表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/30

第25話 「冬の寒さと黒塚先輩の雑学」

昼休み、渡り廊下を歩く座白冬。寒空の下、校舎を繋ぐ窓ガラスが薄っすらと曇っている。手袋をしていない彼の指先は冷たく、ポケットに突っ込みながら歩いていると、前方に見慣れた黒髪の後ろ姿があった。


「座白くん、寒いわね」

振り返ると、そこには黒塚夏先輩。いつもの制服姿に黒いタイツと革靴、寒さなど意に介さない涼しげな表情で立っている。


「……まあ、冬ですしね」

あくまでそっけなく返す座白。黒塚先輩は気にする様子もなく、ふわりと微笑んだ。


「冬の寒さは、心臓発作のリスクが上がるのよ。知ってた?」

「……いえ、知らないですけど。別に今知る必要もないですよね」

「そう?じゃあ、例えばだけど……今この渡り廊下で突然倒れたらどうする?」

「……いや、どうするとかじゃなくて、何を聞いてるんですか」

彼女の突飛な発言に眉間を軽く押さえる。


「その時は……心臓マッサージか人工呼吸、する?」

「しません。というか、そもそも倒れないでください」

「冷たいわね、座白くん。でも……君に助けられるなら、悪くないかも」

淡々としながらも、妙に響く言葉を口にする黒塚。座白は面倒だと感じつつ、顔には出さずに肩をすくめた。


「先輩がそんなことで倒れるタイプだとは思えませんけど」

「ふふ、どうかしらね?」

彼女は意味深な笑みを浮かべた後、冷え切った窓に指で「❄」の形を描く。

その後ろ姿を眺めながら、座白は小さくため息をついた。


「……本当にわけがわからない人だ」

彼女の奇妙な雑学と突拍子もない発言に振り回されつつも、気がつけばそのペースに巻き込まれている自分に気づき、微かに苦笑する。


冷たいはずの廊下に、どこかぬくもりが漂っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ