激情
「熊田茜さん
私と娘の幸せを壊したあなたを絶対に許さない。
不倫で訴えたら、あなたの名前は裁判記録に残りますよ。
お金なんていらないから、私の家庭を壊した責任を取りなさい。あなたも結婚したとき、他人から幸せを一瞬にして奪われる屈辱を味わうが良い。
もし、あなたの身に覚えのない事なら、私の勘違いです。しかし、勘違いじゃなかったときにどうなるか想像がつきますよね?
裁判記録に残ったら、どうなるでしょうね。
早々に身を引いた方があなたのためですよ」
加奈は怒りに任せてメールを送信した。
司と茜の幸せは加奈の苦しみの上にあるものだから、許せなかった。
茜に送ったメールを後で読み返したら、昼ドラみたいだと恥ずかしくなったが、言いたいことを吐き出したのでスッキリした気持ちになった。
きっと、返信は来ないだろう。
私、バカだなぁ…。
何で、司を好きになってしまったのだろうか。
加奈と司の交際は大学2年からだった。
加奈は司の分も毎朝、お弁当を作り、必ず二人で昼食を摂っていた。
あの頃は、本当に幸せだった…。
司は加奈が料理に失敗しても、不味いと言わずにいつも笑顔で完食した。だから、加奈は司のために料理上手になりたいと思って、毎朝料理を頑張って少しずつ上達したのだ。
加奈が司を支えるのが当たり前になってしまったから、浮気されたのだ。
浮気されても、私はやっぱり司が好きなんだ…。
悔しいけれど、それが加奈の本音だった。
加奈はTwitterで呟いた。
「世の中やったもん勝ちでずるい。やられた方は全てを受け入れなければ、二人で幸せになることはできない。だから、許すしかないじゃない。」
千佳子から即、反応があった。
「加奈のTwitterが心に突き刺さる。ズキズキ(;o;)」
「ずるいよね。」
加奈と千佳子は反対の立場だが、千佳子に対して嫌悪感はなかった。ただ、浮気した男の被害者だという意識だった。
茜に対しては、激しい憎悪がある。
愛するものには甘い。それが女の悪いところだ。




