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疑念

加奈は慢性的な胃炎持ちだった。

そのため、あまり自分の体調を気遣うことなく日常を送っていた。


司はいつも終電帰りだ。休みの日は司が報告しない限りわからない。シフト制の仕事なので、今まではもっと早い時間に帰ってくることもあった。

先月の加奈の誕生日も司は深夜に帰ってきた。


家族のために頑張って働いているのに、文句を言ってはいけない。加奈はそう思って口をつぐんでいたが、家にお金を入れなければ、話は別だ。


司は何か隠し事をしているんだろうか…。

加奈は初めて司に疑念を抱くようになった。


しかし、それから数日後、娘の莉奈がインフルエンザにかかり、司も罹患したため、加奈は司に抱いた疑念をしばらく忘れることとなる。

加奈自身は罹患しなかったものの、2週間仕事を休んで二人の看病をした。加奈はパートタイマーなので、2週間休んだ分の給料はもちろん支給されない。

そんな状況でも司は家庭にお金を入れないため、夫婦の仲は徐々に険悪になっていった。


「ねぇ、何で家にお金を入れないの?もう、独身時代の貯金も全部生活費で消えた。払ってない分のお金をいい加減返してよ。」


「俺だって体調悪いのに頑張ってるんだよ‼子供の前でヒステリー起こすのはやめろよ。それでも、母親か‼」


深夜、家の中で二人の怒号、莉奈の泣き声が響く。

「明日はヘルプで遠い店行くからホテルに泊まるから」

そう言って、司は自分の部屋に入った。


話し合いすら、出来ない…。

私が悪いの?

加奈は泣きながら、実家の母に電話で事情を説明して生活費を振り込んでもらうように頼んだ。


そして、加奈は数週間前に抱いた司への疑念を思い出した。



携帯が、いつも光ってる…。



携帯を見たら…答えが出るのかも知れない。

ずっと頭の中で警告音のような、頭鳴りが聞こえる。

見たら、多分、私の知りたくなかった事実がそこにはあるだろう…。

しかし、もう引き返すことは出来ない。


加奈は司の部屋に入って、司が寝ていることを確認して、携帯電話を開いた。


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