番外編元姉様の夫の心情。
今日、元妻の妹が帝国に嫁いで行った。多くの言葉を残して、様々な真実を白日の元にさらし、残される私達の心情さえ置き去りにして。振り返りもせず馬車に乗り去って行く。
「本当なのか⁉︎君達兄妹が何故?幼馴染で仲の良かったはず!」
妻は、彼等の幼馴染みだったはずだ。
「君は鈍感だな!何時も私の好きになったものを奪っていく!私は彼女が好きだった!他の男の者にするくらいなら死んでしまえばいいと!機会を狙いお茶を妹に渡した。まさか彼女の妹にばれているとは知らなかったな。」
気付けなかった私が悪いのか?彼女はもう居ない。
「私も貴方が好きだった!でも先に婚約したと聞いて言えなかったの!私は王女よ!お願いするなんて出来ないわ!」
王女が私を昔から好きだった?知らないぞ。
「……少し考える時間を欲しい。」
子供を生んだから死んだと思い、生まれた我が子を憎み無視してきたが彼等に殺されたとは…私は今まで何を見ていたんだろう。
「ははは……馬鹿は私か。」
今更王女との結婚は取り消せない。虚しさだけが残る。これは罰だろうか?彼女の残した息子を愛さずに背を向けてもう償うことの叶わない罪が私にある。
愛すべきものを愛さず偽りの愛を受け入れた私は、今日永遠に愛すべき我が子を失った。許しを願うには遅すぎたのだ。ただ、遠くから彼等の幸せを祈る事だけ神に許しを願おう。