで終いじゃ。どうやっても生き返ることは出来ん。何をやっても無駄じゃ」
「俺の! 俺の『ゲームクレジット』をあげる事は出来ないんですか!」
俺の言葉に眉で塞がりそうな細い目を広げる。そして、お爺さんは応えた。
「それは、……お主の貴重な『イノチ』じゃぞ? いいのか?」
「さっき『1UP』取ったから4つあります!」
「なら、そのうちの3つを寄越すがいい。それなら『ゲームクレジット』1つ分の命で、小日向琢磨の魂を戻してやる」
俺は迷わず頷いた。
お爺さんが呪文を唱える。『ゆうていみやおうきむこう……』と、言霊を紡ぐ。
俺の眼の前、淡い光を帯びて琢磨の裸体が輝いた。
「!!」
同時に胃の奥へ重い痛みが押し寄せる。眩暈のする中、台の上から琢磨が声を漏らした。
「バカだな。兄ちゃんは」
って。涙を流しながら。掛けられた布でその顔を何度も拭い、台の上から見下ろしている。その頬を真っ赤に染めて。
「……ずっと、『あの空』から視ていたよ。兄ちゃんの事。兄ちゃんがやってくれていた事」
俺は笑い、膨れたピンク色の腹の上から大好きな弟分へサムズアップで応えた!
ここまでお読みいただき、\(//∇//)\本当にありがとうございます!
(*^o^*)次回、それ行け!国枝くんでまたお会いしましょう!!