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名探偵・藤崎誠シリーズ

マイナス24M 名探偵藤崎誠

作者: さきら天悟
掲載日:2016/09/12

「・・・日本人は変じゃないですか?」

立ち上がった女は壇に立つ男に言った。

鋭い目だった。

しかも、その目は青い。


男は顔をしかめ、視線を落とした。

手元の資料のページをめくる。

「確かに、少し短いですね」

と答え、また視線を女に合わせた。



「官房長官、少しというレベルではありません。

半分と言ってもいいレベルです」

女は右手に持ったペンを振りながら反論した。


「マイナス24Minute」

日本語を英語に同時通訳していたが、男は英語で答えた。

男は政府与党の太田衆議院議員で、官房長官を拝命していた。

定例の外国人記者会見、最後のフランス人女性記者の質問だった。


「日本人は美食と言われながら、食事にかける時間が短すぎます。

外国人がレストランに入って、

オーダーする時間が5分、食事を終える時間がおよそ58分ですが」

女性記者は鼻で息を吸った。

「日本人はオーダーの時間1分30秒、食事時間34分です。

東京のレストランはミシュランの星を世界でもっとも獲得し、

美味しいはずですが、変じゃないですか」


太田はうつむく。

そして、顔を上げ、女性記者に微笑んだ。

「それが日本のレストランの美味しさのヒミツです」


彼女はハッとした。

追い詰めたと思った男の表情は晴れやかだった。

満席の会場の他の記者らはザワついた。


「24分短いことで、客の回転率が上がります。

だから、お店は食材に原価をかけても、利益を確保できるのです」


会場では、感嘆のため息をつき、頷く人が目立った。


太田はニヤリとした。

いや、顔に出さず、心で。

藤崎が書いたシナリオ通りだった。

藤崎誠、自称名探偵で、太田の官僚時代の同期だった。

太田は、事前に渡された質問書の答えを藤崎に相談していた。



フランス人女性記者は、自国のレストランが一番美味しいことを主張したかったが、

思惑が外されてしまった。



「しかし、彼女の言う通りです」


太田は女性記者に微笑みかけた。


「日本人は変です。

レストランでは食事を味わうもだと思っています。

あなたが思っていることは、日本人が食事を楽しんでいないという指摘でしょう」



笑みを浮かべた女性記者は大きく頷いた。


「でも、これは日本人の性分なのでしばらく変わらないでしょう。

将来、フランスのように食事を楽しめるなるといいですね。

その時、原価が下がって美味しくなくなるかもしれまでんが。

それまで外国人の方は、最高の日本のレストランで

味わい、楽しんでください」


会場は拍手で埋め尽くされた。



太田は会場を後にし、車に乗り込んだ。

上着の内ポケットから、スマホを取り出した。


「藤崎、ありがとう。

お前のシナリオ通りだった。

特に、最後に相手の女性記者を立てるのは、いい演出だった」

データは『Cool Japan』からの引用です。

毎週見ています。

けっこうネタを見つけられます。

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