冬の匂いがした朝
掲載日:2025/11/15
おろしたての革靴が乾いた音を響かせ、
コンクリートの道をコツコツと鳴らしている。
冬の冷たい風を感じながら、私は手をこすり合わせる。
ふと周りを見渡すと、
ショーウインドウに映り込んだイルミネーションが乱反射して、まばゆい光を放っていた。
私はコーヒースタンドでテイクアウトのエスプレッソを購入し、暖を取りながら夜空を見上げた。
そこには冬の澄んだ空気に、月や星々が美しい輝きを放っていたが、道行く人々はそれに気付くこともなく、
スマホを眺める者、
恋人と談笑する者、
電車やバスを目指してか、先を急ぐ者…
それぞれが、各々の時間を過ごしていた。
そこへ、定番のクリスマスソングがどこからか流れてきた。
「…春はまだ遠いな…」
白い息がわずかに舞ったが、
私の独り言にも気づく者などいないだろう。
だが、不思議と寂しくはない。
人々が賑わい、どこか年末に向けて気分が昂っているこの季節が、私は好きだ。




