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第15話 「猫と犬と黒塚先輩の選択」

放課後の帰り道。木々の影が長く伸びる道を歩きながら、黒塚先輩がふいに話を振ってきた。


「ねえ、座白君」

「……なんですか」

「猫と犬、どっちが好き?」


また唐突な質問だ、と座白は思いつつも、少しだけ考え込む。

「……犬ですかね」

「へえ、どうして?」


黒塚が興味深そうに座白を見上げる。彼は淡々と答えた。

「犬のほうが、人懐っこくて素直な感じがします。それに、ちゃんとしつければ一緒に生活しやすいですし」


その真面目な答えに、黒塚は思わず笑みを浮かべる。

「ふふ、座白君らしい理由ね。でも、猫の気まぐれさには興味ないの?」

「……あまり好きじゃないですね。振り回されるのは苦手なので」


黒塚はその答えに納得したように頷きながら、小さく微笑んだ。

「なるほど。でも、私は猫が好きよ」

「……まあ、そうだろうと思いました」


黒塚の性格を思い返すと、彼女が犬よりも猫を好むのは自然なことに思えた。彼はそのまま続ける。

「先輩は、気まぐれなところが猫っぽいですからね」

「それ、褒めてるの?」

「……どうでしょうね」


軽く肩をすくめる座白に、黒塚はくすくすと笑った。そして、ふと思いついたように問いかける。

「でも、座白君。もし私が猫だったら、どうする?」

「……どうするって、何をですか」

「例えば、野良猫として道端にいたら、拾ってくれる?」


その質問に、座白は軽くため息をついた。

「たぶん、気づかないと思います」

「ひどいわね。でも、それが座白君らしいかも」


黒塚はどこか満足げに微笑みながら、再び歩き出した。座白もそれに続きながら、少しだけ考え込む。


「……まあ、実際に猫だったら、気まぐれに振り回されるかもしれませんね」

「そう。それでいいのよ」


黒塚は軽やかな足取りで前を歩きながら、振り返らずに言葉を続けた。

「結局、猫でも犬でも、一緒にいる時間が楽しいなら、それで十分よ」


その言葉に、座白は苦笑を浮かべながら呟いた。

「……先輩は本当に自由ですね」


夕陽が二人の影を長く伸ばす中、どこか温かい空気が漂っていた。

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