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始まり

高校1年間を平凡に過ごし、また春が来ようとしていた。

別に僕自身に春が来たという話ではなく季節の話。


僕に春なんて来るはずもなく、来てもいいとは思うのだが、なかなか春は僕に心を開いてくれないらしい。まあ、そもそも動こうとしない僕に春なんて来るはずもなかった。

こんなに春、春と言っているとほんとに春という名前の人に申し訳なってくる。ごめんなさい、春さん達。


友達に恵まれなかったとか、黒歴史があるとかそういったことではなく、ただただそういったことが一切なかった。


周りが青春を謳歌している中、僕は言いたくもない愚痴を言うばかりだった。羨ましいよアオハル!!



春になれば新しい人との交流があったり、クラスでの関係だったりと様々。

春は出会いの季節というくらいだ。

きっと出会いがある。多分…。こんなに出会いと言っていると友達にもからかわれる始末。

だから今年こそは恋愛、そして青春を謳歌してみせる!

そんな期待を胸に僕は学校に向かった。


学校は家から徒歩で行ける距離にあるので、1年の頃から通学は徒歩。この季節になると学校の周りに植えてある桜の木が綺麗に咲いている。でも、僕的にこの季節は好きでもあり苦手でもあった。理由は昔から鼻が悪くこの季節はマスクが欠かせないということだった。まあ、僕が予防をすれば全然問題ないからいいんだけど。

1年も同じ道を歩いていると多少は飽きてくる。だから僕はその道の様々な変化を通学中に見つけることにした。近所の家の子供自転車の数が増えてたり、子供を送る近所のおばさんのエプロンが変わっていたり。そうしてるうちに様々な事の変化にも気づけるようになった。それは通学路の周りの変化だけでは至らず、学校中の変化、学校の周りの人の変化にも気づくようになった。

べ、別に変な目でみてないよ!ただ、そう!暇だったから!暇だった時にやってきたものが気づいたら覚醒していただけで!小さなことからコツコツと的なやつであって、変なことをしている訳では!…そういうことにしといて。

だから周りの変化にはいち早く気づけるというすごいのかすごくないのかよく分からないスキルを身につけた。

そんなことをしてる暇があるのなら、恋愛をする時間もあったのでは?という質問は受け付けていません!すいませんでした。とそんなことを言っている内に学校に着いた。


下駄箱で自分のクラスと番号を確認して、クラスに向かった。

僕の通う学校はどこにでもあるような学校で、外観は少し古くはなっているが内装工事などもあり、とても綺麗になっている。

普通科で共学、どこにでもあるような学校だ。

階は全部で4階で、4階が1年生、3階が2年生、2階が職員室や、生徒会室。体育館などに続く道がある。そして1階が3年生だ。僕は自分の階である3階に向かった。ちなみにクラスは2組だ。


クラスに入ると友達と話している人や、新しいクラスにわくわくなのかそわそわしている人と様々だった。中には1年の時に一緒だった人もいる。僕はそんなことはせずに自分の番号が書かれた席に座った。


「おーい、春人ー(はるひと)」


席に座っていると後ろのドアの方から声がした。

振り返ってみるとそこには見たことのある奴がいた。


「お前か、雪也。」



「お前かはひどいなー、せっかくはるひとと同じクラスになれたのにー。」


「まあ、知り合いがクラスにいるのは嬉しいけど…

というか前から言ってるけど僕のことを春人(はるひと)って呼ばないでって言ってるじゃん!」


雪也は僕のことを出会った時からはるひとと呼んでいる。間違えてるのではなくわざと。何回も注意はしているのだが一向に直してはくれない。


「雪也が僕のことをはるひと、はるひと呼ぶから僕の名前がほんとは、はるひとだと思って話しかけてくる人にいちいち説明するの大変なんだから!」


「ごめん、ごめんー、努力するからー、はるひとー。」


「初めからする気ないだろー!」


そんな会話をしていると、先生が入ってきた。


「ほらー、お前ら席につけー。」


先生が入ってきたのをみて各々が自分の席に座っていく


「あ!しょうちゃんだー!」


「谷、先生をつけろ、先生を。後下の名前で呼ぶな。」


雪也がいったしょうちゃんとは、僕達の1年の時の担任の先生だった渡辺先生だ。


「はーい、将先生ー!」


「ったく…えーと、今日からお前らのクラスの担任になる渡辺だ。教科は現国と古典だ。まあ、なんだー、これからよろしくな。」


先生は自分の紹介を簡単に説明した。



「まあ、俺の自己紹介はこのくらいにしといて、

それじゃあまあ、次はお前らの自己紹介でもしてもらうか。始業式までは少し時間があるからな。」


先生の言葉によりクラスが少しざわついていた。


「先生ー、始業式おわってからじゃないのー?」


「そうだよー、何も考えてないー!」


「ほらほらー、黙れー。こういうのは早め早めがいいんだよ。お前らだって早くみんなの名前少しでも早く知れた方がいいだろー?てことで、やるぞー。出席番号1番は誰だー?」


先生は有無を言わさずに話を進めた。こういった所は1年の頃から変わっていない。良い所なのか悪い所なのか…とそんなことを考えていると自己紹介がはじまってしまった。


こんな時、出席番号が1番の人はたまったもんじゃないなと思った。何でもかんでも1番からというのは誰が決めたのだろう。

後ろからの時があってもいいのに。

ちなみに僕はどちらからきてもあまり変わらないので楽しみもないのだが。

とりあえず、頑張って、1番の人。陰ながら応援してます。


先生は名簿を確認しながら、「えーと、出席番号1番はー、秋山か。じゃ秋山自己紹介よろしくー。」と言った。


「はい。」と返事をし、先生に言われた出席番号1番、秋山さんが立ち上がった。


「後、自分の名前は当たり前だが、部活、委員会、それからやっていきたいこととか、目標くらいは言ってもらおうか。」


「はい。」出席番号1番の秋山さんが答えた。



初めは、これから同じクラスになる、周りとなんら変わらない女の子だった。でも、この時から僕はこの人に…惹かれていたのかな。

惹かれていたという表現が正しいのかは分からないけど、そんな類のような気持ちはあったんだと思う。

この時から僕と彼女の時間は動き出していたんだと思う。



「出席番号1番の秋山楓です。」



-それが僕が彼女に会った初めての日-








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