激昂
「離婚なんて極端なこと、考えられないよ」
それが加奈の本音だった。
「そう、なら良いの」
加奈の母親はほっとした表情を見せた。
離婚なんて恥ずかしいし、親戚になんて言えば良いのよ。私がお父さんに怒られるんだから…。
加奈の母親は、このときはまだそう考えていた。
流れた赤ちゃんのことは気にならないの?
自分の母親なのに、頭がおかしいと加奈は感じた。
とにかく、司と話さなくてはいけない…。
加奈は翌日、自宅に帰った。
司から何も連絡がなかったので、加奈も連絡しなかった。
家の中に入ると、部屋の様子はいつもと変わらないのに、違和感を感じた。2年間住んでいるのに、住んでいたのが遠い昔のように感じたからだ。
司は何と言うのだろう。
そんなことを考えながら、いつも通り家事を済ませて莉奈を寝かせて司の帰りを待った。
深夜1:20
玄関のドアが開く音がした。
「お帰りなさい」
加奈の声がいつもより低い。
「今まで、莉奈を連れてどこへ行ってたんだよ?」
司は怒っているようだった。
「赤ちゃん…。」
加奈は一言、言った。
「えっ」
司の目が泳ぐ。
「妊娠してたんだって。心当たりあるの?」
加奈が司を睨み付ける。
「…」
司は沈黙を貫く。
「流産した。もう子供は出来ないかもしれないって言われた」
加奈がそう言うと、司の口角が一瞬上がるのが見えた。
「子供は残念だったけど、お互いまだ若いし、不妊治療すればでき…」
司が言い終わる前に加奈が司の顔を平手打ちした。
「携帯見た。いつから?何で浮気したの?」




