光
私は今まで何をしていたんだろう…。
そんな虚脱感に加奈は襲われた。加奈の実家の両親は何も聞かずに受け入れた。
「もう、誰からもお前が悪いって責められなくて済むんだ…」
実家に帰ってから、食事が美味しいと感じられるようになった。
身長が160㎝で体重が44㎏だったが、1日3食しっかり食べて眠るだけで、体重が3㎏増えた。すごく幸せだった。
莉奈は加奈が元気を取り戻してから語彙が増えた。
親権、監護権、養育費、面会権の取り決めを行い、公正証書をつくり、離婚届を提出することにした。
離婚届の証人は加奈の両親にお願いした。司の両親に離婚を阻止されないよう、こちらからは何も言わなかった。
離婚届は二人で出しに行こうと加奈は司に約束させたが、司は離婚届を出す当日、約束の時間直前になってメールがきた。
[平尾司]
ゴメン。今、出先で遊んでて間に合わないや
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「市役所はあんたの家から歩いていけるとこなのに…」
加奈は呆れた。
結局、一人で市役所に行き、一人で離婚届を提出した。
しかし、受理に時間がかかりその場で一時間待たされて、名前を呼ばれた。
「あの、どちらかのご両親様は再婚されてますか?」
市役所の窓口の担当者からとても聞きづらそうに言われた。
「夫の母が故人です」
思わず、司のことを夫と言ってしまった。
「わかりました」
そういって、またバタバタと手続きをしているのをぼんやりながめていた。またしばらくして名前を呼ばれた。
「これで、手続きが完了しました。次は児童保育課、国民健康保険課、国民年金課で手続きをお願いします」
実にあっさりと2年半の結婚生活が終わった。
離婚届を提出した後、事務のパートに行き、姓の変更手続きをした。
悲しんでいる暇はない…。
泣いて今の状況が変わるなら、いくらでも泣こう。
泣いても悲しんでも、強くならないと誰も助けてはくれない。
転職して、正社員を目指そう。
莉奈と幸せになるんだ。




