【第2ステージ】決戦! 小日向琢磨(こひなた たくま)!
皆さまこんばんは! 遅れてしまいすみません!
今年最後の執筆となります。
それでは、
それ行け! 国枝くん。第2話をよろしくお願いいたします!
(この物語はフィクションです。作中の人物、地名、ゲーム等、全ては現実と関係ありません)
軽く仮眠を取るつもりが爆睡してしまった。布団を畳み、身支度を整える。
「いかん。これでは仕事に遅れてしまう!」
7月18日20時50分。枕元からメガ○ライブのソフト、『ソニッ○・ザ・ヘッジホッグ』を取り『ゲムコン』へとセットする。
【げーむ、ON!】
『げっとぱわー』を選択。人面ハリネズミと成った俺はコインを拾いながら歩道を駆けた。全ての人を、モノというモノを小刻みに避けていく。職場の『エイトテン』には1分で到着した。
※※※
「久しぶりだな。正志!」
シフトに入った21時、2人目の来店者は彼だった。
「いらっしゃい、琢磨! 今日は何が欲しいんだい? 今日までおにぎり100円だよ!」
彼は小日向琢磨、25歳。幼い頃から面倒を見ている可愛い弟分だ。
「だまれ正志! 僕は客としてきたんじゃない! 大人しく僕と勝負しろ! あ、おにぎりいただきます。明太子で」
「ご、ごめん! 明太子、前のお客さんので最後なんだよ。ツナマヨではダメかい?」
琢磨は悪鬼の如く髪を逆立てた。すーぱーなサイヤさんは漫画の中で充分お腹いっぱいなのだが。
「ゆ、許さんぞ正志。よくも明太子をたばかってくれたな。ツナマヨなぞ、ブ○の餌にすぎん! それを神の食事、明太子と同列に並べおって! 仕事が終わるまで待っててやる。急ぎ早く仕事を終える事だ」
「ツナマヨ美味しいのだが……。まぁいい。シフト変えてもらうから待っててくれ。20分したら一緒に帰ろう」
俺が用意した掃除用の脚立へ昇り琢磨が見下ろす。大きく鼻を鳴らした。
「ふん。そんな簡単に当日シフトが埋まるか。明日朝また来るからきっちり仕事をしておけ、この社畜風情が」
呼んでおいた店長が早々にバックヤードから出てくる。「すんません!調子乗りました!」と頭を下げて琢磨が脚立から降りた。
「おお、小日向のぼっちゃんか。おじちゃんが仕事入るから正志に送ってもらいなさい。正志にはいつも多く入ってもらってるから大丈夫だよ♪」
「助かるよ叔父さん! じゃあ行こうか琢磨」
素早く埋まったシフトに琢磨が唖然と口を開げる。その片足は掃除中のトイレスポンジを踏みしめていた。
※※※
「で、なんだい勝負って」
運の付いた琢磨がしきりに足をこすり付けている。路上の段差に革靴の側面をがりがりやっていた。
「これだ」
がりながら手提げバックの中身を俺に示す。見知ったものがそこに在った。
「『ゲムコン』! キミも貰ったのかい? 奇遇だね! 俺もさ」
「ああ、知ってる。『ゴミ爺さん』から聞いたからな。で、この『ゲムコン』を使ってお前に勝負を挑む! タイトルはこいつだ!」
琢磨は懐から灰色のカートリッジを取り出した。
「スーファ○の『スーパース○リートファイターZEROⅡ』か」
しかし、今俺の手元に同タイトルのソフトは無い。
「生憎だが俺はソフトを持っていないよ?」
と、琢磨へ謝ったのだが、
「気にするな。常に先手を打つのが僕と云う男だからね」
と、琢磨はポケットからもう一本の『ス○ゼロⅡ』を取り出した。
ロムを挿入し顔を見合わす。
【げーむ、ON】だ!
げっとぱわー
→いんざわーるど
『いんざわーるど』を選択した。更に俺達は対戦モードを選択する。
「琢磨は『ケン』か」
金髪のヅラを被った琢磨が赤い胴着を肌蹴て笑う。
「正志。貴様、『リュウ』か」
「ああ」と額の鉢巻を絞めて頷く。白い胴着を手短に正す。
明滅した世界は古木の立つ雪原を映し出した。『ゲムコン』に招かれた俺達を月が見降ろしている。
【ROUND1】
軽やかなビートが流れた。
【FIGHT!】
「「波動拳!」」
勝負開始と同時にお互いが必殺の『飛び道具』で牽制。その腕から出した光を相殺させる。その後、琢磨が指の腹で俺を招いた。
「おら、かかってこい! 正志!」
歩み、琢磨は間合いの広い『下段中キック』を打ち込んできた。ガード。琢磨は更に『飛び道具』を放ってくる。
琢磨はリーチの長い『中攻撃』を繰り出し俺との距離を見ていた。
着地に合わせ俺は大きく足払い。転んだ琢磨の起き上がりに飛び道具『波動拳』を重ね、琢磨の防御の上からダメージを与える。
琢磨が回転しながら大きく飛び込んできた。『上段防御』の上から琢磨の『強キック』が圧を強める。のけ反る俺に、必殺の回し蹴り『竜巻旋風脚』を放つ。『上段ガード』の上からガリガリHPを削りにくる。しゃがみ、その直撃を辛うじて避ける。
お互いに『波動拳』と『下段中段・中キック』で間合いを取り合う。低いジャンプからの『中段攻撃』を琢磨は織り交ぜてくる。更に『めくり強攻撃』で打点の裏側を狙ってきた。防御を外した俺に『オリジナルコンボ』を叩き込んでくる琢磨。パンチ・キックの雨が俺に降りかかる。
「正志。僕がいつまでもお前の弟分で居ると思うな! 僕が、僕が『レトロゲーム地区チャンピオン』のお前を倒す! いつまでも兄ちゃん面させねぇ!」
雪の地に聞き覚えのあるサウンドが響いた。
【HERE COMES A NEW CHALLENGER!!】
「何者だ!」
『我は、技を極めしもの』
CPキャラだろうか? 赤髪の闘士『豪鬼』が乱入してきた。
無言。その一瞬のち赤き戦士『豪鬼』が消える。世界の明滅の後に琢磨は倒れた。
琢磨の上方に【GAME OVER】の文字が張り付く。
「ゲージも無しに『瞬獄殺』か。……おもしろい」
消えるような移動歩法『阿修羅閃空』からの隙の無い飛び道具『豪波動』、小ジャンプからの『中キック』、後の『斬空波動』。それを1つ、1つ見極めガードしていく。下段、中段に攻撃を振られるが問題ない。豪鬼の隙を待った。
豪鬼の『灼熱波動拳』に合わせ『ガードキャンセル』を発動! 己の硬直を解き間合いを測る為に出したであろう豪鬼の脚にそれを合わせた!
「昇龍拳!!」
無敵技で豪鬼の脚をかちあげ、技と言う技を畳み掛ける!
「中段っ! 下段パンチキャンセルからの『真空!』」
全てのパワーを腕に集約、解き放つ!
「『波動拳』!!!」
豪鬼が雪の地を大きく跳ねた。俺はその隣を抜け『げーむおーばー』した琢磨の腕を取る。その手を握り立ち上がらせた。
「少しはうまくなってたな。琢磨」
「……やっぱり敵わない。『豪鬼』乱入のせいで『コンテニュークレジット』使っちゃったし、」
肌蹴た赤い胴着を直し琢磨が笑う。
「やっぱり兄ちゃんには敵わないや!」
消えた『豪鬼』の事も忘れ、時間ぎりぎりまで俺達は対戦を続けた。対戦を終わらせた後、
「『豪鬼』の小足見えてたの?」
という琢磨の問いに「ああ」と軽いサムズアップで答える。
俺達の早めの帰宅に寝ていた母が笑いながらも起きてくれた。すき焼きで俺達2人をもてなす。久しぶりに琢磨と一緒に眠ろうとしたら、顔を真っ赤にして琢磨が断わった。
最高の対戦だった。琢磨を帰した俺は1人自室のベッドで横になる。瞼の裏には今も琢磨の笑顔と帰り際に立てたその親指が映っていた。
※※※
翌朝、俺はパトカーのサイレンで目を覚ました。
河川敷の一角が封鎖されている。
「何かあったんですか?」
パジャマ姿で向かった地、手を振り侵入を妨げる警察官が俺に答えた。
この河原で彼、義理の弟、――小日向琢磨が死体で発見された事を。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!
\(//∇//)\
それでは、新年にまたお会いしましょう!
2017年師走、ほしのななか拝。